日本と英国、年末までにステルス戦闘機共同開発計画詳細を決定【米メディア】(2022/07/22)
防衛省は2022年初め、北朝鮮と中国からの脅威の高まりを踏まえ、今年も引き続き国内防衛産業の基盤強化を加速していく予定である。その優先順位として先進装備開発があり、ステルス戦闘機、長距離巡航ミサイル、無人戦闘航空機(ドローン)、極超音速兵器が挙げられる。その一環で、防衛省の高官が、今年5月の日本・英国両首脳会談を踏まえて、年末までに両国間のステルス戦闘機共同開発計画の詳細を詰めていくことを明らかにした。
7月21日付
『星条旗新聞』(S&S、1861年創刊の米軍準機関紙)は、「日本と英国、ステルス戦闘機共同開発を推進意向」と題して、日本の防衛省高官が、年末までに両国間のステルス戦闘機共同開発計画の詳細を詰めていくと明らかにしたと報じている。
日本の防衛省によると、日本と英国は今後、ステルス戦闘機共同開発計画を詰めていく意向だとする。
同省傘下の防衛装備庁(ATLA、注後記)高官が7月20日、『S&S』の電話取材の中で言及したものである。...
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7月21日付
『星条旗新聞』(S&S、1861年創刊の米軍準機関紙)は、「日本と英国、ステルス戦闘機共同開発を推進意向」と題して、日本の防衛省高官が、年末までに両国間のステルス戦闘機共同開発計画の詳細を詰めていくと明らかにしたと報じている。
日本の防衛省によると、日本と英国は今後、ステルス戦闘機共同開発計画を詰めていく意向だとする。
同省傘下の防衛装備庁(ATLA、注後記)高官が7月20日、『S&S』の電話取材の中で言及したものである。
両国は既に、米国技術支援の下でF-35ステルス戦闘機を保有しているが、『ロイター通信』の7月14日付報道によると、英国の次世代戦闘機開発計画「テンペスト(嵐の意)」と日本の次期戦闘機開発計画「F-X」が間もなく統合されるという。
英国空軍(1918年設立の世界最古の空軍)の公式ウェブサイトには、“現下のユーロファイター・タイフーン(欧州4ヵ国共同開発、2003年運用開始)に取って代わって、革新技術の詰まった次世代戦闘機「テンペスト」が2035年に運用開始される”と記載されている。
また、日本においても、三菱重工(1884年前身設立)が製造した、レーダー回避・ステルス仕様のX-2戦闘機が2016年に初飛行しているが、この開発事業を通じてステルス技術の蓄積が図られている。
そうした背景の下、日本の高官によると、岸田文雄首相(64歳)が5月に訪英してボリス・ジョンソン首相(58歳)と会談した際、他同盟国との協力も踏まえて、今年12月までに両国間の共同開発計画について具体化することで合意したという。
両国間提携の理由は、“開発コストの大幅削減と技術開発問題のリスク回避”であるとする。
日本側としては、F-16の同型で大型化した三菱重工製造のF-2機を2035年までに運用を止めて、新規感知装置及び情報通信能力が高度化された最新鋭ステルス戦闘機と入れ換える計画を持っているが、正確な開発コストが想定できないでいた。
多摩大学(1989年設立の私立大)客員教授でルール戦略研究所のブラッド・グロッサーマン副所長は7月20日、『S&S』の取材に対する回答メールで、“自衛隊にとって英国側と共同開発することは、日本の防衛戦略の進化となり意義あることだ”とコメントした。
同副所長は、“何故なら、両国間ではこれまで、感知装置やエンジン開発分野で協力していたが、戦闘機全部を共同開発するのは全く別の話であるからだ”と付言している。
(注)ATLA:装備品等の開発及び生産のための基盤の強化を図り、研究開発・調達・補給・管理の適正かつ効率的な遂行並びに国際協力の推進を図ることを任務とする防衛省の外局。2015年10月に発足。
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米メディア;日本がウクライナ侵攻のロシアと平和条約締結交渉はできないと言明、と報道(2022/02/27)
安倍政権当時の日本は、2014年のロシアによるクリミア半島併合を罰するための対ロシア制裁には消極的であった。多分に、長い間懸案となっていたロシアとの平和条約締結及び北方領土返還交渉への悪影響を懸念したとみられる。しかし、岸田文雄首相(64歳)は、今回のロシアによるウクライナ侵攻の暴挙に対して、遅ればせながらの対ロシア制裁に踏み切った。更に、同首相が平和条約締結交渉もできる状況にないと言明した、と米メディアも関心を持って報じている。
2月26日付
『星条旗新聞』(1861年発刊の米軍準機関紙)は、「日本・ロシア間北方領土交渉は振出しに戻る」と題して、岸田文雄首相が、ウクライナへの軍事侵攻を行ったロシアとは、平和条約及び北方領土返還交渉を行うことはできないと言明したと報じている。
すなわち、岸田首相は主要7ヵ国(G-7)首脳との協議を踏まえて、ロシアに対してより厳しい対応を取る意向である旨言及した。
その上で同首相は、かかる状況下にあっては、懸案となっているロシア側との平和条約及びこれに続く北方領土返還交渉を進めていくことは困難となったと言明した。...
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2月26日付
『星条旗新聞』(1861年発刊の米軍準機関紙)は、「日本・ロシア間北方領土交渉は振出しに戻る」と題して、岸田文雄首相が、ウクライナへの軍事侵攻を行ったロシアとは、平和条約及び北方領土返還交渉を行うことはできないと言明したと報じている。
すなわち、岸田首相は主要7ヵ国(G-7)首脳との協議を踏まえて、ロシアに対してより厳しい対応を取る意向である旨言及した。
その上で同首相は、かかる状況下にあっては、懸案となっているロシア側との平和条約及びこれに続く北方領土返還交渉を進めていくことは困難となったと言明した。
同首相は2月25日、参議院予算委員会の席上で、“目下の段階では、ロシアとの北方領土交渉は一旦横に置いて、国際法を破ってウクライナに侵攻したロシアに対する制裁を行うことの方が重大だ”と言及した。
安倍政権当時、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)との関係が良好だったことから、北方領土交渉進展の片鱗がみられた。
かかる背景もあって、2014年のロシアによるクリミア半島併合に伴って欧米諸国が対ロシア制裁に踏み切ったのに対して、日本はこれに同調することをためらった。
欧米諸国による制裁に喘ぐロシアは、日本からの投資を引き出す目的で北方領土返還交渉を続けてきた。
安倍氏の故郷である、山口県長門市で2016年12月に開かれたプーチン大統領との首脳会談において、北方領土での両国共同経済開発プロジェクト立ち上げに向けて協議を開始することに合意した。
そして2018年11月には、シンガポールで開かれた首脳会談で、1956年10月の日ソ共同宣言において言及された、平和条約締結後に歯舞群島及び色丹島の二島を返還するとの了解に基づき、両国間の平和条約締結交渉に拍車をかけることが合意された。
しかし、2020年9月の安部氏退陣後、当該交渉に進展をみないまま現在に至っている。
岸田首相は今年2月17日、プーチン大統領と電話会談した際、ウクライナ問題について討議したとされ、北方領土問題も俎上に上がったはずだが、両首脳とも単に交渉を続けると言及したのに留まった。
一方、かつての当事者だった安倍氏であるが、2月24日の自民党役員会において、“第二次大戦後に形成された国際秩序に対する深刻な挑戦だ”とした上で、“(ウクライナ侵攻は)全く受け入れられない”と強調している。
自民党の幾人かの議員は、北方領土交渉問題があるからと言って、もはや日本が対ロシア批判をする足枷となることはないと言い切っている。
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