安倍晋三首相の突然の辞任発表で、誰が後継者になるのか喧しい。北朝鮮においても、専制君主の金正恩(キム・ジョンウン、36歳)委員長の容体急変の噂が飛び交った際、誰が後継者になるのか注目を集めた。目下のところ、実妹である金与正(キム・ヨジョン、32歳)氏の下馬評が高いが、同委員長にはもう一人、実兄の金正哲(キム・ジョンチョル、38歳)がいる。ただ、性格がひ弱な上、政治よりポップ・ミュージックの方に興味があるようで、ほとんど可能性はないとみられている。
8月28日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「金正恩委員長実兄の金正哲氏とはどんな人物で、同委員長の後継者になり得る?」
金正恩委員長には、金正哲氏という捉えどころのない実兄がいるが、ミュージシャンでかつエリック・クラプトン氏(75歳、英国のロック・ミュージシャンでギターの名手)の熱烈なファンだという。
かつて、金正恩委員長が危篤状態になったとの噂が飛び交った際、既に朝鮮労働党で重職に就いていた実妹の金与正氏に加えて、金正哲氏の名前も挙がった。...
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8月28日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「金正恩委員長実兄の金正哲氏とはどんな人物で、同委員長の後継者になり得る?」
金正恩委員長には、金正哲氏という捉えどころのない実兄がいるが、ミュージシャンでかつエリック・クラプトン氏(75歳、英国のロック・ミュージシャンでギターの名手)の熱烈なファンだという。
かつて、金正恩委員長が危篤状態になったとの噂が飛び交った際、既に朝鮮労働党で重職に就いていた実妹の金与正氏に加えて、金正哲氏の名前も挙がった。
しかし、同委員長の実兄ではあるが、同氏が後継者として北朝鮮を引っ張ることなど実現可能なことだとは全くみられなかった。
3人の実父である金正日(キム・ジョンイル、1941~2011年)総書記は1990年代後半から2000年代初めの頃、3人の異母兄である金正男(キム・ジョンナム、1971~2017年)氏を後継者として考えていた模様であるが、同氏が2001年半ば、日本に偽造旅券で入国しようとして逮捕されて以来、金正日氏の不興を買って、以降表舞台から去った。
そして同氏は2017年、金正恩委員長が政権を担ってから6年後、マレーシアの空港においてVX神経ガスで暗殺されてしまった。
一方、金正哲氏であるが、北朝鮮問題研究第一人者と言われるレオニード・ペトロフ教授が2017年に豪州メディア『ニュース.コム』に語ったところによると、金正哲氏は“政治嫌い”で、国を引っ張ることよりポップ・ミュージックの方にとても興味を持っていたという。
同教授は更に、“同氏が女性的な特性を持っていたことから、ホルモン注射されて男らしい筋肉質な体形になるよう治療されていた”とも述べている。
金正日総書記の元専属料理人だった藤本健二氏(73歳)が2003年に出版した回顧録「金正日の料理人:間近で見た権力者の素顔」によると、“金正哲氏は少女のような温かい心の持ち主だった”とし、“金正恩氏は内面の強さを持っている”とされている。
また、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)の林刑具(リン・ヒョンク)助教授が2007年に発行した「双極性障害:1989年以降の二つの朝鮮国」によると、金正哲氏が15歳のときに書いた詩を掲載して、その中で“金正哲氏は、爆弾や武器のないユートピアを描いていて、また、ハリウッド映画に傾注していた”という。
一方、成人した金正哲氏を追った記事を掲載した『ワシントン・ポスト』紙によると、同氏はクラプトン氏に憧れ、2006年にドイツの4都市で行われたコンサート全てを鑑賞し、2011年にはシンガポールでのコンサートにも現れたという。
更に、2015年にロンドンで捉えられた目撃談では、彼は専制君主の兄というより、Kポップ・スターのような出で立ちだったという。
また、2016年に脱北した、在英国北朝鮮大使館の元公使だった太永浩(テ・ヨンホ、58歳)氏が2017年に『ロイター通信』に語ったところによると、金正哲氏のロンドン滞在時に世話役として仕えた際、“彼はギターや音楽にしか興味を持っていなかった”とし、ショッピングで訪れたロンドンの楽器店において、30分程ギターを即興演奏したが、“同店にいた客皆が感心する程の腕前だった”という。
なお、金正哲氏が以上述べたとおり、政治に興味を示さず、むしろ実弟の指導力を尊敬しているとみられることから、両者間の関係は良好とみられる。
韓国メディア『中央日報』紙が報じたところによると、金正恩委員長が2018年、初めてドナルド・トランプ大統領との世紀の会談を行う決心をした際、事前に実兄の金正哲氏に相談したとされている。
『日経アジア・レビュー』紙は、“金正恩氏が金正哲氏と話をしているということは、正哲氏が実弟を尊敬する態度で接している”と解釈されると報じている。
北朝鮮研究家は、金正哲氏は今後とも政治指導者としての金正恩氏と良好な関係を続けていこうとし、従って、これ以上前に出てくることはないとみると分析している。
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12月19日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「日本製最新鋭レーダーのフィリピン向け商談が進展?」
フィリピンのデルフィン・ローレンザーナ防衛相は12月13日、同国の周辺海域監視能力強化のため、日本製の最新鋭監視レーダーを買い付ける交渉が進められていると明かした。
2016年にロドリゴ・ドゥテルテ政権発足以降、脱米国・親中政策が進められ、日比関係の行方が注目されたが、日本政府の意向に沿った南シナ海をめぐる防衛強化という観点から、ここ数年特に目立った進展がみられる。...
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12月19日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「日本製最新鋭レーダーのフィリピン向け商談が進展?」
フィリピンのデルフィン・ローレンザーナ防衛相は12月13日、同国の周辺海域監視能力強化のため、日本製の最新鋭監視レーダーを買い付ける交渉が進められていると明かした。
2016年にロドリゴ・ドゥテルテ政権発足以降、脱米国・親中政策が進められ、日比関係の行方が注目されたが、日本政府の意向に沿った南シナ海をめぐる防衛強化という観点から、ここ数年特に目立った進展がみられる。
・フィリピン海軍へ自衛隊保有のTC-90練習機2機を譲渡。
・フィリピン沿岸警備隊へ大型巡視船2隻の供与。
・フィリピン空軍へヘリコプター部品供与。
今回の商談となっているのは、三菱電機製FPS-3次世代型対空・対ミサイル防衛レーダーで、2019年早々にも決定される見込みである。
『日経アジア・レビュー』ウェブサイトで今月初めに報じられたところによると、同レーダーの価格は10~20億円であるが、フィリピン政府は、米国製及びイスラエル製の同様レーダー導入も決定しているという。
これらの監視レーダーの装備に伴い、フィリピンが懸念している、南シナ海の同国主権と主張の島嶼海域の監視能力が格段に向上するとみられる。
一方、日本にとっても、逸注したものの、豪州向けに国産潜水艦の商談を進めていたとおり、安倍政権が採択した「防衛装備移転三原則」に基づき、具体的武器輸出政策が進捗していくことを意味する。
(注)防衛装備移転三原則:長らく保持してきた「武器輸出三原則」を改めて、2014年4月に安倍政権が閣議決定した新たな三原則。厳格な審査を経た上で、該当する武器の売却が国際平和と日本の安全に寄与すると判断された場合に輸出が可能となり、日本の防衛政策における大きな転換となった。なお2015年10月、新政策に基づき、武器の輸出や他国との共同開発を行う防衛省の外局「防衛装備庁」が発足している。
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