米司法省、トランプ前大統領の機密文書等隠蔽容疑に関わり側近従者を更に審問【米メディア】(2022/10/26)
既報どおり、ドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)は、2021年1月6日発生の議事堂乱入事件を扇動した嫌疑や、退任後に不当に機密文書等を私邸に持ち込んだ容疑で取り調べられている。そしてこの程、米司法省が、同前大統領から直接指示を受けて、押収前の秘匿文書等を保管庫から別の場所に移したとされる側近を更に審問することになった。
10月24日付
『AP通信』は、「米捜査当局、トランプ別邸マー・ア・ラゴの家宅捜査に続いて側近を更に事情聴取」と題して、連邦捜査局(FBI、1908年設立の司法省傘下の捜査機関)がドナルド・トランプ前大統領のフロリダ州在の別邸を家宅捜査した事態に関し、同前大統領から事前に、機密文書等の一部を別の場所に移動するよう直接指示を受けたとする従者について、FBIが更に事情聴取することになったと報じている。
FBIは今年8月初め、ドナルド・トランプ前大統領が退任後、不当に機密文書等をフロリダ州の別邸に持ち出した嫌疑で、同邸を家宅捜査した上でかなりの数の機密文書等を押収した。...
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10月24日付
『AP通信』は、「米捜査当局、トランプ別邸マー・ア・ラゴの家宅捜査に続いて側近を更に事情聴取」と題して、連邦捜査局(FBI、1908年設立の司法省傘下の捜査機関)がドナルド・トランプ前大統領のフロリダ州在の別邸を家宅捜査した事態に関し、同前大統領から事前に、機密文書等の一部を別の場所に移動するよう直接指示を受けたとする従者について、FBIが更に事情聴取することになったと報じている。
FBIは今年8月初め、ドナルド・トランプ前大統領が退任後、不当に機密文書等をフロリダ州の別邸に持ち出した嫌疑で、同邸を家宅捜査した上でかなりの数の機密文書等を押収した。
同捜査の事情通によると、司法省が更に、同邸において機密文書等を移動させている姿が監視カメラに捉えられた側近を事情聴取することになったという。
同事情通は匿名を条件に『AP通信』のインタビューに答えて、当該人物は既に一度審問されていた従者のウォルト・ノータ氏(39歳、2017年より雑用係として勤務、2021年フロリダ州私邸に異動)で、FBIは更に、家宅捜査前に当該文書等を移動させようとした経緯について事情聴取する意向であるという。
本件について、司法省はコメントすることを控えているが、これまでの報道によると、同省は、前大統領による国家防衛に関わる情報の不当な所有や捜査妨害等違法行為の嫌疑について、捜査を進めている。
捜査妨害容疑については、FBIが今年の8月初め、裁判所からの家宅捜索許可証を得た上でフロリダ州在の別邸を捜査した際、機密文書等が同邸の保管庫から別の場所に“移動されて隠されようとした”疑いがあることが判明していた。
同省は今年5月、トランプ側に対して、ホワイトハウスから持ち出した機密文書等を返還するよう求める召喚令状を提出した。
これに基づき、FBIが6月3日にフロリダ州別邸を訪れ、38種類の文書等が入った封筒を回収したが、その際トランプ弁護団に対して、次の通知があるまで、同邸に残された機密文書等を納めた箱を保管庫で厳重に保管しておくよう指示していた。
しかし、FBIは後に、更に隠匿した機密文書等があるとの嫌疑が高まったとして、8月8日に同邸を家宅捜査することとなり、その結果、超極秘と記された機密文書等を含めて100余りの文書等を押収している。
なお、『ワシントン・ポスト』紙が今月初め、ノータ氏の名前を初めて記載して、トランプ従者である同氏がトランプの明確な支持に従って文書が入った箱を移動させた旨FBIに証言したと報じている。
また、『ニューヨーク・タイムズ』紙も10月24日、捜査当局がノータ氏に再び事情聴取する旨報じている。
同日付『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「捜査当局、機密文書等の取り扱いでトランプ側近を厳しく取り調べ」と報じている。
連邦捜査局は目下、トランプ前大統領が不当に持ち出した機密文書等の取り扱いについて、国家安全保障に反する行為があったことを立証すべく総力を挙げている。
具体的には、まず、フロリダ州別邸の保管庫にあった当該文書等を、同前大統領の指示で移動させようとした側近の証言を取ろうとしている。
その対象となっているのが、ホワイトハウス及びフロリダ州別邸で同前大統領の身の回りの世話をしていたノータ氏(グアム出身の元海軍兵)で、別邸の監視カメラに彼の行動の一部始終が映っていることから、同前大統領を裏切ることになっても真実を証言させようとしている。
もう一人が、強烈なトランプ信奉者であるキャッシュ・パテル氏(42歳、弁護士)で、トランプ政権下で、クリストファー・ミラー国防長官代行(57歳、2020~2021年在任)の首席補佐官を務めていた人物である。
同氏は現在、トランプ前大統領から指名されて、前大統領の保有文書等の取り扱いについて、米国立公文書記録管理局(NARA、1935年前身設立)と種々遣り取りする代理人になっている。
従って、同氏は、同前大統領がホワイトハウスから別邸に持ち出した文書の詳細や、NARA及び司法省から文書返還を求められた際の対応について、深く関わっている人物である。
同氏は、8月初めにFBIが家宅捜査に入った際、同前大統領が、文書の機密性を解除した上でホワイトハウスから文書類を持ち出している、と公に表明していた。
司法省としては、ワシントンDC連邦地裁の大陪審の場で、証言させようと努めているが、目下のところ同氏は、米憲法修正第5条自己負罪拒否特権(注後記)に基づき、証言を拒んでいる。
そこで同省は、同地裁裁判長に対して、同氏を大陪審の前に出廷させる暫定命令を出すよう申し立てている。
(注)自己負罪拒否特権:米憲法修正第5条の4項の条項で、「何人も、刑事事件において自己に不利な証人となることを強制されることはなく、また法の適正な手続きによらずに、生命、自由または財産を奪われることはない」と定められている。
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ウクライナ戦争:ロシア軍の形勢逆転のために入手したイラン製大型ドローンに不具合【米・UAEメディア】(2022/09/04)
ウクライナ戦争において、6月頃から米国から提供された高機動ロケット砲システム(HIMARS)等が威力を増し、ロシア軍の形勢がかなり不利になっている。そこでロシア側は、形勢逆転を狙ってイラン製攻撃・偵察大型ドローン数百機を取得する目処を立てたが、8月下旬に最初に引き渡されたドローンに多くの不具合が見つかり狼狽しているとみられる。
9月2日付米
『ワシントン・ポスト』紙は、「イラン、ウクライナ戦争投入用のドローンをロシア側に輸送」と題して、今年7月頃にロシア・イラン間の交渉でイラン製攻撃・偵察大型ドローン数百機のロシア側への提供が決まったが、8月下旬に最初に引き渡されたドローンに多くの不具合が見つかった模様だと報じている。
匿名条件で諜報機関の米高官が語ったところによると、ロシア軍の貨物輸送機が8月19日、イラン製攻撃・偵察大型ドローン(UAV)2機を積んでイランを飛び立ったという。...
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9月2日付米
『ワシントン・ポスト』紙は、「イラン、ウクライナ戦争投入用のドローンをロシア側に輸送」と題して、今年7月頃にロシア・イラン間の交渉でイラン製攻撃・偵察大型ドローン数百機のロシア側への提供が決まったが、8月下旬に最初に引き渡されたドローンに多くの不具合が見つかった模様だと報じている。
匿名条件で諜報機関の米高官が語ったところによると、ロシア軍の貨物輸送機が8月19日、イラン製攻撃・偵察大型ドローン(UAV)2機を積んでイランを飛び立ったという。
それは、イラン最新鋭の攻撃ドローン「シャへド129」及び監視・偵察ドローン「サーエゲ(シャへド191)」という。
米高官によると、近年急接近を続けていたロシア・イランが、反米の一環でイラン製UAV提供の話が7月にまとまり、以降、イラン技術者がロシアを訪れたり、ロシア兵がイラン製UAV操作訓練のためにイランに派遣されたりしていたとする。
しかし、この程ロシア側に提供された最初の2機にプログラム・バグ等、多くの技術的不具合が見つかったという。
同高官によると、“システムにバグがかなり見つかり、ロシア側は非常に不満を表している”という。
ウクライナ軍は、ロシアによる軍事侵攻に抵抗するため、トルコ製ドローンを駆使してロシア軍の装甲車・トラック・迫撃砲等を有効に攻撃していた。
一方、ロシア軍もロシア製ドローンを1,500~2,000機を投入してウクライナ側を攻撃してきた。
しかし、専門家によると、ロシア製ドローンは西側諸国の電子部品等を多く使っていることから、対ロシア制裁で追加手配が不可能になっており、イラン製UAVは鬼に金棒と期待していたとみられる。
親イスラエル米シンクタンク、ワシントン近東政策研究所(1985年設立)の軍事・安全保障問題専門家のマイケル・ナイツ氏は、イランはこれまで軍事用クローンをイエメンの反政府武装勢力フーシ(1994年活動開始)等同盟関係にある国・グループに供給してきたが、精密誘導弾搭載可能な精緻な「シャへド129」を提供したことはなかったので、回路系統のバグ等不測の事態に備える体制ができていなかったとみられる、と分析している。
同氏によれば、“フーシによるサウジアラビアや在イラク米軍へのイラン製ドローン攻撃も全てうまくいっていた訳ではなかったことに加えて、高度な対空防衛システムが整備されたウクライナに高性能ドローンを用いた作戦を実行したこともなかったため、今回のような技術的不具合を生ぜしめたものと考えられる”という。
なお、米国はウクライナ支援の一環で、6月よりHIMARSを提供し始めているが、これによってウクライナ軍は、前線から50マイル(約80キロメートル)離れた後方よりロシア軍の弾薬庫や補給基地を正確に攻撃することができ、かなりロシア軍を後退させている。
従って、ワシントン在シンクタンク、シルバラード・ポリシー・アクセラレーター(2020年設立)のドミトリー・アルペロビッチ会長は、“ロシア軍としては、HIMARSからの攻撃をかわす術を全く持ち合わせていないので、イラン製高性能攻撃・偵察大型ドローンを何としても投入したいと期待していたはずだ”と分析している。
8月31日付UAE『ザ・ナショナル』(2008年創刊の英字紙)は、「米高官、ロシア軍がイランから提供のドローンに多数の不具合を発見して難儀していると表明」との『AP通信』記事を引用して報じている。
米高官情報によると、ロシアがイランから8月中旬に取得したイラン製UAVに“多くの不具合”があったことで狼狽しているという。
匿名条件での情報開示として複数の高官が、ロシア軍はイランから監視・偵察ドローン「マハジェル6」及び攻撃ドローン「シャへド・シリーズ」を数百機取得することで合意していたが、今月受け取った最初のUAV 2機にコンピューター・プログラムのバグ等技術的不具合が見つかったものとみられる、と語っている。
ロシア軍としては、ウクライナ戦争で形勢挽回のため、イラン製高性能ドローンを投入して、空対地攻撃や電子戦を優位に運ぼうと考えたとみられる。
なお、西側による制裁に苦しむロシアは、新たな武器供給先としてイランとの連携を強めることとし、6月頃からイラン側と高性能UAVの提供交渉を行っていた。
一方、イランのホセイン・アミール=アブドッラーヒヤーン外相(58歳、2021年就任)は先月、“国防分野含めて、ロシアとあらゆるレベルでの協力体制を構築することになった”としながらも、“イランとしては、ウクライナ戦争の早期終結を望んでいることから、どちら側にも加担する意向はない”と語っていた。
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