米紙
『ワシントンポスト』によると、ベスト・バイ、ターゲット、ノードストローム、ホーム・デポを含む20の小売業者は、上下両院の議員宛てに、オンラインで物を売る際に匿名性を保つことが難しくなるような法案を可決することを求める書簡を送った。この書簡を作成した業界団体「小売業リーダー協会」の代表者らは、主要なオンライン販売サイトはすべて、偽のオンラインアカウントを使った盗品の販売に定期的に利用されていると主張している。犯罪者たちは、インターネットの匿名性や、特定の販売サイトは販売者の確認を行っていないことをうまく利用しているという。
CEOたちは、「このような傾向は、小売業をますます窃盗の標的にし、悪意のある売り手との競争を余儀なくされている合法的な企業を傷つけ、安全ではない、危険な偽造品に消費者達をさらしている」と指摘している。
小売業界では、マスクをした数十人の窃盗団がバールや銃などの武器を持って店舗に押し寄せる「フラッシュモブ」方式と呼ばれる強盗事件が相次いでいる。ルイ・ヴィトン、ベスト・バイ、ホーム・デポなど、さまざまな小売店が被害に遭い、中には従業員が負傷した事件もあった。
全米小売業協会の試算によると、このような事件は、売上高10億ドル(約1135億円)につき約70万ドル(約7945万円)の損害を企業に与えているという。全米小売業協会の休暇シーズンの売上予測によると、今年の最後の2ヵ月間に小売業者は少なくとも5億9千万ドル(約670億円)の損失を被ることになると予測されている。
これに対し、大手オンライン販売サイトのイーベイは、以前は、オンラインで物を販売する人々にとって「プライバシー、安全性、コンプライアンスに関する深刻な問題」が発生していたが、現在の法律は適切なバランスを保っていると述べている。イーベイは声明の中で「当社のプラットフォーム上での犯罪行為を一切許容していない」と述べている。手芸や古物中心のオンライン販売サイトであるエッツィーは、書簡を支持すると述べ、同サイトでは偽造品や盗難品の販売が禁止されていることを指摘した。
ドラッグストア大手のCVSヘルスのカレン・リンチCEOは9日、米『CNBC』の番組に出演し、ドラッグストア・チェーンは、多発している窃盗や強盗事件をなくすために弁護士と協力し、議会に働きかけていると述べた。そして、「彼らは犯罪者であり、私たちの店はその影響を受けている。彼らがやっていることは、私たちの商品を棚から盗み出して、オンラインに置いていることであり、私たちはそれを追跡しなければならない。」と述べている。
米『フォックスニュース』は、こうした強盗事件は、刑罰を弱める政策を取る民主党系の都市で、相次いで発生していると指摘している。ブラックフライデーには、ミネアポリス、ロサンゼルス、シカゴで強盗事件のニュースが報道された。サンフランシスコでは高級店が破壊され、数千ドルの商品が警察によって回収された。ドラッグストア・チェーンのウォルグリーンは20数店舗を閉鎖したため、カリフォルニアは「万引きの楽園」と呼ばれるようになっている。
一方で、シカゴ市長は、小売業者が犯罪対策を十分に行っていないことに落ち度があると非難している。「店内に警備員を配置し、きちんと稼働する監視カメラを設置し、夜間に商品を施錠し、高級バッグにチェーンをかけるといった計画を実施しない小売業者がいまだに存在する。これらの商品は、組織化された窃盗団を惹きつけている可能性がある」と指摘した。
しかし、元警察官で、警備会社のCEOであるピート・エリアディス氏は、フォックスニュースの取材に対し、リベラル政策の都市では、「犯罪が増えているだけでなく、訴追も伴わない。法執行機関は、そのような要素に関与しようとしない。なぜなら、容認されている犯罪になっているからだ。」と述べている。ロサンゼルス警察保護連盟の会長であるクレッグ・ラリー氏は、「社会が悪い行いに対する説明責任を取り除くと、犯罪者は大胆になってさらに犯罪を犯すようになり、麻薬中毒者は強制的薬物治療に取り組まなくなり、破壊行為や些細な窃盗が暴動による略奪や殺人に発展する」と指摘している。
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米CNNの報道によると、米左派政権は、支持率の低下が続くバイデン大統領にとって深刻な問題となっているサプライチェーン危機やその他の経済的苦境に関する報道をより肯定的な内容に変更してもらうために、アメリカの主要メディアの記者たちと水面下で打ち合わせを行っていたことが判明した。
『CNN』のメディア・ニュースレターによると、「バイデン政権はサプライチェーンや経済に関するニュースメディアの報道に満足しておらず、報道内容を自分たちに有利なものに変えようと水面下で動いている。ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)副代表のデビッド・カミンとバラット・ラマムルティ、運輸省港湾担当のジョン・ポーカリなど、政府高官と実務担当者たちが、先週から主要な報道機関に説明を行っているとの情報が入った。関係者は、雇用創出、経済成長、サプライチェーンなどの動向について報道機関と話し合いを行い、アメリカの経済は、昨年よりもはるかに良い状態にあるということが基本的な主張であった。聞くところによると、キャスターやレポーター、プロデューサーが関係者と話をすることで、生産的な話し合いが出来たという。」
米『ナショナルレビュー』は、ホワイトハウス関係者は報道機関を巻き込むことに成功しているようだが、表面的なものの見方では重要な背景が見えてこない、と指摘している。昨年のこの時期には、新型コロナウイルスのワクチンはまだ発売されておらず、厳しい経済的制限が感染拡大の主な緩和手段となっていた。また、2020年3月に外出制限の規制がかけられたことによって失業者が急増した時期にも近い。現在、失業率の低下は続いているものの、雇用の伸びは予想を下回っており、インフレ率は過去数十年で最も高い水準にまで上昇しているのが現状である。
米『デイリーワイヤー』は、現在、アメリカの有権者にとっての最重要課題はインフレであり、この問題は一向に改善される気配がなく、専門家は今後何ヶ月も高止まりする可能性があると警告しており、民主党政権にとって深刻な脅威となっている、と伝えている。全米企業エコノミスト協会(NABE)の副代表であるジュリア・コロナド氏は、「食品やエネルギーコストを除いたコアの消費者物価指数は、2020年第4四半期から2021年第4四半期にかけて6.0%上昇すると予想され、9月の予測では同期間に5.1%の上昇とされていた。」 と述べている。
11月中旬に発表されたワシントンポスト/ABCニュースの世論調査によると、もし今日中間選挙が行われた場合、有権者は51%対41%と10ポイントの差で、民主党の下院議員候補者よりも共和党の下院議員候補者に投票することが明らかになった。
なお、米『タウンホール』によると、ソーシャルメディアでは、「政府は、失敗した政策をごまかそうとするよりも、より良い政策を作り直すことにもう少し時間を割くべきだろう。」という声や、アメリカのメディアが「国家報道機関と化している」といった声が上がっている。また、これまで複数の賞を受賞してきたジャーナリストのアダム・ホゥースリーは、「これは気がかりではないか。私は特派員として、政治家が私に電話をかけてきたり、ロビー活動をしたりするのをいつも嫌っていた。事実を教えてくれれば、私は事実を報道する。報道機関と一緒に報道を形作ることは、プロパガンダを押し付けることだ。(CNNが)話し合いが生産的だったと認めるとはどういうことだ。」と非難している。
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