中国が台湾と友好関係を強化するリトアニアへの輸入規制を強化しているという。リトアニアは台湾へワクチン供給を行い、首都に台湾と名の付く代表部を設置することに合意するなど台湾との関係を強化している。規制強化はこれに対する中国政府による報復措置とみられ、また欧州諸国への警告だともされる。
8月26日付英国
『The Guardian』は「中国が台湾に接近するリトアニアとの貿易停止、欧州への警告」との見出しで以下のように報道している。
貿易を外交問題の切り札とする中国が今標的とするのはリトアニア。人口300万人未満で台湾との外交を強化している。中国は、非公式に既に規制対象となっているリトアニアとの貿易規制を更に強化。
リトアニアと台湾は、2国間の関係強化として、互いの国に代表事務所を設置することで合意している。...
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8月26日付英国
『The Guardian』は「中国が台湾に接近するリトアニアとの貿易停止、欧州への警告」との見出しで以下のように報道している。
貿易を外交問題の切り札とする中国が今標的とするのはリトアニア。人口300万人未満で台湾との外交を強化している。中国は、非公式に既に規制対象となっているリトアニアとの貿易規制を更に強化。
リトアニアと台湾は、2国間の関係強化として、互いの国に代表事務所を設置することで合意している。これを受け、中国は中国大使を解任し、リトアニア大使を国外追放とした。台湾の外務省によると、それ以降中国は、リトアニアへの貨物輸送を停止しているという。
農業、畜産、木材産業に至るまで、輸出制限を停止。これは、石炭、ワイン、牛肉輸出におけるオーストラリア等との貿易摩擦に類似している。オーストラリアの経済は中国に深く依存しているが、リトアニアの経済にとり、中国の重要性は低い。しかし専門家は、「中国は報復措置を取ることにより、他国へ台湾問題でレッドラインを超えれば、このような結果となるというメッセージを発信できるのだ」とする。
中国共産党が台湾を統治したことはないのだが、中国は、台湾は奪還すべき中国の属州だと認識をもっており、分離主義政府を批判、台湾を独立国として扱ういかなる支援にも益々敏感になっている。一方EUは中国の人権侵害に批判的立場だが、慎重な路線を取っている。
SOAS中国研究所(SCI)のスティーブ‣ツァン教授は、「中国の姿勢は、中国のイメージを損ない、欧州や世界での立場に影響する。少なくともリトアニアの政策転換は実現しそうにない。EUがこの問題でリトアニアに味方するかだ。EU加盟国で中国との関係を保っている国が数カ国あり、EUがリトアニアに味方するのは容易ではない。」としている。
中国国営メディアや複数の報道機関では、リトアニアを批判し、貿易関係消滅を強調するような報道が行われている。リトアニアの外務省は、中国との関係修復を望むも、EU諸国同様、台湾との有効な相互関係を維持する姿勢を示している。
8月23日付台湾『Taiwan News』は「台湾と関係を深めるリトアニアへ中国が制裁強化」との見出しで以下のように報道している。
中国が、台湾との関係を強めるリトアニアへ追加制裁を科す。政治的緊張が高まる中の貿易制限に、リトアニアの農畜産業や林業界は不満を示している。この貿易摩擦は、リトアニアが首都ビリニュスへ「台湾」と名の付く事務所設置を許可したことが発端となっている。
これを受け、中国はリトアニアから大使を戻し、今月貨物線路を停止措置とした。この報復は、他国への警告とみられている。中国共産党支持紙は、「米国の見方をし、中国を挑発することは、孤立への道となる」とリトアニアを批判。
リトアニアのギタナス・ナウシェダ大統領は、同国がどの国と関係を深めるかは自国の判断だと主張。米国のブリンケン国務長官が、リトアニアの外務相に土曜電話で「米国は中国からの圧力への抵抗を支援している」と述べており、米国はリトアニアを支持している。
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8月2日付米
『ニューズウィーク』誌:「ロシア、米国が後任を認めない条件でロシア外交官24人の退去を勧告と非難」
在ワシントンDCロシア大使館によると、米ロ間外交問題の流れの中で、米国側からロシア外交官24人が9月3日までに退去するよう求められ、また、後任の赴任も認められていないと明かした。
これは、先月末、米国がロシア側の求めに従って、在ロシア米国大使館等に勤務する200人近い現地職員を止む無く解雇した事態に続くものである。...
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8月2日付米
『ニューズウィーク』誌:「ロシア、米国が後任を認めない条件でロシア外交官24人の退去を勧告と非難」
在ワシントンDCロシア大使館によると、米ロ間外交問題の流れの中で、米国側からロシア外交官24人が9月3日までに退去するよう求められ、また、後任の赴任も認められていないと明かした。
これは、先月末、米国がロシア側の求めに従って、在ロシア米国大使館等に勤務する200人近い現地職員を止む無く解雇した事態に続くものである。
ロシアのアナトリー・アントノフ大使(66歳)が、『ナショナル・インタレスト』誌(1985年刊行の国際関係専門誌)のインタビューの中で述べたものである。
同大使は、“米国がビザ発給条件を非常に厳格化したため、退去を求められた外交官24人の後任は選定できない”と言及した。
同大使はまた、今年6月にジュネーブ(スイス)で開催されたウラジーミル・プーチン大統領(68歳)とジョー・バイデン大統領(78歳)の首脳会談以降、残念ながら両国間関係は何ら改善されていないと吐露した。
同首脳会談における数少ない合意事項のひとつで、同大使及びジョン・サリバン米国大使(62歳)がそれぞれ任地に復帰している。
更に同大使は、“米国による、言わば排除と同等のロシア外交官退去措置は、こじつけられたものだ”とし、“米国務省は昨年12月、駐米ロシア外交官の在留期間を一方的に3年に限定するという、他の国には行っていない措置を講じている”と非難した。
なお、米国側は、かかる一連の対ロシア制裁導入・強化措置の理由として、2020年米大統領選へのロシア介入疑惑、英国滞在中の元ロシア人スパイ服毒事件、野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(45歳)の不当逮捕及び同氏支持者への取り締まり、更に、米政府省庁が採用しているソーラーウィンズ社(1998年設立)製ソフトウェアへのサイバー攻撃等々を挙げている。
ただ、ロシア側は上記のいずれも関与を否定している。
一方、8月3日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「駐米ロシア大使、米国側がロシア外交官のビザ発給条件を改悪と非難」
アントノフ駐米ロシア大使は8月2日、『スプートニク』のインタビューに答えて、米国務省はロシア外交官の取り扱いについて記者団をミスリードしていると非難した。
同大使によると、ロシア側から米国に対して、双方の外交官の滞在ビザ1年の延長措置を取ることを繰り返して要請していたが、米国側はこれをはぐらかそうとしているという。
実際、ロシア側は米国政府に対して、約130人のロシア外交官及びその家族に対するビザ延長を申請していたが、公使参事官1名のビザ延長を認めただけだとする。
一方、ロシア側は同時期に、22人の駐ロ米国外交官のビザ延長を認めている。
同大使は更に、米国務省のネッド・プライス報道官(38歳)が声明で、ロシア側が在ロシア米国大使館等での現地職員雇用を禁止したことでロシアにおける米国外交官の業務に支障を来していると言及しているが、米国におけるロシア外交官の扱いに対する現状を糊塗しようとするものであり、記者団に誤解を生じせしめる懸念がある、とも言及した。
同大使によれば、“米国側の措置によってロシア外交官の駐米が叶わなくなり、しかも決定から72時間以内の退去を求められていることから、彼らの私財の処分や現地職員の解雇等、苦渋に満ちた対応を迫られている”という。
最後に同大使は、米国側が昨年12月にロシア外交官の駐在期間について3年を上限とするとの一方的な措置や、今回の24人のロシア外交官の退去勧告等、米国政府は、ロシアの外交官態勢に悪影響を及ぼそうといろいろな手段を持ち出していると非難している。
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