トランプ氏が台湾総統へ電話(2016/12/06)
米国のトランプ次期大統領が親台湾派のトランプ陣営スタッフの仲介で、台湾の蔡英文総統と電話で会談した。
1979年の米台断交以来初めてのこととなった。会談の内容は確かではなく、アジアの問題や今後の米台の関係だったとも、大統領選挙への祝辞だったとも言われる。またトランプ次期政権の首席補佐官のプリーバス氏と親しい友人であり入閣がささやかれる元副大統領副補佐官スティーブン・イェーツ氏も近く台湾を訪問する予定だという。一方、トランプ氏はツイッターを使い、南シナ海での軍事施設建設や為替操作について中国を批判した。中国側も米国に抗議するなど、トランプ氏の対中国への強硬姿勢により次期政権と中国の関係が緊張する懸念がある。
12月4日付米国
『CNBC』(AP通信引用)は「トランプの電話で台湾には期待感、中国は懸念」との見出しで次のように報道している。
トランプ次期大統領による10分の電話と2つのツイートがニュースとなり、台湾には米国との関係強化への期待感が高まる一方、米台の複雑な関係に、台湾を中国の一部と見なす大陸、中国は懸念を示した。トランプ氏が中国と台湾との対立軸に介入する意図があったかは不明だが、1979年に正式に国交が絶たれて以来どの大統領もやらなかった台湾総統との電話で米国の外交方針を打ち破った。...
全部読む
12月4日付米国
『CNBC』(AP通信引用)は「トランプの電話で台湾には期待感、中国は懸念」との見出しで次のように報道している。
トランプ次期大統領による10分の電話と2つのツイートがニュースとなり、台湾には米国との関係強化への期待感が高まる一方、米台の複雑な関係に、台湾を中国の一部と見なす大陸、中国は懸念を示した。トランプ氏が中国と台湾との対立軸に介入する意図があったかは不明だが、1979年に正式に国交が絶たれて以来どの大統領もやらなかった台湾総統との電話で米国の外交方針を打ち破った。台湾の新聞はトランプが葵氏を「台湾の大統領」と呼んだと報道。この言葉に中国は穏やかでない。
台湾総督府によると、両者はアジアの問題や米国との今後の関係について話をしたという。また、葵氏が台湾の国際関係進展への米国の支援を懇願したという。総督府報道官は、中国との関係を保ちつつ米国とのよい関係を築くことは両立可能だと述べたという。
一方、中国外相が台湾を批判した後、米国への抗議の意向を示しており、今後中国は、台湾との公式な関係を持つ22州に圧力をかける事が予想されるなど今後の出方が注目される。
12月5日付米国
『ワシントンポスト』(AP通信引用)は「不用意か周到か、トランプが中国に強硬姿勢」との見出しで次のように報道している。
次期大統領ドナルド・トランプ氏は偶然か必然にか、中国への強硬な外交姿勢を示す結果となり、オバマ政権と中国側両者から警告される事態となった。
先週慣例をやぶり直接台湾の葵総統と電話会談したトランプ氏はツイッター上に中国の貿易と軍事政策を批判。アーネスト報道官は中国との関係が「損なわれる」恐れがあり、「(トランプ氏の)戦略的意図が不明。説明を求めたい」とコメントした。
現時点ではトランプ氏の顧問が、葵氏との会話が今後の外交政策に関連が或るのか単に祝辞を述べただけなのかの説明に奔走しており、次期政権の首席補佐官ラインス・プリーバス氏は、十分意図をもって行ったものとするが、マイク・ペンス次期副大統領は「単なる祝辞の挨拶」だったとの見解である。
トランプ氏は外交上「意外性」を追及し、オバマ大統領の周到で政策が丸見えなやり方と一線を課すと宣言していたが、その意外性は、同盟諸国も敵対諸国も緊張させ、外交初心者であるトランプ氏が計画的戦略を持っているのか衝動的に行動しているのかが疑問視される。中国は外交上、特に米国関係では形式を踏まえた上での交渉を好む。
12月3日付台湾
『台北タイムズ』は「葵とトランプが電話会談の予定」との見出しで次のように報道している。
今回の電話会談は親台湾派のトランプ陣スタッフを通して実現したという。トランプ米次期大統領はTPP脱退表明や同盟国の軍事負担増を迫るなどアジア太平洋地域外交政策に不透明感があり、大統領選挙中は台湾企業も米国内の雇用を奪っていると批判していた。米国との直接外交が実現すれば、米国との関係が進展するとの期待感がある。
また、元副大統領ディック・チェイニー氏の副補佐官スティーブン・イェーツ氏が今週から1週間訪台し、総統や国家安全局長らと面会予定。イェーツ氏は、今期の共和党大綱起草を担当しており、トランプ次期政権の首席補佐官に任命されたラインス・プリーバスの友人で、米政府筋によるとトランプ政権発足後に入閣予定だとのこと。
12月5日付中国
『シナ』は「中国のネット市民はトランプのツイートを批判」との見出しで次のように報道している。
トランプ次期大統領の外交知識のなさに批判が上がる。台湾の葵総統と電話会談し、通貨切り下げや南シナ海での軍事施設建設の建設を批判しているが、中国のネットユーザーからは、トランプ氏が向こう見ずに中国に指図することへの怒りの声があがっている。
ルカン中国外交部報道官は、「中国はトランプ次期政権側の意図を重視しない、両国は良好な経済関係を今後も維持する。「米次期大統領が中国に強硬路線を敷かない限りは挑発するつもりはない」」とコメント。
トランプ氏はこれまでの外交手段を打ち破り、選挙中からソーシャルメディアを使いこなし、批評には個人的にツイッターで自由に言い返し、フェイスブックとツイッター合わせて1670万人ものフォロワーがいる。フェイスブックは1600万の「いいね」が付き、選挙中にも大きく活用された。ツイッターも選挙中は常に炎上。
中国国民は米大統領選挙中、トランプ氏の異色さ、率直さとエンターテイナーとしての個性に強い関心を寄せ、3月の「グローバルタイムズ」の調査によると、54%がトランプ(候補)を支持していたという結果もあるが、次期大統領となった今、国民の思いは一転。ネット上では「南シナ海問題での(米国との)対立に拍車を掛けた、ただの愚かな人」、「残念なことに大統領就任前に中国人全員を敵に回した」、「トランプ氏のツイートは報道官のものに代わらないか。トランプの言葉はうのみにできない」などの投稿があった。
閉じる
中国、米国メディア;比ドゥテルテ大統領訪日(2016/10/27)
訪日中のフィリピン大統領は首脳会談で日本からの軍事、経済支援を締結。南シナ海問題では「その時が来れば日本側につく」と述べ日本との連携を示した。中国メディアは、訪日中のフィリピンヤサイ外相が、米比の合同軍事演習は中国との関係促進にマイナスとなるものだと述べたことに注目、米国メディアは、軍事同盟を解消する可能性を示唆しまたもや厳しい言葉を繰り返すドゥテルテ大統領に注目、フィリピン高官の発言から、経済においても、米国よりアジア重視で中国と日本との結びつきが増すだろうと報道されている。
10月27日付中国
『新浪(シナ)』は「日比、軍事、経済保障調印」との見出しで次のように報道している。
水曜、日比は米国との同盟重視と平和的解決で一致するも、共同声明では、日本からフィリピンへの軍事貢献とプロジェクトへの210億円規模の協力に重点が置かれた。安倍首相との会談後の記者会見でドゥテルテ大統領は、米国との同盟には言及しなかったが、南シナ海での日本の軍事協力への期待を述べ、その後声明で日比を重点とする同盟関係重視を確認。...
全部読む
10月27日付中国
『新浪(シナ)』は「日比、軍事、経済保障調印」との見出しで次のように報道している。
水曜、日比は米国との同盟重視と平和的解決で一致するも、共同声明では、日本からフィリピンへの軍事貢献とプロジェクトへの210億円規模の協力に重点が置かれた。安倍首相との会談後の記者会見でドゥテルテ大統領は、米国との同盟には言及しなかったが、南シナ海での日本の軍事協力への期待を述べ、その後声明で日比を重点とする同盟関係重視を確認。
就任以来米国との関係は緊張しているが米国の同盟国日本は中国との関係強化に努めるフィリピンを歓迎、安倍首相は、「南シナ海問題は地域の平和に重要で、ドゥテルテ氏の中国訪問による比日関係強化の努力を歓迎する」とした。
同じく日本訪問中の比ヤサイ外相は、米国との軍事同盟も重視しており、同盟破棄の意向はないとしたが、合同軍事演習は中国との関係促進にマイナスとなるものだと述べた。また、「今政権中に演習を行わないのは、中国との対立を平和的に解決に導く努力をするためだ」と述べた。
日比は、海上自衛隊の大型巡視船2隻を含む海洋安全保障に署名。比のインフラや農業分野でも協力する。ドゥテルテ大統領は、「海洋安全におけるフィリピンの近代化に日本の貢献は引き続き重要。日本と協力していく。」と述べた。
同日付中国
『新華社ネット』(新華社通信)は「比ドゥテルテ氏、日本首相と会談」との見出しで以下のように報道している。
訪日中の比大統領は、安倍首相と首相官邸で会談、安倍首相は記者会見で、フィリピンとの一層の協力体制を述べた。フィリピンの都市部と郊外のインフラ整備を支援。来年ASEAN会議主催国となるフィリピンを日本は全面で支援するとした。ドゥテルテ大統領は、日本はASEANの重要なパートナーで共通の課題に協力して臨むとした。
10月26日付米国
『ハフィンポスト』は「訪日中の比ドゥテルテが米国非難」との見出しで以下のように報道している。
米国との軍事同盟を解消する可能性を示唆し厳しい言葉を繰り返していた比ドゥテルテ大統領は、先週の中国訪問での注目発言は経済に関してであり、軍事に関してではないと日本説得に努め、「その時がきたら、南シナ海対立では、日本の側につく」と発言。
米国との「決別」を中国で宣言し、その後独立外交求めるもので同盟は断絶しないと主張していた同大統領の米比の緊張が高まる中の日本訪問となる。二転三転する発言は、米国と強力な同盟関係にあり中国の海洋進出に対抗するためフィリピンを含む東南アジア諸国との関係強化を探る、安倍首相の頭痛の種となる。
ドゥテルテ大統領は、日本を「兄弟より近しい親友」と表現し、共通の問題で日本と協力し、民主主義の原則で、法的、平和的解決を順守するとした。
10月27日付米国
『CNBC』は「ドゥテルテ訪日:日中はミンダナオの数兆ドル産業に注目」との見出しで以下のように報道している。
比カルロス・ドミンゲス財務長官によると、中国と日本はフィリピンへの鉱石資源への1兆ドル投資で競合。中国より60年の協力関係にある日本が優位だという。ウィキリークス公表の2011年米駐比大使の情報によると、フィリピン第二の島ミンダナオ島は銅、金、鉄、アルミニウムなどの鉱物や天然ガスや油田等の資源の宝庫でその価値は1兆ドル。多種の生物・植物で有名、バナナ、パパイヤ、マンゴーの主産地、「フィリピンのフルーツバスケット」と称される。
ドゥテルテ大統領の中国に続く訪日で、フィリピン外交は大きく転換、米国と距離を置き、北アジア、東南アジアに近づいている。「カルロス・ドミンゲス財務長官は、アジア重視政策を欧州連合(EU)やNAFTA(北大西洋条約機構)メルコスール(南米の共同市場)に例える。政治的意図もあるが、一層結びつきを強めるだろうという。2年以内に米軍撤退を宣言するなど暴言外交の行方に関しては、米比防衛協力協定(EDCA)を解消する可能性は高いが、契約は継続され合意は保たれるだろうとする。
閉じる
その他の最新記事