波紋を呼ぶ南アの“処女”奨学金(2016/01/28)
南アフリカ共和国(南ア)のある自治体で処女であることを条件とする奨学金制度が導入され、初年度は16人に支給が決定した。この奨学金は、南ア東部クワズール・ナタール州ウトゥケラ区の女性区長マジブジョ氏が発案したものであり、女学生を若年妊娠やエイズ感染から守ることが目的であるとしている。人権擁護団体などから、性差別であり人権侵害であると非難の声があがっている。
25日の
『BBCニュース』は、南アのある地区で、処女であることを条件として16人の女子大生に奨学金を与えることを決定したと伝えた。クワズール・ナタール州のウトゥケラ地区の区長を務めるマジブジョ氏は、これは若い女性のエイズ患者や望まぬ妊娠を減らための制度であると語っている。
南アでは人口の10分の1に当たる630万人がHIVに感染している。南アの人権団体「女性抑圧に反対する会」は、奨学金の条件は人権侵害であり少女たちの尊厳を傷つけるものだと非難している。...
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25日の
『BBCニュース』は、南アのある地区で、処女であることを条件として16人の女子大生に奨学金を与えることを決定したと伝えた。クワズール・ナタール州のウトゥケラ地区の区長を務めるマジブジョ氏は、これは若い女性のエイズ患者や望まぬ妊娠を減らための制度であると語っている。
南アでは人口の10分の1に当たる630万人がHIVに感染している。南アの人権団体「女性抑圧に反対する会」は、奨学金の条件は人権侵害であり少女たちの尊厳を傷つけるものだと非難している。区長によれば、奨学金のために処女検査をすることはなく、毎年おこなわれるズールー族の儀式の中で、リードダンスの踊り子を選ぶために処女が選別され、奨学金の受給対象者が決まるとのことである。政府が後援する「男女同権委員会」の委員長は「区長の志は立派であるが、処女を条件に奨学金を与えることには賛成できない」と批判的である。
27日の
『CNNニュース』は南アの“処女”奨学金に対して非難が集中していると報じている。いわゆる“処女奨学金”を得るためには、毎年1回地域の年配女性がおこなう検査を受けなければならない。南アではこの奨学金のニュースが報道されるや、人権団体が人権侵害、性差別などと激しい抗議をおこなっている。
しかし、この奨学金を推進するマジブジョ区長は一歩も引く気配はない。同区長はこれまで十代の学生が妊娠しないよう様々な試みをおこなったが、どれもうまくいかなかったと話す。クワズール・ナタール州は十代女性の出産率が南アで最も高い。南アのエイズ感染者は6百万人と世界一多く、同州では妊婦の半数がその患者である。南アでは妊娠した女学生に対して学業継続を症例しているが、現実はその多くが退学してしまう。
マジブジョ区長は、処女奨学金のアイデアは毎年恒例行事のリードダンスの準備をしていた女学生達から出されたものであると語っている。
24日付
『ニューヨーク・ポスト』紙は、ある南アの区長が、学業に専念する手本を示すため処女のままでいることを条件に、16人の女学生に奨学金を交付したと伝えている。この奨学金制度は今年導入され、クワズール・ナタール州東部のウトゥケラ地区の女学生達に与えられた。今後毎年、100人以上の将来性のある高校・大学生に授与される予定である。奨学金を申請する女学生は処女を守り、定期検査に同意しなければならない。
南アでは処女検査は違法ではないが、本人の同意が必要とされている。一部の人権活動家は処女検査を性差別であり人権侵害であるとして禁止するよう主張している。一方、文化的慣習の擁護者達は、これは伝統を守ることであり若い女性に健全な出産やエイズについての知識を授けるのに寄与していると話している。
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ジカウイルス感染が米大陸で大流行の恐れ(2016/01/26)
世界保健機構(WHO)は24日、妊婦が感染すると胎児に小頭症などの深刻な異常を引き起こすとされるジカウイルスが、カナダとチリ以外の米大陸全域に拡大する恐れがあると発表した。ジカウイルスは「ネッタイシマカ」という種類の蚊が媒介し、ほとんどの場合感染しても軽い症状で回復するが、妊婦が感染して胎児が小頭症を発症する事例が急増している。米疾病対策センター(CDC)はジカウイルス感染地域への妊婦の旅行自粛を呼びかけ、エルサルバドルなどが急遽2年間の妊娠回避を勧告している。また、性交渉による感染の可能性も報告されており、専門家は至急調査が必要であると指摘している。
25日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、WHOが蚊を媒介とするジカウイルスがカナダとチリを除く米大陸全域に感染する恐れがあると発表したと伝えた。
ブラジル保健省は昨年11月、ジカウイルスが小頭症の発症に関係していると発表している。ブラジルでは昨年3893例の小頭症が報告されたが、これは例年の30倍も多い。最も発症率が高いペルナンブコ州では新生児の1~2%が感染している。予防ワクチンはまだ無いうえ、大手製薬企業は収益性が低い熱帯病ワクチンへの開発意欲が乏しい。...
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25日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、WHOが蚊を媒介とするジカウイルスがカナダとチリを除く米大陸全域に感染する恐れがあると発表したと伝えた。
ブラジル保健省は昨年11月、ジカウイルスが小頭症の発症に関係していると発表している。ブラジルでは昨年3893例の小頭症が報告されたが、これは例年の30倍も多い。最も発症率が高いペルナンブコ州では新生児の1~2%が感染している。予防ワクチンはまだ無いうえ、大手製薬企業は収益性が低い熱帯病ワクチンへの開発意欲が乏しい。ジカウイルスは1947年ウガンダのビクトリア湖付近にあるジカ森林のサルで初めて発見され、アフリカ、東南アジア、太平洋諸島の一部で感染が見つかっている。だが、科学的なデータが乏しく、ブラジルで小頭症が多発している因果関係もはっきりしていない。
ジカウイルス感染の症状は通常は軽いが、ウイルスの変異を疑う専門家もいる。ジカウイルスはデング熱と同じネッタイシマカを通じて感染するため、世界中のデング熱感染地域に広がることが懸念されている。
25日付
『CNNニュース』は、CDCがジカウイルスへの注意喚起を強化しており、妊娠に対する警告を出す国が増えていると伝えた。CDCは先週、妊婦に対し中南米のジカウイルス感染地域への旅行を控えること、また旅行した場合はウイルス検査をおこなうよう勧告した。ジカウイルスは蚊を媒介して感染し症状は通常軽いが、感染による幼児の小頭症が急増している。このため、エルサルバドルの保健省は急遽同国女性に対し、今後2年間妊娠しないよう勧告した。また、コロンビアやジャマイカも同様の注意喚起をおこなっている。
更に、ブラジルやエルサルバドルの保健当局は、免疫異常により筋無力化や麻痺が起きるギランバレー症候群とジカウイルスとの因果関係についても、CDCと協力して調査をおこなっている。
25日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、ジカウイルスが性交渉でも感染する可能性があると報じている。今のところ医学的な報告事例は僅かであるが、専門家は政府が妊婦だけでなく旅行者全員に危険が及んでいることを警鐘すべきであると指摘している。一方CDCは、そのような警告を出すにはまだ調査が足りないとしている。
これまで、性交渉による感染は2例報告されており、1例はタヒチ人男性感染者で、血中からウイルス消えた後精液から高濃度のウイルスが検出された。2例目は、コロラド州立大学の昆虫感染症専門家が蚊をセネガルで採集中に感染し、帰国後その妻が性交渉により感染したというものである。ウイルス感染症専門家はジカウイルスの大流行を防ぐため、至急ブラジルなど中南米において、性交渉感染の調査を行う必要があると指摘している。
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