米メディア;日本国民は安倍首相を見限ったと酷評(2020/05/26)
安倍晋三首相(65歳)は5月25日、1ヵ月半に及ぶ緊急事態宣言解除を発表した会見において、“日本モデル”を内外に示すことができた、と意気揚々である。しかし、お粗末なアベノマスク配布政策、特別定額支給策の遅延、政権擁護のためとみられた検事長に関わる無理押しの顛末等々、大手紙の世論調査結果が最低支持率を示したように、もはや日本国民は同首相を見限った、と米メディアが酷評している。
5月25日付
『ロイター通信』:「安倍首相、緊急事態措置解除宣言するも、“オウンゴール”で支持率最低」
安倍晋三首相は5月25日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染状況改善に伴い、延長していた緊急事態措置期間を1週間近く早く終了させると発表した。
しかし、同首相のCOVID-19関連での度重なる失政で、支持率は急落し、2021年9月までとなっている任期より早めの退陣の可能性が出てきている。...
全部読む
5月25日付
『ロイター通信』:「安倍首相、緊急事態措置解除宣言するも、“オウンゴール”で支持率最低」
安倍晋三首相は5月25日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染状況改善に伴い、延長していた緊急事態措置期間を1週間近く早く終了させると発表した。
しかし、同首相のCOVID-19関連での度重なる失政で、支持率は急落し、2021年9月までとなっている任期より早めの退陣の可能性が出てきている。
そもそも、評論家らから、COVID-19対策がお粗末で、反応も鈍いと批評されていたことから、同首相の支持率は下降傾向にあった。
そして、同政権が、政権寄りとされる黒川弘務検事長を検事総長に据えるべく、定年延長を閣議決定したり、更に、後付けするかのように検察庁法改定を目論んだりしたことから、検察の独立性を棄損する恐れがあるとして、評論家のみならず一般市民からも非難の声が上がった。
そうした中、当該黒川検事長が、緊急事態宣言下、市民に外出自粛が求められていた最中、知人宅で賭けマージャンを複数回行っていたことが発覚し、当人は5月21日、責任を取って辞職するに至ったことから、益々安倍政権に対する不満、不信が倍加した。
『朝日新聞』が週末に行った世論調査では、安倍首相の支持率は29%と、同紙の調査で初めて30%を切り、呼応するかのように、『毎日新聞』が5月23日に実施した調査では、27%まで下落している。
更に、『朝日新聞』の調査結果では、回答者のほぼ70%が、黒川氏起用について安倍首相の責任が“最も重い”とし、また、57%が、COVID-19対策について評価していないとしている。
コロンビア大学(1754年設立、ニューヨーク在私立大学)のゲリー・カーティス名誉教授(80歳、日米関係政治問題専門)は、“COVID-19感染状況改善が続き、黒川スキャンダルが色あせてくれば、安倍首相は支持率低下を食い止められるかも知れない”としながらも、“但し、せいぜいレームダック(注後記)の首相として残れるかどうかだ”とコメントしている。
安倍首相は会見において、当初の期限より早く緊急事態宣言を解除できたとして、“日本モデル”の成功だと自画自賛した。
しかし、COVID-19感染問題に伴う景気後退は戦後最悪のレベルまで悪化しており、この立て直しは容易ではない。
かつて、安倍首相の任期中に支持率低下に見舞われた際も、何とか取り繕って回復させたが、今回の景気復興は同首相にとって大変な試練となる。
なお、安倍首相の後任候補として、岸田文雄元外相(62歳)と石破茂元防衛相(63歳)の名前が挙がっている。
ただ、前者は人気が少なく、後者も、一般市民からの支持率は高いが、安倍首相批判が顕著なことから自由民主党内では、支持基盤が弱い。
日本大学法学部の岩井奉信教授(69歳)は、“強烈な後任候補がいれば、安倍首相は退陣せざるを得ないだろう”としながらも、“残念ながら、そういった候補はおらず、同首相が残りの任期を全うすることになるというのが最悪のシナリオ”だとコメントしている。
同日付『AP通信』:「日本、緊急事態宣言解除」
政府諮問の専門家会議は、最後まで残った東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道の緊急事態措置を解除するとの政府諮問に賛同した。
日本のCOVID-19感染者は約1万6,600人で、死者も850人と、欧米諸国に比してかなり低く、感染流行は抑えられている結果となっている。
しかし、日本メディアが直近で行った世論調査によると、安倍政権に対する支持率は30%未満と、2012年12月の政権発足以来最低値となっており、有権者は必ずしも安倍首相のCOVID-19対策を支持していないことが明らかである。
(注)レームダック:「役立たず」「死に体」の政治家を指す政治用語。選挙後、まだ任期の残っている落選議員や大統領を揶揄的に指すのに用いられる。原義は「足の不自由なアヒル」。1700年代のロンドン証券取引所で、支払不能で債務不履行に陥った株式仲買人や証券会社を指す言葉として用いられたが、1860年代に米国の政治用語として流用されるに至った。
閉じる
日本;強制力のない”外出自粛”要請ではゴールデンウィーク期間中の行動制限は無理【米メディア】(2020/05/01)
韓国では、新型コロナウィルス(COVID-19)感染収束の見込みが立ちつつあるためか、4月30日からの6連休中に、地方の観光地が大勢の観光客で賑わっている。一方、日本でも4月29日からの8連休のゴールデンウィークに突入しているが、依然収束の見通しが立っておらず、緊急事態宣言が更にあと1月ほど延長される情勢であるにも拘らず、強制力のない“外出自粛”要請に従わない人たちで、公園、レストラン、飲み屋街等は賑わっていると、米メディアが批判的に報じている。
4月30日付
『タイム』誌(
『AP通信』配信):「何故多くの日本人は、政府の外出自粛要請を無視してゴールデンウィークに出掛けるのか」
日本政府は目下、COVID-19感染拡大抑制のため、非常事態宣言を発令して、外出を自粛するよう呼び掛けている。
しかし、未だ多くの人は、感染リスクをおして通勤し、また、レストランや飲み屋街に繰り出している。
ゴールデンウィーク初日の4月29日、『AP通信』記者が芝公園に取材に赴いたところ、小さな子供連れの多くの家族がテントを張ってミニキャンプを満喫していた。...
全部読む
4月30日付
『タイム』誌(
『AP通信』配信):「何故多くの日本人は、政府の外出自粛要請を無視してゴールデンウィークに出掛けるのか」
日本政府は目下、COVID-19感染拡大抑制のため、非常事態宣言を発令して、外出を自粛するよう呼び掛けている。
しかし、未だ多くの人は、感染リスクをおして通勤し、また、レストランや飲み屋街に繰り出している。
ゴールデンウィーク初日の4月29日、『AP通信』記者が芝公園に取材に赴いたところ、小さな子供連れの多くの家族がテントを張ってミニキャンプを満喫していた。
COVID-19感染が拡大して、医療崩壊リスクを引き起こさないため、ゴールデンウィークに外出を自粛することが求められていて、それがどれだけ奏功するか試金石となっていたが、連休初日の動向を見る限り、十分徹底されているとは言い難い。
例えば、医療体制が脆弱な沖縄県では、デニー玉城知事が記者会見で、“観光業が主流の沖縄県としては苦渋のお願いながら、離島含めて沖縄ではおもてなしはおろか、万一の場合の医療サービスも十分提供できないため、沖縄来訪を遠慮して欲しい”と訴えている。
しかしながら、日本においては目下、政府要請に進んで従っている多くの人たちと、それを無視して外出する一部の人たちとの間で軋轢が生み出されている。
そこで、東京大学の社会心理学及びリスク・コミュニケーション専門の関谷直也教授は、政府は、都市封鎖等、もっと厳しい言葉での行動制限措置を打ち出す必要があると説く。
身の入らない外出自粛要請が東京都の小池百合子都知事を落胆させたように、破っても罰則のない要請に対して、多くの人が従っておらず、また、補償が十分でないことから、休業できない店も多い。
安倍晋三首相は非常事態宣言を発令した際、欧州スタイルの厳しい都市封鎖措置は取らないと明言していた。
COVID-19対策チームの長に、西村康稔経済再生担当大臣が据えられていることからも、経済活動が第一で、安全は二の次という意図がくみ取れる。
従って、関谷教授によれば、“経済活動を優先しつつ、外出自粛を要請するという政府見解から、多くの市民は、感染はしないだろうとの希望的観測の下、外出している”と、リスクを過小評価する嫌いがあると警鐘を鳴らしている。
『朝日新聞』の直近の世論調査によると、回答者の4分の3は、これまでよりも外出を控えているとしているが、人との接触機会を80%減少させる必要があるとの安倍首相の要請に対して、従うとした人は半分程度であった。
確かに、世界にも知られている渋谷スクランブル交差点の人けは少なくなっているが、路地裏のレストランやバーは客で混んでいる。
また、知事等から休業要請に従わないパチンコ店の名前が公表されているにも拘らず、構わず営業が続けられ、しかも客で立て込んでいる。
更に、レストランやバーも、午後8時以降閉店の要請を無視するところが多いが、(補償が不十分なため)多分に経営上の判断からとみられる。
ただ、地方などの役所では、外出自粛に向けて独自の取り組みを行っている。
例えば、吉祥寺のある武蔵野市では、市役所の職員が“外出を控えて”という幟を持って市街をパトロールしている。
また、サーフィンで有名な湘南海岸では、地元市長らがビーチを閉鎖する措置に出ている。
ただ、武蔵野市防災担当職員の話では、“市民の中には、危機意識が不足している人がおり、依然、COVID-19が普通の風邪だと考えている”と嘆いている。
閉じる
その他の最新記事