東京オリンピック;大観衆の前でのプレーに慣れている著名アスリートも無観客の中での真剣勝負に戸惑い【米メディア】(2021/07/27)
7月26日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「東京オリンピック出場のアスリート、静寂の中でのプレーに戸惑い」
日本武道館は、日本の武道家たちの憧れの聖地とされている。
しかし、そこで開催されている東京オリンピック柔道競技では、折からの新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題の深刻化で無観客とされている。
本来なら観戦者で満員となる観覧席は、空虚な雰囲気を醸し出していて、また、声援ではなく、コーチの指導の掛け声やチームメートの拍手が聞こえるだけである。...
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7月26日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「東京オリンピック出場のアスリート、静寂の中でのプレーに戸惑い」
日本武道館は、日本の武道家たちの憧れの聖地とされている。
しかし、そこで開催されている東京オリンピック柔道競技では、折からの新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題の深刻化で無観客とされている。
本来なら観戦者で満員となる観覧席は、空虚な雰囲気を醸し出していて、また、声援ではなく、コーチの指導の掛け声やチームメートの拍手が聞こえるだけである。
台湾の楊勇緯選手(ヤン・ヨンウェイ、23歳、男子60kg級銀メダリスト)は、“大勢の歓声の中での試合に慣れているので、無観客の中でのオリンピックは少し気詰まりだ”と吐露した。
東京大会組織委員会は、日本の置かれた厳しいCOVID-19環境下、東京都を含めた多くの主要競技場での競技を無観客開催と決定している。
そこで、柔道選手以外の競技出場選手も、“静寂の世界(サウンド・オブ・サイレンス、米サイモン&ガーファンクルが1964年に発表した楽曲のタイトル)”の中でのプレーを強いられている。
多くの出場選手は、大会が開催されたことを大いに喜んでいるが、尋常ではない環境での競技に複雑な気持ちを抱いている。
例えば、2週間前のウィンブルドン選手権大会を連覇したノバク・ジョコビッチ選手(34歳、セルビア出身プロテニスプレイヤー)は、有観客の騒々しい中でプレーしたが、今回の東京大会では、新装なった有明コロシアムの2万席が空のままの状態の中でプレーすることになる。
同選手は、“自身のテニス競技の歴史において、否定的であろうと能動的(応援)であろうと観客の発する声に包まれて、大勢の観客の前でプレーすることでエネルギー(闘志)を得ていた”とし、“それが、依然プレーを続けている最大の理由のひとつだ”とコメントしている。
オリンピックの長い歴史の中で、無観客開催されるのは初めての事態であるため、有観客の場合とどれ程違うのか、大会3日間だけでもそれが如実に表れている。
・競泳競技で、選手の水をかく際の音が観客席まで聞こえる。
・女子ソフトボールの試合で、米国チームのキャット・オスターマン投手(38歳)が見事に内野ゴロでアウトに取った際、チームメートが発した“グッジョブ(良くやった)”との声がテレビ画面を通じて聞こえた。
・体操競技で、米チームのサム・ミクラク選手(28歳)が平行棒の試技の後、見事に着地を決めても、全く反応が聞こえてこない。チームメートのシェーン・ウィスカス選手(22歳)は、歓声がないと試技の出来栄えを鈍らせる恐れがあると吐露している。
・女子サッカーで、(世界ランク1位の)米国チームが1次リーグのスウェーデン(同5位)戦で3点取られて敗戦した際、『テレムンド』(米スペイン語テレビ、1984年開局)名物コメンテーターのアンデレ・カントール氏(58歳、アルゼンチン系米国人)による“ゴーーーーーーール!”という、かの有名な絶叫が遥か遠くからでも聞こえてきた。
・地元開催の日本チームにとっては大きな痛手で、開会式の入場行進のとき、本来もらえる最大の拍手・歓声が起こらなかった。
・(13年振りにオリンピック競技とされた)女子ソフトボールの試合において、日本チームがオーストラリアに8:1でコールド勝ちを収めても何ら歓声等はなく、エース上野由岐子投手(39歳)は、“私たちを支えてくれた多くのファンの前でプレーをしたかった”と吐露している。
これまで、世界のスポーツイベントの無観客開催がなかった訳ではなく、COVID-19蔓延に苦しんだ多くの国で実際に行われてきた。
ただ、それらの国でも今は観客が戻ってきていて、日本においても、プロ野球や大相撲が有観客で実施されている。
しかし、東京大会については、大会組織委員会のみならず日本政府も、有観客での実施による感染爆発を恐れて、止む無く無観客開催とせざるを得ないと強調している。
そこで、国際オリンピック委員会(IOC)も大会組織委員会を支援すべく、過去のオリンピック時の歓声・拍手等の録音を様々な競技場で流すという柔軟な対応をしている。
なお、大会組織委員会もIOCも、今後数週間内に東京都他の感染状況が改善することで、有観客開催に漕ぎ着けられるよう望んでいる。
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中国国営メディア;プロパガンダ喧伝のため米紙に多額の報酬拠出【米メディア】(2020/06/10)
中国国営メディアの一社が、中国プロパガンダ喧伝のため、米紙に対してこれまでに1,900万ドル(約20億5千万円)近くも拠出していたことが判明した。これは、米連邦「外国代理人登録法(FARA、注1後記)」に基づいて、同メディアが米司法省宛に直近で提出した報告書より明らかになったものである。
6月9日付
『ザ・デイリィ・コーラー』保守系オンラインニュース:「中国のプロパガンダ放送局、米紙に総額1,900万ドル拠出」
中国国営メディアの一社が、プロパガンダ喧伝のため、複数の米紙宛に直近4年間で、総額1,900万ドル近くの報酬を支払っていたことが判明した。
中国共産党運営の英字紙『チャイナ・デイリィ』で、FARAに基づいて直近の活動内容を報告するために司法省に提出した報告書で明らかになったものである。...
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6月9日付
『ザ・デイリィ・コーラー』保守系オンラインニュース:「中国のプロパガンダ放送局、米紙に総額1,900万ドル拠出」
中国国営メディアの一社が、プロパガンダ喧伝のため、複数の米紙宛に直近4年間で、総額1,900万ドル近くの報酬を支払っていたことが判明した。
中国共産党運営の英字紙『チャイナ・デイリィ』で、FARAに基づいて直近の活動内容を報告するために司法省に提出した報告書で明らかになったものである。
それによると、2016年11月以降2020年4月までの間、『ワシントン・ポスト』紙に460万ドル(約4億9,700万円)余り、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙には600万ドル(約6億4,800万円)近くが支払われている。
両紙は、当該報酬の見返りとして、『チャイナ・デイリィ』紙が投稿した“チャイナ・ウォッチ”なる記事を本紙の中に綴じ込み、中国プロパガンダ喧伝に一役買っていた。
例えば、2018年9月から“一帯一路経済圏構想でアフリカ諸国と連携”とのタイトルの記事を挿入し、習近平(シー・チンピン)国家主席が推す同構想を宣伝した。
また、昨年に挿入した“関税賦課で米住宅が割高に”という記事では、米政府が中国産木材に関税を賦課することによって、結局米市民に関税分の追加負担のしわ寄せがいくとアピールした。
更に、他紙には広告掲載料として、『ニューヨーク・タイムズ』紙(5万ドル、約540万円)、『フォリン・ポリシー(ワシントンDC)』紙(24万ドル、約2,590万円)、『デモイン・レジスター(アイオワ州)』紙(3万4,600ドル、約374万円)、『CQロール・コール(ワシントンDC)』紙(7万6千ドル、約820万円)宛にも支払っている。
また、『ロスアンゼルス・タイムズ』紙(65万7,523ドル、約7,100万円)初め、『シアトル・タイムズ』紙、『アトランタ・ジャーナル=コンスティテューション』紙、『シカゴ・トリビューン』紙、『ヒューストン・クロニクル』紙、『ボストン・グローブ』紙にも、記事の掲載や投稿記事印刷費用として、合計760万ドル(約8億2,100万円)の報酬を支払っている。
以上のとおり、当該報告書から分かることは、米紙に対して総額1,860万ドル(約20億900万円)、ツイッターでの宣伝費用26万5,822ドル(約2,870万円)の報酬を支払っていたことである。
今回の報告書提出は、司法省が『チャイナ・デイリィ』紙に対して何年もの間、FARAに基づいて米国における活動報告を半年に一度提出するよう求めてきた結果、この程漸く同紙が6月1日付で提出してきたものである。
なお、米国の民主活動グループはこれまで長い間、中国政府が米メディア網を駆使してプロパガンダを喧伝していると警鐘を鳴らしてきた。
フリーダム・ハウス(注2後記)及びフーバー研究所(注3後記)は特に、『チャイナ・デイリィ』紙投稿の記事によって、米メディアへの影響力駆使に努めていると警戒を強めている。
また、最近でも、『チャイナ・デイリィ』紙初め中国国営メディアが、挙って中国政府擁護に注力している。
すなわち、新型コロナウィルス感染問題で、中国政府が米国や他西側諸国より厳しく責任追及されていることから、政府高官の意を酌んで、批判の芽を逸らさせようと躍起になっている。
(注1)FARA:1938年に可決された米国の法律で、「政治的または準政治的権能を持つ」外国勢力の利益を代表するエージェント(外国のエージェント)が、その外国政府との関係及び活動内容や財政内容に関する情報を開示することを義務付けたもの。目的は、「米国政府と米国民による、外国勢力の発言と活動の評価」を容易にすること。司法省の国家安全保障局のスパイ対策室のFARA登録ユニットによって管理されている。
(注2)フリーダム・ハウス:ワシントンDCに本部を置く国際NGO団体で、1941年にナチス・ドイツに対抗して、自由と民主主義を監視する機関として設立。毎年193の国と地域に関して、「自由度や人権状況」、「報道の自由度調査」、「インターネットの自由度ランキング」のレポート等を公開している。
(注3)フーバー研究所:1919年に、後の大統領でスタンフォード大学(1885年創立、カリフォルニア州私立大学)卒業生のハーバート・フーバー(1874~1964年、第31代大統領)が大学内部に創設した、公共政策シンクタンク。同研究所はスタンフォード大学の敷地内にあるものの、同大学に付属する研究・教育機関ではない。
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