7月24日付
『AP通信』:「数週間後に処理水の海洋放水をひかえた福島の住民不安」:
数週間後、津波の被害にあった福島第二原発では、放射能汚染水の海洋への放出が開始される。これには国内外で未だ反対の声が大きい。
地元住民は福島のイメージが12年前に後戻りしてしまうのではないかと、ビジネスや生活への不安を抱いている。政府は風評被害は限定的だと説明するも、地元経済への影響は不透明となっている。...
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7月24日付
『AP通信』:「数週間後に処理水の海洋放水をひかえた福島の住民不安」:
数週間後、津波の被害にあった福島第二原発では、放射能汚染水の海洋への放出が開始される。これには国内外で未だ反対の声が大きい。
地元住民は福島のイメージが12年前に後戻りしてしまうのではないかと、ビジネスや生活への不安を抱いている。政府は風評被害は限定的だと説明するも、地元経済への影響は不透明となっている。せめて8月末の海水浴シーズン後の放水にするようにとの要望もあったが、地元住民は諦めムードとなっている。
放水計画は、汚染水を処理し、海水の100倍以上で薄め、海底トンネルを通じて太平洋へ放出するというもの。国内外の基準よりも安全性が高いと政府は説明している。
福島では2011年3月の地震、津波、原発冷却施設の倒壊で、汚染水の流出が続いた。約1000タンクの処理水が回収、ろ過、保存されているが、2024年初旬には満杯に達するとされる。政府は冷却施設の廃止とタンクの漏水予防のためには放水が必要だと説明している。
福島の漁業、観光、経済は未だ回復の途上にある。政府は漁業や加工業への支援、そして処理水放水による風評被害対策を行ってきた。地元の漁業が2021年から通常営業に戻ったと当時に、放水計画が発表された。
福島の漁獲量は、漁業従事者の減少や漁獲量減少により、未だに被災前の5分の1となっており、全国漁業協同組合連合会は、風評被害がさらに悪化するとして海洋放水に強く反対している。
韓国や中国の団体も懸念を表明しており、政治や外交問題に発展している。香港は、放水した場合には、福島や周辺の製品を輸入禁止にすると表明。中国は輸入制限を強化、香港のレストランでは、日本のシーフードを排除したメニューへの変更を始めた。
日本が国際原子力機関(IAEA)へ透明性と信頼性を求めたところ、IAEAは今月の報告書で、環境や健康への影響は無視出来るものだと結論づけた。
科学者の間では、処理水の環境への影響はほぼ無いと合意されているが、処理水の中に低量の放射性核種が残留しており、長期的な影響を示すデータが不十分だとする指摘もある。
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バングラデシュ(1971年パキスタンより独立)は、独立戦争時の支援はもとより、現下で進められている原発建設に当たってのロシア援助に恩義を感じており、西側諸国が国連総会でロシアの戦争犯罪を糾弾する場面でも、棄権することでロシアへの消極的支持を貫いてきた。しかし、ウクライナ戦争開戦後1年余りが経過した現在、国際社会からの孤立が強まるロシアをみて、これ以上親ロシアの立場を貫くことは国の将来にとって得策でないと判断したのか、この程公式に、ウクライナ軍事侵攻を正面から非難する声明を出した。
4月29日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュースは、訪日中のバングラデシュ首相が遂に、親ロシアから西側諸国の軍門に下り、ウクライナ軍事侵攻を公式に非難する声明を出したと報じている。
訪日中のシェイク・ハシナ首相(75歳、2009年就任)は4月27日、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)との共同声明の中で、ウクライナ戦争が明らかな国際法及び国連憲章に違反するものだと言及した。
専門家によれば、この声明は明らかに、ロシアを直接非難することは避け、傍観者の立場を取るという従来のバングラデシュの姿勢を転換することを意味するという。...
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4月29日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュースは、訪日中のバングラデシュ首相が遂に、親ロシアから西側諸国の軍門に下り、ウクライナ軍事侵攻を公式に非難する声明を出したと報じている。
訪日中のシェイク・ハシナ首相(75歳、2009年就任)は4月27日、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)との共同声明の中で、ウクライナ戦争が明らかな国際法及び国連憲章に違反するものだと言及した。
専門家によれば、この声明は明らかに、ロシアを直接非難することは避け、傍観者の立場を取るという従来のバングラデシュの姿勢を転換することを意味するという。
バングラデシュはこれまで、1971年にパキスタン(当時の西パキスタン)からの独立戦争に当たって、米国が西パキスタンを支持していたのに対して、インド及びロシアが同国を支援したお陰で独立できたことに、とても恩義を感じてきていた。
また、昨今のロシアとの関係から、ロシア支援による原発の建設プロジェクト推進や、エネルギー資源等の交易より、反ロシアに舵を切ることはできない状態であった。
そこで、西側諸国が昨年3月及び今年2月、国連総会において、ウクライナ軍事侵攻したロシアを非難するそれぞれの決議案を提出した際、いずれも棄権するという立場を取っていた。
同首相は当時、“1971年の独立戦争時、米国がパキスタン(当時の西パキスタン)を支援するため第7艦隊を派遣してきたが、ロシアは我々の側について助けてくれた”とし、“従って、その恩に報いる必要がある”と、ロシア非難決議に賛成票を投じることを止めた理由を語っている。
同首相は、“戦争の原因は複雑で、単純にどちらか一方を糾弾することはできない”とも付言していた。
しかし、専門家によれば、“長引くウクライナ戦争のせいで、世界的な物流供給網が頓挫してしまい、バングラデシュの経済にも深刻な影響を及ぼしている”とし、“従って、今回の訪日を通じて、日本側の支援を仰ぐ必要に迫られたと考えられる”とする。
バングラデシュとしては、敵対する米中どちらに付くことはせず、うまくバランスを持って関係を継続したいと考えていたが、今回、中国と対峙するためにアジア太平洋地域でパートナーシップを強化するとする日本との間で、冒頭で言及した共同声明を発信することに合意したことから、中国とも距離を置くことにしたことを意味する。
同声明の中では、“両国は、海洋法に関する国連条約(国連海洋法条約、UNCLOS、注後記)を支持し、これに反する一方的な現状変更は、地域の平和と安定を棄損するため、真に反対する”と言及されている。
すなわち、バングラデシュは、東シナ海の尖閣諸島において中国と領土問題を抱える日本側説明に納得し、同じく南シナ海における中国の一方的海洋活動にも反対する立場を取ったことになる。
ハシナ首相は4日間にわたる訪日を通じて、日本との防衛協力関係強化を望んでいたことが覗える。
外交問題専門家も、今回の両国共同声明によって、バングラデシュが明らかに外交政策を変更(すなわち、中ロと距離を取って日米に接近)しようとしていると分析している。
(注)UNCLOS:海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月に署名開放、1994年11月に発効した条約。世界の大洋に面した主な非締結国として、米国、トルコ、ペルー、ベネズエラがあるが、深海底に関する規定以外の大部分の規定が慣習国際法化しているため、これら非締約国も事実上海洋法条約に従っている。国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、基本条約であるため、別名「海の憲法」とも呼ばれる。
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