<ケチ続きの東京オリンピック>
2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックについては、新国立競技場建設計画の白紙撤回、大会エンブレムの遣り直し、更には、同競技場新建設計画に聖火台の設置案が脱漏等々、これでもかという位、立て続けにケチがついている。
そして今度は、東京大会招致に関わる裏金疑惑である。
1月18日付
Globali「国際サッカー連盟(FIFA)と国際ドーピング汚職スキャンダルの余波が東京オリンピックまでも!」の中で触れたが、世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会が発表した報告書によって、2020年の東京オリンピック招致レースに裏金が使われたとの証言があることが伝えられた。...
全部読む
<ケチ続きの東京オリンピック>
2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックについては、新国立競技場建設計画の白紙撤回、大会エンブレムの遣り直し、更には、同競技場新建設計画に聖火台の設置案が脱漏等々、これでもかという位、立て続けにケチがついている。
そして今度は、東京大会招致に関わる裏金疑惑である。
1月18日付
Globali「国際サッカー連盟(FIFA)と国際ドーピング汚職スキャンダルの余波が東京オリンピックまでも!」の中で触れたが、世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会が発表した報告書によって、2020年の東京オリンピック招致レースに裏金が使われたとの証言があることが伝えられた。
当時、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会(東京招致委)も、また、日本オリンピック委員会(JOC)もそのような事実はないと否定していた。
しかし、掲記裏金問題の捜査に当っているフランス検察当局が、日本側からの送金を認定し、捜査に着手したと5月12日に発表したことから、ついに観念したJOC竹田会長は5月13日、ある関係先への280万シンガポールドル(約2億2,300万円)の支払いを認める声明を出した。
同会長は、オリンピック等国際競技に関わる国際情勢や勝因分析のために東京招致委が必要だとしたため支払ったが、正式な業務契約に基づく対価であり正当な支出であるとしている。
ここでいくつもの大きな疑問が沸く。
第一に、WADAの報告が出された今年初め、10万円とか20万円とかの出費ならいざ知らず、2億円も超えるコンサルタント契約に基づく支払いがあったことを何故今まで隠していたのか。
事務局から報告が上がっていなかったから等で済ませる高の話では全くないし、ましてや、支払先が、捜査対象となっている国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長の息子が関係している会社であるならなお更である。
第二に、送金時期が、東京招致決定前後の、2013年7月と10月となれば、限りなくクロに近いグレーと言われかねない事態であるが、支払い対象となった業務の成果は果たして公けにできるのか(実際、かかる業務報告は入手しているのか)、また、どうして微妙な時期の送金となったのか。
本当に正当な支払いと胸を張れるなら、WADAの報告前、あるいは報告後でも、東京に疑義がかかった今年初めに、自ら契約関係、業務成果、対価の支払い等詳細を発表すべきことであったろう。
しかし、検察当局の発表を受けて仕方なく声明を出すという展開では、犯罪がばれた容疑者が、何とか刑を軽減しようと、あれもこれもと苦しい言い訳や言い逃れ、あるいは開き直っての正当化を喚くのに等しい誠に見苦しい行為である。
更に、東京オリンピック実行に当っての責任者の一人である舛添東京都知事も、
『週間文春』の暴露記事で、家族旅行代金などを政治資金より拠出していたと指摘されて、言い逃れができなくなったためか、会計担当の計上ミスとかの苦しい言い逃れをしているが、何とも破廉恥なこととしか言いようがない。
思い起こせば、東京招致が決定したときの猪瀬前都知事も、後に政治資金規正法違反の罪に問われており、実は2013年当時から、東京オリンピック・パラリンピックにはケチがついていたことになる。
筆者は、かつて関わった中国や韓国との貿易関係を通して、また、昨今の両国政治家や個人の身勝手な行動から、日本人に比べて何と問題含みな国民性かと評価していたが、この東京オリンピック関連の一連の問題をみるにつけ、謹厳実直な日本人はどこに行った? と嘆かざるを得ない。
閉じる