EUとイスラエルが入植地の原産地表示問題で対立(2015/11/13)
ヨーロッパ連合(EU)は、1967年からイスラエルによる占領が続いているヨルダン川西岸などの入植地産品について、イスラエル産ではなく「入植地産」と表示する基準を定めた。イスラエルが占領しているヨルダン川西岸やゴラン高原での入植活動は、ジュネーブ条約に違反しているとされており、これらの地域の産物について、EU加盟各国から統一した原産地表示の指針を求める声があがっていた。これに対し、イスラエルはイスラエルのボイコットにつながる政治的な動きであるとして、強く反発している。
11月11日付の英
『BBC放送』は、イスラエルが占領するパレスチナおよびシリア領入植地での生産物表示について、EUが新基準を公表したと報じた。EU委員会は「1967年以降イスラエルが占領している土地で生産された産物の原産地の表示に関する通知」を採択した。これにより、ヨルダン川西岸およびガザ地区、ゴラン高原などのイスラエル入植地で生産され、EU加盟国で販売される農産物や化粧品は、「イスラエル入植地」、またはそれに類する表示をしなければならない。...
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11月11日付の英
『BBC放送』は、イスラエルが占領するパレスチナおよびシリア領入植地での生産物表示について、EUが新基準を公表したと報じた。EU委員会は「1967年以降イスラエルが占領している土地で生産された産物の原産地の表示に関する通知」を採択した。これにより、ヨルダン川西岸およびガザ地区、ゴラン高原などのイスラエル入植地で生産され、EU加盟国で販売される農産物や化粧品は、「イスラエル入植地」、またはそれに類する表示をしなければならない。より具体的には、「ゴラン高原産(イスラエル入植地)」、「ヨルダン川西岸産(イスラエル入植地)」などの表示が求められる。入植地以外のヨルダン川西岸産については、「パレスチナ産」または「ヨルダン川西岸産(パレスチナ産)」などの表示となる。英国、デンマークおよびベルギーは、ヨルダン川西岸産品について、2009年から自主基準としてこれと同様の表示定めている。EU関係者は、この決定に政治的な意図はなく、消費者に十分な情報提供をするため、EU加盟国の義務を明確にしたものであると述べている。
これに対し、イスラエル外務省は、EUとイスラエルの関係にかかわる問題であると警告するとともに、駐イスラエルEU大使を呼び、今後数週間の外交的対話を中止すると通告した。
11月11日付の英
『ザ・テレグラフ』紙は、EU委員会の原産地表示に関する決定に対し、イスラエルが同国産品のボイコットを焚きつけるものであるとして激怒している、と報じている。ネタニヤフ首相は、「EUは恥を知るべきだ。EUの決定は、偽善的でダブルスタンダードそのものである。世界中で200も紛争がある中でイスラエルだけを槍玉にあげている。これによって最も打撃を受けるのはパレスチナ人である」と怒りを露わにした。
EUは、イスラエルが占領している土地への入植はジュネーブ条約違反であるとの立場を採っている。EU関係者は、占領地はイスラエルの領土ではないため、“イスラエル産”として販売できないという“テクニカルなもので、政治的な意図はない”と説明するが、イスラエルは人をバカにした正当化であると非難している。一方、パレスチナ人はEUの決定は、イスラエルを更に国際的に孤立させるものとみており、大いに歓迎している。
ヨルダン渓谷には900ヵ所の農場があり6千人のパレスチナ人を雇用し、ナツメヤシやその他の農産物の輸出で年間2億ドルを売上げている。輸出はロシアやアジア向けが増加しており、EU向けは10~20%に過ぎない。
11月12日付の米
『NBCニュース』は、オバマ政権は、ヨルダン川西岸産品に“イスラエル産”と表示することを禁じたEUの新基準を支持し、これは消費者に対するテクニカルなガイドラインに過ぎずユダヤ人国家をボイコットするものには当たらないとの見解を示した、と報じた。EUの新ルールに対し、イスラエル政府は激しく反発している。国務省のマーク・トーナー報道官は、「米国政府は、生産物の原産地表示がボイコットになるとは考えない。また、入植地はイスラエルの領土ではないと考えており、入植地産との表示がボイコットに当たるとは見做さない」と述べた。この問題に対する米国政府の立場はこれまで曖昧なものであったが、今回米政府は“イスラエルのボイコットに反対する”ことだけを強調し、EU支持に傾いている。
また、トーナー報道官によれば、イスラエルの入植地産品に関する米国の規定もほぼ同じ内容である。米国向け製品は入植地かどうかの区別は必要ないが、(イスラエル産ではなく)「ヨルダン川西岸産」と表示しなければならない。今回の決定によるイスラエルへの経済的影響は軽微なものに止まりそうであるが、EUが中東の和平への行き詰まりに対し不満を高めていることを象徴的に示すものである。
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インドネシア高速鉄道、中国案に決定(2015/10/01)
日本と中国が激しく受注を競っていたインドネシアの高速鉄道計画は、紆余曲折の末、中国案が採用されることに決定した。各国メディアがこれを報じている。
9月30日付
『CNBCニュース』は、インドネシアは高速鉄道建設について、中国政府がインドネシア政府の保証無しで50億ドルの融資をおこなう破格の条件を出したため、日本ではなく中国を指名したと伝えた。それによると、日中両国は、インドネシア首都のジャカルタと繊維工業都市のバンドンを結ぶ鉄道の契約を巡り数ヵ月に渡って競争を繰り広げてきた。インドネシアは当初150㎞の走行距離を高速鉄道で構想していたが、今月になって中速鉄道に変更した。...
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9月30日付
『CNBCニュース』は、インドネシアは高速鉄道建設について、中国政府がインドネシア政府の保証無しで50億ドルの融資をおこなう破格の条件を出したため、日本ではなく中国を指名したと伝えた。それによると、日中両国は、インドネシア首都のジャカルタと繊維工業都市のバンドンを結ぶ鉄道の契約を巡り数ヵ月に渡って競争を繰り広げてきた。インドネシアは当初150㎞の走行距離を高速鉄道で構想していたが、今月になって中速鉄道に変更した。アナリストはこの契約を勝ち取った方が、将来のクアラルンプールとシンガポールを結ぶ鉄道プロジェクトの最有力候補になるだろうと語っている。
ジョコ・ウィドド政権は、日本案より政府の負担が少なく技術移転も大きいとして、中国案を選んだ。インドネシア日本大使館の木島氏は、「日本政府は日本案のほうが良いし、現実的であると今でも確信している。日本はインドネシア政府の透明性と公正を期待していた。今後はそうあるべきと願っている」と述べている。インドネシアのソフヤン・ジャリル国家開発企画庁長官は、今週この結果を伝えるとともにこれ以外の投資の誘致活動をおこなうため来日した。
9月30日付の香港
『サウス・チャイナ・モーニングポスト』紙は、日本がインドネシアの幹線高速鉄道の契約で中国に敗退し、日本経済成長のためインフラ輸出に活路を求めていた安倍首相にとっては大きな痛手であると報じた。ジャカルタ政府は、今月初め中国と日本の高速鉄道計画案を多額の建設費がかかることを理由に見送り、コストが安い在来型鉄道を検討するよう求めた後で、突然この決定をおこなった。
ソフヤン・ジャリル長官は、中国が最近、インドネシアの資金負担や債務保証無しにジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道建設の新たな提案をおこなったことを明らかにした。日本政府菅官房長官はインドネシアの急変を「理解できない。極めて遺憾である」 と語った。ジャカルタでは、テテン・マスドゥキ大統領首席補佐官が、日本はどちらかといえば両政府間で進めようとしたが、インドネシアは企業間の協力を重視したのだと述べた。この鉄道計画は410億香港ドルの資金を要するが、菅官房長官は、インドネシアの資金負担無しで鉄道建設をおこなうとする中国案について「常識外れであり、うまくいくとは思えない」と述べ、実現性を疑問視している。
9月29日付イラン国営放送
『PRESSTV』は、インドネシア高速鉄道の入札で中国案が採用されたことを報じた。この鉄道計画は、ジョコ・ウィドド大統領が昨年の選挙時に公約した、道路、鉄道、港湾などのインフラ整備の中で重要な部分である。日本が敗退した理由について、インドネシアのリニ・ソエマノ国有企業相が「インドネシア政府はこのプロジェクトに政府負担や政府保証はしたくないと主張したが、日本は政府保証を求めた」と語ったと報じている。
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