ロシア版ダボス会議、フランスメディアが参加者の本音を報道
ロシアで開催されるロシア版ダボス会議とも呼ばれるサンクトペテルブルク国際経済フォーラムが、6月18日に終了した。ウクライナ戦争で欧米諸国がボイコットする中、フランスのメディアは参加者たちの本音を報じている。
仏
『ルモンド』紙によると、フォーラム最終日に登場したプーチン大統領は、「ロシアに対する経済制裁は失敗した」と繰り返し述べ、「ビジネス関係の破壊、欧米企業の強制撤退、国家資産の凍結、産業と金融への打撃によるロシア経済の崩壊は起こっていない。経済状況は一歩一歩正常化にすすんでいる。」と強調した。
大統領は、ウクライナでの「特別軍事作戦」後の欧米からの制裁は、特に供給、物流、特定の技術へのアクセスという点で多大な影響を与えていることを認めながらも、「これは生産、科学の面で我々の潜在能力を完全に実現し、主権を拡大するための刺激である。...
全部読む
仏
『ルモンド』紙によると、フォーラム最終日に登場したプーチン大統領は、「ロシアに対する経済制裁は失敗した」と繰り返し述べ、「ビジネス関係の破壊、欧米企業の強制撤退、国家資産の凍結、産業と金融への打撃によるロシア経済の崩壊は起こっていない。経済状況は一歩一歩正常化にすすんでいる。」と強調した。
大統領は、ウクライナでの「特別軍事作戦」後の欧米からの制裁は、特に供給、物流、特定の技術へのアクセスという点で多大な影響を与えていることを認めながらも、「これは生産、科学の面で我々の潜在能力を完全に実現し、主権を拡大するための刺激である。私たちはそれを望んでいる人々、つまり世界の人口の大多数との関係を強化するのです。」と語った。
仏『レゼコー』紙によると、大統領の強気の演説に対して、フォーラムに参加した一人は、「プーチンの言うことを信じている人は1%にも満たない」と、大統領の演説を放映する巨大スクリーンの前で述べたと伝えている。同紙は、日中は公開討論会、夜はパーティー、近代的なブースが多く並ぶ、今年のこの「国際」フォーラムは、違和感を覚えるとも指摘。欧米人はほとんど見かけることなく、アフリカ、中国、エジプト、そしてタリバンの関係者などが主賓として参加した。
なお、プーチン大統領と主要な国際投資家との会談は中止された。ロシアとヨーロッパのこれまでの産業協力の立役者の一人であるセルゲイ・クラシニルコフ氏は、「今年は主要な投資家がフォーラムに参加しなかったからだ。残念ながら、この状態は今後も長く続くと思われる」と語った。ロシアのある大手企業グループの社長は、「我々は孤立しているのではなく、世界システムから切り離されている。古いつながりが消えていく中、新しいつながりをつくることに苦労している」と述べた。
フォーラムに参加したロシアの著名な国際関係専門家フィオドール・ルキアーノフ氏は、プーチン大統領がカザフスタンのトカエフ大統領と、ビデオ映像でエジプトのアッシーシー大統領、そして中国の習近平国家主席の3名だけと対談を行ったことに対して、「プーチンは孤独だ、いずれにしても、自らをピョートル大帝になぞらえ、もはや相手など必要ないという印象を与えている」と懸念を表明した。
あるロシア人の社長は、「今日は、実はほとんどロシア人同士なのです」と冗談を述べ、「内心、遠回しに(侵攻を)批判しています。しかし、一言でも余計なことを言えば、国外亡命への片道航空券を受け取ることになるのです。」と語った。冶金コンビナートの経営者は、10年前からフランスの企業と組んで仕事をしているものの、フランス企業が離れることになれば、質が下がる中国企業と組むしかないと述べた。
仏ラジオ局『RFI』によると、ロシア当局が欧米の経済制裁でより大きな被害を受けているのは、欧米自身だと主張していることに対して、経済フォーラムに参加したロシア連邦中央銀行総裁のエルビラ・ナビウリナは、プーチンの側近たちが提示するよりもはるかに暗い現状を描いた。総裁は、物価が18%近く上昇したインフレを指摘し、GDPの落ち込みに懸念を示した。ロシア政府がGDP5%減と発表しているのに反して、総裁は1年間で10%減になると予測している。また、ロシア経済が石油とガスに依存しすぎていることにも懸念を示した。
閉じる
ウクライナ戦争:帰国するウクライナ人難民が増加
国連の発表によると、ロシアのウクライナ侵攻以来、1300万人以上のウクライナ人が故郷を離れた。500万人近くが近隣諸国に避難し、800万人がウクライナ国内で避難生活を送っているとみられている。しかし、国外に避難したウクライナ人の中には、危険を顧みずウクライナに戻ることを選択する人が増えていることが報じられている。
英
『BBC』によると、ロシア侵攻後、ウクライナ人は様々な国に避難した。最も多くの難民を受けいれてきたのは、ポーランド(約115万人)、ロシア(約113万人)、ドイツ(約78万人)、チェコ(約36万人)などとなっている。しかし、そのうちの何十万人もの人々が、戦争がいつ終結するのかが見えない状況の中にあっても、母国、特にキーウなどの都市に戻ってきているという。
国連は6月上旬までに、230万人以上のウクライナへの入国が確認されていると発表しているが、これは個々の難民の数ではないとしている。...
全部読む
英
『BBC』によると、ロシア侵攻後、ウクライナ人は様々な国に避難した。最も多くの難民を受けいれてきたのは、ポーランド(約115万人)、ロシア(約113万人)、ドイツ(約78万人)、チェコ(約36万人)などとなっている。しかし、そのうちの何十万人もの人々が、戦争がいつ終結するのかが見えない状況の中にあっても、母国、特にキーウなどの都市に戻ってきているという。
国連は6月上旬までに、230万人以上のウクライナへの入国が確認されていると発表しているが、これは個々の難民の数ではないとしている。ウクライナの国境警備隊は、1日に約3万人の人々が国境を越えて国内に戻ってきていると発表している。
首都キーウなど、開戦当初はロシア軍の進撃に脅かされていたものの、現在はより安全とされる地域に戻ってくる人が増えていると推測されている。キーウのクリチコ市長は5月、同市の人口は戦前の3分の2に戻ったと述べていた。
仏『レゼコー』紙によると、ウクライナ国境警備隊は6月上旬に、ウクライナ西部国境から入国した人の数が27日連続で、出国した人の数を上回ったと発表した。同紙は、6月9日の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータによれば、ウクライナを離れた730万人の難民のうち、230万人がすでに帰還していると伝えている。
仏ラジオ局『ヨーロッパ1』も、フランス領内にいる8万5千から10万人のウクライナ人の難民のうち、特に被災を免れた西部に住む多くの人々がここ数週間、帰国し始めていると伝えている。2月下旬にフランスに避難してきた36歳のアニアというウクライナ人女性とその家族は、同ラジオ局の取材に対し、家族との再会や国の再建のためにも、「地上で最も居心地の良い場所である祖国にある家」に近々戻りたいと話している。
一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領は最近、オンライン記者会見の際、「もし戦争が今日終わるなら、みんなに戻ってくるように頼むだろう。帰国してもらうことはウクライナのためになる。しかしまだ戦争中であるため、帰国するかどうかはウクライナ人一人ひとりの選択になる。」と述べている。
閉じる
その他の最新記事