中国の大手ソーシャルメディア「新浪微博(Sina Weibo)」が今月13日に発表したのは、ポルノ的な意味合いのある漫画や動画、暴力や同性愛を推奨している内容のものなどを違法コンテンツとみなし、サイト上から削除するという決定だ。新浪微博は中国版ツイッター「ウェイボー」を運営しており、月間約4億人のアクティブユーザーを持つと言われている。同社は「明るく調和のとれたコミュニティー環境を作るため」と説明しており、この措置が3ヶ月ほど続くと発表している。
これに対しウェイボーにハッシュタグ「#我是同性恋」という自らが同性愛者であるという抗議内容の投稿が相次いでいる。ハッシュタグをつけた投稿が17万人に対し、2万4000ものコメントが寄せられている。コメントの一部には今回の措置は「単純な差別」であると書かれており、また他の投稿には「私は同性愛者であり、そうであることを誇りに思っている。私が許されなくても、私のような人間が何千万人も存在する。」「共産主義のもとでは同性愛者は存在しないのか。」などと書かれている。
一党支配の中国では、中国共産党が社会規範や党の政策への批判を抑え込むため、社会主義の本質的な価値から逸脱したネットコンテンツを禁止する方針にある。今回の措置もその一環とみられており、ウェイボーは新たなサイバーセキュリティ法に則っている。
ウェイボーは14日までに5万6243件のコメントを削除しており、108人のアカウントを閉鎖、62のトピックも閉鎖している。ハッシュタグ「#我是同性恋」の投稿も現在は使用禁止になっているとみられる。
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9月初めに中国で開催されたG-20杭州サミットにおいて、オバマ大統領と習主席は、地球温暖化対策を記したパリ協定(注後記)への参加を表明し、“気候変動への継続的な二国間協力”を宣言した。しかし、現実的には両国のスタンドプレーの様相を呈してきている。すなわち、トランプ次期大統領は同協定に懐疑的で、オバマ政権の環境保護政策を継承するとは思えず、また、中国にしてみても、目先の環境対策は全く不十分で、今冬も北京初め大都市にこれまで最多となるスモッグ緊急非常事態警報が発令され、大気汚染がまき散らされる醜態を世界に曝している。
12月21日付米
『ロイター通信米国版』:「中国の首都の住民、スモッグを避けて街から退避」
「●中国の首都北京では、ひどいスモッグ発生から12月21日で5日目となり、多くの住民にとってマスクと空気清浄機が必需品。また、北京を飛び出して“スモッグ回避”旅行に行く人が続出。
●北京含めた中国北部地域では、毎週発生するスモッグのため、航空便や陸上交通、更には買い物にも支障を来し、工場や学校も閉鎖される状況。...
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12月21日付米
『ロイター通信米国版』:「中国の首都の住民、スモッグを避けて街から退避」
「●中国の首都北京では、ひどいスモッグ発生から12月21日で5日目となり、多くの住民にとってマスクと空気清浄機が必需品。また、北京を飛び出して“スモッグ回避”旅行に行く人が続出。
●北京含めた中国北部地域では、毎週発生するスモッグのため、航空便や陸上交通、更には買い物にも支障を来し、工場や学校も閉鎖される状況。
●“スモッグ回避”の遠出ができない人には、換気機能が整備された近郊のホテル宿泊がウェブサイトで紹介され反響。」
同日付英
『BBCニュース』:「中国のネットユーザー、“最悪のスモッグ”とのハッシュタグで検索多数」
「●12月15日以降、北京を含めた中国北部の都市にスモッグ緊急非常事態警報。
●数十万人のネットユーザーが、中国のソーシャルメディア新浪微博(シナウェイボー)上に、“最悪のスモッグ”とのハッシュタグを付けて深刻な状況や不満をアップロード。
●国営メディア
『環球時報』も、スモッグが子供に与える影響について報道。
●しかし、河南(ヘナン)省の小学校で、児童がスモッグの漂う校庭で授業を受ける映像が流され、数万人のネットユーザーがウェブ上で非難の声。後に同校校長は職務停止処分。
●習近平(シー・チンピン)政権は、2020年までに大気汚染問題を大幅改善すると宣言しているが、今年はこれまで以上にスモッグ緊急非常事態警報が発令されていることもあり、対策実現性に疑問符。
●国営メディアによると、12月15日には中国北部の23都市でスモッグ非常事態警報が発令。」
12月22日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「北京市民、市当局のスモッグ非常事態警報発令継続に当惑」
「●北京市民は12月21日、12月16日から発令されているスモッグ非常事態警報が早急に取り下げられないかと心待ち。
●スモッグ非常事態警報発令中は、車の市街乗り入れが制限され、全ての建設工事は中断、工場も一時休止、そして学校や幼稚園も閉鎖。
●世界保健機構(WHO)はPM2.5(微小粒子状物質)濃度を1立法メーター当り25マイクロ・メーター以下を指針としているが、12月20、21日の北京市のPM2.5濃度は400~500マイクロ・メーターまで上昇。
●PM2.5は肺の奥に蓄積され、やがて呼吸器不全などを発症させる原因。
●北京首都国際空港も、12月20日夜には250便以上がキャンセルされ、270便以上が遅延する被害。
●北京市は、スモッグ対策に25億ドル(約2,930億円)投じる計画。」
12月21日付中国
『環球時報』:「汚染物質の70%は“地元が発生源”」
「●中国環境科学研究アカデミーや清華大学の34人の専門家は、中国環境保護部(省に相当)主催の記者会見で、北京・天津・河北省地域に発生しているスモッグの70%は地元が発生源で、28~36%は山東省や河南省などから流れ込んだものだと発表。
●環境当局によると、12月14日には27都市でスモッグ緊急非常事態警報が、また18都市でもそれに準ずる状況だと公表。
●なお、スモッグ緊急非常事態警報発令で、マスクや空気清浄機の売り上げがすさまじく、ただ、交通制限等のために、受注した空気清浄機の搬送が滞ったり、また生産が追い付かず品不足に陥っている状況。」
(注)パリ協定:2015年12月、パリで開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)において採択された、気候変動に対処するため各国が二酸化炭素の排出削減に取り組むとした協定。170ヵ国以上が署名しているが、発効には少なくとも55ヵ国以上の批准とそれらの国の排出量が世界全体の55%を占めることが条件。
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