北朝鮮、米学生に労働教化刑15年(2016/03/17)
北朝鮮最高裁は、平壌のホテル内で政治スローガンが記された掲示物を盗んだとして米国人大学生オットー・フレデリック・ワームビア氏(21)(米バージニア大学)に対し、反国家犯罪で15年禁固、労働教化刑を言い渡した。
北朝鮮の核やミサイル、米韓合同軍事演習で一層緊張感が高まる中の発表を受け、米政府は判決は政治的な理由によるものと批判し、同氏の釈放を求めている。
3月16日付
『ヤフーニュース』(AP通信引用)は「北が米国籍の旅行者に15年禁固刑」との見出しで以下のように報道している。
・1時間に渡る裁判で、同氏が「米国政府の北への敵対政策に従い、友好関係を傷つける目的で観光者として入国し」犯行を行ったとし、刑法第60条に基づき反国家犯罪が言い渡された。
・北朝鮮は度々、(米国と同盟関係にある)韓国に朝鮮半島を支配下とさせる目的で、北転覆のためのスパイを送り込んでいるとして米国や韓国を非難してきた。...
全部読む
3月16日付
『ヤフーニュース』(AP通信引用)は「北が米国籍の旅行者に15年禁固刑」との見出しで以下のように報道している。
・1時間に渡る裁判で、同氏が「米国政府の北への敵対政策に従い、友好関係を傷つける目的で観光者として入国し」犯行を行ったとし、刑法第60条に基づき反国家犯罪が言い渡された。
・北朝鮮は度々、(米国と同盟関係にある)韓国に朝鮮半島を支配下とさせる目的で、北転覆のためのスパイを送り込んでいるとして米国や韓国を非難してきた。
・米国務省報道官は判決を「不当な重刑」とし、北当局が主張するような政治的目的で米市民を送りこんだ事実はなく、人道的配慮からの釈放を求めるとした。
・バージニア大学は報道を受け、ワームビア氏の家族と連絡を取っているとし、地元オハイオ州ワイオミングの母校は家族のプライバシーのためノーコメントとしている。
・数週間前記者会見で、政治スローガン入りの掲示物を盗もうとしたと涙ながらに自白。これを同氏の地元オハイオ州ワイオミングにある「フレンドシップ・ユナイティドメソジスト教会」に掛けたいという女性知人のために取ったと述べ、この証言が国家転覆罪の証拠となった。
・オハイオ州政府と大統領候補ジョン・ケーシック氏は北に(同氏の)即時解放と帰国を求める声明を出し、ケーシック氏は、「(同氏の)拘束は全く不当で北当局の判決は司法の概念に反する」と述べている。
・元国連大使ビル・リチャードソン氏は、同氏の家族とケーシックに仲介役を頼まれ、ニューヨークで北外交官らと会談、恩赦要請は平壌に伝えられるとし、過去のケースから判決後釈放される可能性はあるが、現状の緊迫した国際情勢から安易に期待は出来ないとした。
・外国人が受けた同様の刑は何れも短期刑で重罪。米では北への渡航は禁じられており、米国務省は北への渡航しないよう強く勧告している。外交関係がないため平壌のスウェーデン大使館がこのような事態では仲介となる。
3月17日付米
『CNNニュース』は「北が米学生を15年労働教化刑に」との見出しで以下のように報道している。
・中国系旅行会社ヤングパイオニアツアー主催の平壌旅行に参加し、1月2日米国行の飛行機に搭乗するところを拘束された。
・裁判は(同氏が)大学の秘密組織やCIAともつながりが疑われる地元オハイオの教会の一員の意向で「反逆行為」を犯したとし、証拠として指紋捺印書、政治スローガン掲示物の写真、防犯カメラの映像が提出された。同氏は「兄弟姉妹が私を必要としている。私はただの人間だ。人生最悪の過ちを犯してしまった。」と寛大な措置を求めた。
・北朝鮮人権委員会の事務局長によると、同刑は「一日中リンゴの木を植える」などの農業に従事する極めて苛酷な強制労働であるとする。
3月16日付米
『ニューヨークタイムズ』は次のように報道している。
・ホワイトハウスのアーネスト報道官は「北当局が市民を人質として使おうとしている事が明白になってきた。また同氏の拘束は北渡航が危険な事の現れだ」と声明。
・(同氏が)自白を強要されたかは不明だが、過去同様の記者会見を平壌で行い拘束されていた人物が後に語ったところによると、自白と謝罪を強要されたという。
閉じる
英国がEU残留の是非を問う国民投票を実施へ(2016/02/22)
英国のキャメロン首相は、先週開催されたEU首脳会議で英国の要求を大幅に受け入れた改革案が合意されたことを受け、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を6月23日に行うと発表した。
キャメロン首相は国民投票でEU残留を決めたい考えであるが、世論は二つに割れており、政界でも与党保守党だけでなく閣内でもEU残留に反対する閣僚を抱えている。こうした中、次期首相候補のジョンソン・ロンドン市長(保守党)もEU離脱を支持すると表明し、国民投票の行方は予断を許さない状況となっている。
20日の
『CNNニュース』は、英国のキャメロン首相が、EUに残留するよう求める国民投票を6月23日に実施すると報じた。
・ベルギーで先週開催されたEU28カ国首脳会議で、キャメロン首相は英国への譲歩を引き出した。これにより英国は、EUの最終目標である“より緊密な連合”形成にかかわる必要がなく、EU域外から移住する経済的困窮者に7年間支給する補助金や児童手当の負担を免れることができる。
・キャメロン首相はこれらの譲歩を得たことで、6月23日に国民投票を実施することに踏み切った。...
全部読む
20日の
『CNNニュース』は、英国のキャメロン首相が、EUに残留するよう求める国民投票を6月23日に実施すると報じた。
・ベルギーで先週開催されたEU28カ国首脳会議で、キャメロン首相は英国への譲歩を引き出した。これにより英国は、EUの最終目標である“より緊密な連合”形成にかかわる必要がなく、EU域外から移住する経済的困窮者に7年間支給する補助金や児童手当の負担を免れることができる。
・キャメロン首相はこれらの譲歩を得たことで、6月23日に国民投票を実施することに踏み切った。英国国民は国民投票で、EUという巨大な国際機構に加入して大きな影響力を行使するか、単独でより大きな国家主権を確保するかの選択を迫られる。
・キャメロン首相は英国がEUに留まるとする立場を明確にしたが、保守党の中でも意見は分かれており、閣僚のうち少なくとも4人はEU残留に反対している。
・EUにとって英国の離脱は、EU内でドイツに次ぎ第2位の経済力を持ち、国連安全保障理事会の常任理事国を失うことであり大きな打撃である。
20日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、英国が6月23日に実施するEU残留か否かの国民投票は、英国および欧州諸国に重大な影響を与えると報じている。
・キャメロン首相は、EU委員会での厳しい交渉を通じて英国が“特別のステータス”を獲得したことを閣議で報告し、国民投票の実施を発表した。
・EU委員会での合意によれば、英国はEUの最重要目標である“連合の緊密化”を推進する義務を免責される。また、EU域外から英国に出稼ぎに来る労働者への支援金、児童手当などの支給を4年間制限することができる。更に、ユーロ通貨に参加せず自国ポンドを維持することによって、英国の金融業界が不利益を被ることはないとの保障も獲得した。
・英国のEU離脱は、域内での経済危機問題、シリアの内戦による大量の難民流入などの対応に苦しむEUにとって更なる痛手である。
・英国にとっても、欧州単一経済市場から外れることは経済的不安定を助長し、国際的な孤立感を深めることになる。もし、国民投票でEU離脱という結果になれば、親EUのスコットランドでは独立要求の声が高まる可能性がある。
・キャメロン首相は過去EUに対して批判的であったが、現在は支持する側に立場を変えている。一方、6人の閣僚は英国離脱(Brexit)に賛成すると表明している。
20日の
『BBCニュース』は、有力政治家のロンドン市長のボリス・ジョンソン氏が、EUに留まることは民主主義の崩壊につながるとして、EU離脱を支持すると表明したと伝えている。
・ジョンソン市長の発表はEU離脱キャンペーンを非常に勢いづかせるとともに、キャメロン首相には大きな打撃になると思われる。ジョンソン市長は英国のカリスマ政治家の一人であり、これまで主導者を欠いていた離脱運動に国民の関心が集まることは間違いない。
・問題は、国民投票の結果を左右するほどの影響力があるかどうかである。ジョンソン氏はこれまで陽気な性格で2回の地方選挙で勝利しているが、将来の首相候補として国政の場での力が試されることになる。
閉じる
その他の最新記事