欧米が対イラン経済制裁を解除(2016/01/18)
イランとの核開発交渉に昨年最終合意した米国をはじめ関係6ヵ国は、16日、合意遵守が確認されたことを明らかにし、核開発に関連する対イラン経済制裁を解除すると発表した。イランは、1979年のイラン革命から続いている欧米との対立が緩和し、国際社会へ復帰することになる。一方、サウジアラビアをはじめ周辺諸国ではイランの国力増大が中東の不安定化に繋がるとして警戒感も強い。また、世界有数の産油国イランの原油輸出が解禁されることで、原油市場に与える影響を懸念する声も出ている。
17日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、オバマ大統領は、イランの核開発計画を大幅に後退させ、拘束されていた米国人を開放させるなど強力に外交力を発揮していると報じた。
イランとの長くかつ困難な核開発交渉を通じて、過去数十年で初めて対話の糸口が開かれ、両国間の核以外の重要問題についても話し合えるようになった。ケリー国務長官とザイフ外相との間で構築した外交チャンネルによって先週ペルシャ沖で拘束された米海軍乗組員が迅速に解放され、イランで不当に投獄されていた5人の米国人の引き渡しが実現した。...
全部読む
17日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、オバマ大統領は、イランの核開発計画を大幅に後退させ、拘束されていた米国人を開放させるなど強力に外交力を発揮していると報じた。
イランとの長くかつ困難な核開発交渉を通じて、過去数十年で初めて対話の糸口が開かれ、両国間の核以外の重要問題についても話し合えるようになった。ケリー国務長官とザイフ外相との間で構築した外交チャンネルによって先週ペルシャ沖で拘束された米海軍乗組員が迅速に解放され、イランで不当に投獄されていた5人の米国人の引き渡しが実現した。米国側は、対イラン経済制裁に違反し訴追されていたイラン系米人6人とイラン人1人を釈放した。
一方で、米財務省は、17日、イランの弾道ミサイル計画に関連し5人の個人と数社に対し新たな経済制裁を実施した。オバマ大統領はこの制裁について「核合意によってイランとの紛争が全て解決する訳ではない。こうした制裁は今後も厳しく継続していく」ことを表明した。また、ある政府高官は、今もイランとはテロリストへの支援、中東地域の不安定化、人権抑圧問題、シリアでの内戦をどう収束するかなどを巡り大きな相違点があると述べている。
17日付
『FOXニュース』(AP電)は、中東諸国の多くはイランとの核合意が発効し、資金力が増し国際社会から認められることで増長したイランが、ますます中東地域での紛争に干渉していくことを懸念していると伝えた。
米国はイランとの核交渉を主導してきたが、多くの中東諸国は合意内容に懐疑的で不安を感じている。イスラエルやサウジアラビアをはじめとするスンニ派の国々にとって、シーア派のイランは不安定化勢力である。彼らはイランが反イスラエル武装勢力やシリアのアサド大統領、イエメンでサウジが支援する勢力と戦うシーア派フーシ族への支援を倍加させるのではないかと恐れている。
その一方で、イランはイスラミックステート(IS)と対立し、2014年以来イラクでの内戦で米国が支援する連合軍の味方になり、ISとの戦闘で大きな戦力となっている。米国とイランの関係改善によってさらに大きな連携が可能になる。イラクのシーア派政権は核合意を歓迎し、中東地域の紛争解決に有益であるとの立場を表明している。
16日付
『CNNニュース』は、イランに対する経済制裁の解除により、原油市場に変動が起きる恐れがあると伝えている。イランは経済制裁解除を受け海外市場獲得のため原油増産を続けており、間もなく生産量で世界のトップクラスに復帰する。原油価格はここ数カ月続落し、1バーレル当たり30ドルを下回っている。イランの供給増により更に原油は値下がりすると思われる。アナリストはイランの増産量を日量60万~100万バーレルと推定するが、イラン政府は更に強気であり、年末までには150万バーレル増産し日量420万バーレルの生産をおこなうとしている。
ただし、増産すればするほど価格は下がるのがイランにとっては悩ましいところである。イランは他の産油国と較べ生産コストは比較的安いが、老朽化した石油採掘設備の更新を迫られており、これ以上の原油値下がりは痛手であると報じている。
閉じる
ルノー社に排ガス試験不正で立ち入り調査(2016/01/15)
仏自動車大手のルノーが排ガス不正問題に関し、仏当局から立ち入り調査を受けたことが明らかになった。仏政府が実施した排ガス試験の暫定結果によると、ルノー車ではフォルクスワーゲン(VW)が排ガス規制逃れのために搭載していた違法ソフトウエアは確認されていないが、試験装置での計測値と実走行値で大きな乖離がある模様であり、引き続き調査は継続される。これを受けて14日の欧州株式市場では、ルノーの株価が大幅安となり一時20%以上も値下がりした。
14日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、フランス政府がルノーやその他の自動車メーカーの車約12台の排気ガステストをおこない、その内数台が同国の排ガス基準に違反していると公表したと報じた。一方で同政府は、テストは未だ続行中であるとし、VW製の2台を除き排ガステストを誤魔化す不正ソフトウエアなどは見付かっていないと述べている。
VWの排ガス不正スキャンダルが発覚後に仏政府が実施した排ガス試験の暫定結果によると、欧州が定める排ガス基準と自動車の路上での測定値には乖離がある。...
全部読む
14日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、フランス政府がルノーやその他の自動車メーカーの車約12台の排気ガステストをおこない、その内数台が同国の排ガス基準に違反していると公表したと報じた。一方で同政府は、テストは未だ続行中であるとし、VW製の2台を除き排ガステストを誤魔化す不正ソフトウエアなどは見付かっていないと述べている。
VWの排ガス不正スキャンダルが発覚後に仏政府が実施した排ガス試験の暫定結果によると、欧州が定める排ガス基準と自動車の路上での測定値には乖離がある。エマニュエル・マクロン仏経済相は、ルノー(仏政府が15%出資)は断じてVWと同罪ではないと述べている。ルノーの広報担当は試験装置でのテストと路上テストの乖離があることやその対応について、先月から政府の調査委員会と協議していることを認めた。
ルノーは昨年12月17日、同社のディーゼルエンジン車に新型排ガス循環装置の前倒し装着のため5千万ユーロの投資計画を発表、これにより実走行と試験との排ガス数値の差は大幅に縮まるとしている。
14日付
『CNNニュース』は、フランス警察が排ガス試験結果を巡りルノーを立ち入り捜査し、同社株は大幅に下落したと伝えた。ルノーは、政府の排ガステストの暫定結果を検証するため、テストに不正がなかったかを独立した調査員が立ち入り捜査したものと発表した。
ドイツのVWが米国の排ガス試験で不正を働いたことを受け、仏政府は独立調査委員会を立ち上げフランスメーカーが同様の不正をおこなっていないか調査をおこなっている。ルノーは、暫定調査結果ではルノー車に排ガス規制の不正ソフトウエアは確認されておらず、これは同社にとって幸いだと述べている。
14日付
『ブルームバーグビジネス』は、ルノーが自動車排ガス試験を巡る調査のため仏政府捜査官の立ち入り調査を受け、VWと同じスキャンダルを嫌気して同社株が大幅安となっていると報じた。ルノー社は調査に全面協力していると発表したが、何が押収されたか詳細は明らかにしていない。プジョー・シトロエンは、同社の車の試験結果について問題は見付からず、立ち入り調査も受けていないとしている。
先月末、仏政府がルノーの4車種25台を含む100台の自動車について、排ガス試験装置の結果と実走行値にどれだけ差があるかのテストをおこなった。ルノー車に不正フォフトウエアは装着されていなかったが、ルノー車と一部の外車で実走行値が高いことが判明した。
ルノー社は排ガス規制が厳しい米国にはディーゼル車を輸出していない。しかし、VWのスキャンダルが明らかになっても、フランス自動車メーカーにとって欧州市場で60%を占めるディーゼル車は不可欠なのである。
閉じる
その他の最新記事