キャノン中国子会社、社内に笑顔認証カメラ設置で笑顔の社員のみ入室を許可(2021/06/21)
キヤノンの中国の子会社であるCanon Information Technologyは、オフィスにAI対応の「笑顔認識」技術を備えたカメラを設置した。同社は、このカメラの使用によって、笑顔の従業員だけに入室や、会議の予約を許可したりするなど、すべての従業員が笑顔で業務に取り組むことを推奨している。
米ニュースサイト
『ザ・ヴァージ』 によると、Canon Information Technologyは、昨年、職場の管理ツールの一部として「笑顔認識」カメラを発表したが、当時この技術はあまり注目されなかった。同ニュースサイトは、このような監視カメラが関心を引かなかったことは、欧米をはじめとする現代の職場でいかに監視ツールが一般的になりつつあるかを示していると指摘している。
特に中国企業はAIやアルゴリズムを利用して、従業員を隅々まで監視する体制が広がっている。...
全部読む
米ニュースサイト
『ザ・ヴァージ』 によると、Canon Information Technologyは、昨年、職場の管理ツールの一部として「笑顔認識」カメラを発表したが、当時この技術はあまり注目されなかった。同ニュースサイトは、このような監視カメラが関心を引かなかったことは、欧米をはじめとする現代の職場でいかに監視ツールが一般的になりつつあるかを示していると指摘している。
特に中国企業はAIやアルゴリズムを利用して、従業員を隅々まで監視する体制が広がっている。企業は、従業員がコンピュータでどのプログラムを使用しているかを監視して生産性を測定したり、CCTVカメラを使用して昼休みの時間を測定したり、さらにはモバイルアプリを使用してオフィス外での動きを追跡したりしている。
キングス・カレッジ・ロンドンの専任講師ニック・スルニークは、フィナンシャル・タイムズ紙で「労働者はアルゴリズムや人工知能に取って代わられているわけではない。むしろ、これらのテクノロジーによって、管理体制が強化されている。テクノロジーは、18世紀の産業革命で起こったように、機械と一緒に働く人間のほうのスピードを上げている」と述べている。
印誌『インディア・トゥデイ』 によると、中国では、ある従業員が、ツイッターに相当する中国のプラットフォーム「ウェイボー」に「企業は今や、私たちの時間だけでなく、感情までも操作している」と書き込んだことが報道された。
一方、Canon Information Technologyは、笑顔認証技術を擁護し、社内での肯定的な雰囲気を促進するために設計されたと述べている。キヤノンの広報担当者は、日経アジアの取材に対し、「当社は、このシステムの笑顔認証設定をオンにすることで、従業員に前向きな雰囲気を作ってもらいたいと考えています」と語っている。「ほとんどの人は恥ずかしがって笑顔を見せませんが、オフィスでの笑顔に慣れると、システムがなくても、笑顔を維持してくれるようになり、前向きで活気のある雰囲気を作り出してくれました。」と述べている。
米ニュースサイト『ビジネス・インサイダー』 によると、昨年10月の発表では、この笑顔認証カメラを飲食店、病院、銀行などの企業に向けて販売するとしており、「ポスト疫病の時代に、すべての人に喜びと健康をお届けしたい」としている。笑顔認証機能はオフにすることもできるが、キヤノンは「みんなが笑顔でリラックスして健康になることで、職場の雰囲気が良くなり、効率が上がる」と使用を推奨している。
こうした監視体制の強化は、中国だけでなく欧米企業でも広がっている。『ビジネス・インサイダー』 は2019年4月に、アマゾンが倉庫労働者の休暇中の活動を追跡するシステムを導入したと報じ、2020年には、同社が「人間関係マップ」を使ってホールフーズの従業員が組合を結成する可能性を追跡していることを明らかにした。
ロイター通信も昨年、雇用主が従業員のキーボードやマウスの操作、GPSによる位置情報、電子メールやウェブ閲覧の状況を監視できるソフトウェア製品をいくつか紹介していた。ある開発者によると、パンデミックが発生し、多くの従業員がリモートワークを開始した最初の数ヶ月間で、監視ソフトウェアの試用希望が3倍に増えたという。
『ビジネス・インサイダー』 は、世界各地でオフィス勤務が再開され始めている今、雇用主が従業員の日々の過ごし方に影響を与える手段がまた一つ増えた、と伝えている。
閉じる
習国家主席、”貧困脱却”と喧伝するも、都市部と農村部の収入格差は逆に拡大【インドメディア】(2021/06/15)
習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)は昨年12月、重要課題として取り組んできた貧困撲滅運動の目標が達成できたと高らかに宣言した。中国統計結果より、確かに平均年収の底上げが進んだが、一方で、都市部と農村部の収入格差が大きく拡大している。
6月14日付インド
『アジアン・ニュース・インターナショナル(ANI)』 (1971年設立):「中国農村部の住民、都市部との収入格差拡大に喘ぐ」
中国政府はこれまで、重要課題の一つとして、生活水準を改善し貧困層の撲滅に注力してきた。
その結果、農村部における平均年収が底上げされてきたが、一方で、都市部住民との収入格差拡大に苦しんでいる。
『日経アジア』 紙(2011年刊行の英字紙、2020年9月『日経アジアン・レビュー』 から改称)報道によると、習近平国家主席は昨年12月、長い間の貧困対策が奏功して、ついに貧困問題が解決したと高らかに宣言した。...
全部読む
6月14日付インド
『アジアン・ニュース・インターナショナル(ANI)』 (1971年設立):「中国農村部の住民、都市部との収入格差拡大に喘ぐ」
中国政府はこれまで、重要課題の一つとして、生活水準を改善し貧困層の撲滅に注力してきた。
その結果、農村部における平均年収が底上げされてきたが、一方で、都市部住民との収入格差拡大に苦しんでいる。
『日経アジア』 紙(2011年刊行の英字紙、2020年9月『日経アジアン・レビュー』 から改称)報道によると、習近平国家主席は昨年12月、長い間の貧困対策が奏功して、ついに貧困問題が解決したと高らかに宣言した。
しかし、農村部と都市部の年収格差はむしろ拡大しており、田舎の居住者の生活は依然苦しい。
養豚場を営む54歳の男性によると、“直近数年で生活様式は若干改善してきているが、依然困窮していることに変わりはない”と証言している。
同氏の年収は、依然3万人民元(約51万円)に届いていない。
中国の約9億人が都市部で暮らし、残り約5億人が農村部で居住する。
政府統計資料によると、2020年における前者の平均年収は4万3,834人民元(約74万5,200円)で、後者は1万7,131人民元(約29万1千円)である。
『日経アジア』 紙によると、7年前と比較して、前者と後者の年収格差は57%も広がってきているという。
これは、農村部においては、農業以外の選択肢がほとんどないことに加えて、農業分野での事業拡大の可能性がないからである。
東京大学の田原史起教授(54歳、社会学者・歴史学者、中国社会論専門)は、“都市部の企業は、農村部からの移住者を低賃金で雇用することで利益を上げ、「世界の工場」と呼ばれる程成長を続けてきた”とし、“言わば農村部を植民地として活用してきているので、今後も収入格差が縮まることはあるまい”と解説している。
実際問題、多くの農村部住民が都市部に移住して就職しており、彼らの獲得する平均年収は2020年実績で4万8千人民元(約81万6千円)にも達している。
しかし、それでも都市部の正規社員に比べると、依然遥かに低い収入レベルである。
(参考)中国の貧困問題:習主席は昨年12月、貧困対策で目標を達成したと表明した上で、中国共産党は今年7月、創設100年の節目を迎えるが、貧困脱却が誕生日プレゼントになると力説。しかし、海外の一部の政策専門家は、中国が貧困の定義を緩めに設定しており、貧困地域の開発継続には持続的な投資が必要だと指摘。何故なら、中国は、農村部の極度の貧困を1人当たりの年収4千人民元(620ドル、約6万8千円)未満と定義していて、これは1日当たり約1.69ドル(約186円)に相当するが、世界銀行の設定する国際貧困ライン1日当たり1.90ドル(約209円)より1割余りも低いからである。
閉じる
その他の最新記事