米国、ワクチン接種者に対し渡航禁止措置を終了へ
米国は20日、新型コロナウイルス対策として導入した入国制限措置について、ワクチン接種を完了した外国人に限り、11月上旬から解除すると発表した。
『AFP通信』によると、入国制限は、新型コロナウイルスの流行が始まった際に導入された措置であり、1年半ぶりの緩和となる。今回の動きは、アフガニスタンからの米軍撤退やAUKUS設立の発表による、米国と欧州との関係が悪化している中、欧州の同盟諸国からの大きな要求に応える決定となる。
米政府の新型コロナウイルス対策調整役を務めるジェフリー・ジエンツ氏によると、米国に入国するためには、飛行機に搭乗する前に、予防接種を完全に済ませていることと、3日以内に受けた検査が陰性であることを証明する必要がある。...
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『AFP通信』によると、入国制限は、新型コロナウイルスの流行が始まった際に導入された措置であり、1年半ぶりの緩和となる。今回の動きは、アフガニスタンからの米軍撤退やAUKUS設立の発表による、米国と欧州との関係が悪化している中、欧州の同盟諸国からの大きな要求に応える決定となる。
米政府の新型コロナウイルス対策調整役を務めるジェフリー・ジエンツ氏によると、米国に入国するためには、飛行機に搭乗する前に、予防接種を完全に済ませていることと、3日以内に受けた検査が陰性であることを証明する必要がある。飛行機の中ではマスク着用が義務付けられ、航空会社は米国保健当局に接触者追跡情報を提供する。予防接種を完了していないアメリカ人も、渡航後1日以内に陰性反応が出た場合に限り、入国することができる。
仏『レゼコー』によると、ヨーロッパからの入国制限は、数ヶ月にわたって米国、欧州、イギリスの間で外交問題になっていたという。6月にワクチン接種の有無にかかわらずアメリカ人に国境を開放したヨーロッパは、ワシントンからの相互措置を望んでいた。最終的に、観光シーズン終了後はワクチン接種をしていないアメリカ人は入国禁止とする決定を下していた。
旅行業界は、入国制限の緩和を数ヶ月前から待ちわびていた。米国旅行連盟は、「世界中のワクチン接種を受けた人々に空の旅を再開するための道筋が立ったことで、米国経済の活性化と公衆衛生の保護につながる 」と歓迎した。
一方で米『フォックスニュース』によると、アメリカ政府が海外からの旅行者に対しワクチン接種を義務化する反面、米国内に解放されている南部国境からの不法入国者にはワクチン接種を行わない政府の方針は矛盾しているとする疑問の声が上がっている。
ホワイトハウスのサキ報道官は、「国境を越えてやってくる人たちは、症状があるかどうか調べられ、もし症状があれば隔離されることになる。空路からの入国者は米国内に長期間滞在するつもりがない。同じことだとは思わない。同じことではない。」と説明している。
全米国境警備隊協議会のブランドン・ジャッド会長は、『フォックスニュース』で、政府のワクチン接種政策の一貫性の欠如のため、新型コロナウイルスを含めて、様々な病気が南部国境を通して持ち込まれていると指摘している。「不法入国者が保護されるとき、新型コロナウイルスの検査は受けさせていない。ワクチンも投与していない。そのままアメリカ国内に解放している。バイデン大統領は米国市民にワクチン接種を要求している。しかし、不法入国者はワクチン接種の義務がない。彼らは米国内で病気を広めることができる。今の政権の偽善には終わりがない。」と非難している。
また、「新型コロナウイルスは、アメリカに入ってくる病気のひとつにすぎない。国境警備隊はそれを日常的に目のあたりにしている。私たちは、病気と思われる人々をよく保護している。彼らを病院に連れて行くと、さまざまな病気で診断される。それが国境を越えてやってきている。新型コロナワクチンを受けていないだけではない。肝炎、その他あらゆる種類の病気の予防接種を受けていない人がいる。今話している瞬間もそうした病気が、アメリカに入ってきている。」とコメントしている。
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中国の「ゼロ・コロナ」戦略、デルタ株で試される
中国で3回目となる新型コロナウイルスの発生に直面している。ゼロ・コロナ政策を維持することの妥当性を疑問視する中国の専門家も出て来ているが、中国政府はこの政策にのっとって、発生が確認された東海岸の都市での取締りを強化し、集団検査を増やしている。
米
『abcニュース』によると、福建省莆田市の周辺の料金所では新型コロナウイルスの検査が実施され、そのうちの十数カ所は完全に閉鎖されたという。また、近隣の厦門市や泉州市でも、デルタ株の感染が拡大しているため、移動を制限している。
国家衛生委員会は15日、福建省の各地でさらに50人の感染者が確認され、そのほとんどが莆田地区であると発表した。
2019年末に中国中部の都市・武漢で初めて検出されたパンデミックの開始以来、中国では厳しい検査、ロックダウン、検疫、マスク着用の義務が課せられている。...
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米
『abcニュース』によると、福建省莆田市の周辺の料金所では新型コロナウイルスの検査が実施され、そのうちの十数カ所は完全に閉鎖されたという。また、近隣の厦門市や泉州市でも、デルタ株の感染が拡大しているため、移動を制限している。
国家衛生委員会は15日、福建省の各地でさらに50人の感染者が確認され、そのほとんどが莆田地区であると発表した。
2019年末に中国中部の都市・武漢で初めて検出されたパンデミックの開始以来、中国では厳しい検査、ロックダウン、検疫、マスク着用の義務が課せられている。中国では感染拡大はほぼ抑え込んでいるが、国内の様々な地域で新たな感染者が発生し続けている。7月から8月にかけてはデルタ株の感染が複数の省に広がり、より感染力の強い新たな変異ウィルスへの懸念が高まっている。
仏『レゼコー』によると、今回莆田地区で確認されたデルタ株は、9月10日に莆田市でシンガポールからの旅行者が最初の感染者として確認されたという。しかし、この旅行者は、中国に到着後、ホテルで厳重に隔離されている間に、3回の陰性反応が確認されていた。
伝染力の強いデルタ株は、世界で最も厳しいとされる中国の「ゼロ・コロナ」戦略にとって、やっかいな存在だと言える。中国は2020年3月以降、外国に対してほぼ閉鎖されている状態となっているが、7月末に南京から始まった感染の波が17省に広がり、福建省での感染はまだ食い止められたばかりである。それ以前に、工業地帯である広東省でも流行が再燃しており、これも海外からの変異株の流入が原因とされている。
他のアジア諸国と同様に、中国でもウイルス学者の中から、ゼロ・コロナ政策を維持することの妥当性を疑問視する声が上がっている。上海の感染症専門家である張文宏氏は、7月末に「ウイルスと共存することを学ばなければならない」と述べている。しかし、インターネットユーザーから「外国の思想を伝えている」と非難され、直後に大学から盗作の疑いをかけられたため、発言を撤回することを余儀なくされた。また、ある教師は、ネット上のニュース記事へのコメント欄で、中国はウイルスと「共存」できると示唆したことで、15日間拘留されたという。
中国政府がゼロ・コロナ政策を維持する理由の一つは、中国がワクチン接種による集団免疫を獲得するまでの時間稼ぎである。疫学調査の第一線で活躍する鍾南山氏によると、中国では21億5千万回のワクチン接種が行われており、年末までに集団免疫に必要な80%の接種率を達成するという目標に向けて順調に進んでいるという。
しかし、アメリカの外交問題評議会の国際保健を担当する黄延中氏は、デルタ株はこの議論を無意味なものにすると述べている。「中国の既存の予防接種計画では、集団免疫を獲得することはできない」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。
北京の欧米外交官は、「習近平は、昨年の流行の抑制を個人的な勝利として位置づけた。北京オリンピックまで半年、第20回共産党大会まで1年という時期に、戦略を変えてウイルスへの警戒を緩めるようなリスクは絶対におかさないだろう。」と述べている。
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