仏メディア:カレー移民キャンプ閉鎖(2016/10/26)
フランスのカレー市で「ジャングル」と呼ばれる移民キャンプ閉鎖に伴い、280の各地難民センターへの移送が開始された。フランスメディアの報道から、切羽詰まった苦肉の措置だった事や、時代の変化に伴うフランスの移民政策が欠けている事が浮き彫りになる。フランスメディアは次の通り報じる
『ルモンド紙』が移民キャンプ閉鎖は、多数の機動隊が周辺に配置されたが、穏やかに予定通り進んだようだ。抵抗があるとすれば小屋等の解体が進む週末との見通しを示すが、暴動がないのは受入れ先が今ほど劣悪な環境ではないからかもしれない。
「ルモンド紙」によると、受入れ先の移民センター(以下、略称CAO)は、しばしば地元団体が管理を委託され、移民一人当たり一日25ユーロの予算が国から出る。ここで医師の診断を受け宿泊食事が提供され8割が亡命申請支援を受ける。...
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『ルモンド紙』が移民キャンプ閉鎖は、多数の機動隊が周辺に配置されたが、穏やかに予定通り進んだようだ。抵抗があるとすれば小屋等の解体が進む週末との見通しを示すが、暴動がないのは受入れ先が今ほど劣悪な環境ではないからかもしれない。
「ルモンド紙」によると、受入れ先の移民センター(以下、略称CAO)は、しばしば地元団体が管理を委託され、移民一人当たり一日25ユーロの予算が国から出る。ここで医師の診断を受け宿泊食事が提供され8割が亡命申請支援を受ける。保護者のいない未成年者はCAOには行かず、カレーで登録手続きを行い未成年かどうか見極めたうえで、英国の受け入れ先1200に行くかどうかを決める。フランスでは、難民認定がなければ就労できないが、逆に亡命の「申請者」は生活必需品に加え日当6~7ユーロを受給できて、無料の語学コースを受けられる。申請前は受けられない。通常3~5か月間CAOに滞在し今後を考える時間を得る。
一方で各地の紛争で亡命申請数が2015年からフランスで激増してCAOは飽和状態となった。手続きは麻痺状態にも関わらず、仏政府は各CAOに無理やり割り当て数を送りこんだ。「ルモンド紙」は「政府は実に性急に事を進めた」と報じる。仏政府に「ジャングル」のイメージ払拭と再構築阻止を求める圧力は多大だった。2017年大統領選、移民排斥の極右政党の台頭を前に、オランド政権はやむにやまれぬ決断をせざるを得なかった。
『フィガロ紙』は、カレーの現象を「法治国家としてのフランス共和国の失敗」と「欧州の無策」を示すと厳しく批判する。「EUの外部国境の崩壊」を意味すると指摘する。2015年の大量流入時に移民政策の骨子もなく手を差し伸べる事を促したメルケル首相やユンケル欧州委員長の宣言がその引き金となったとも指摘する。また欧州は「移民手引きの不正取引を整理出来なかった」事が最大の失敗とするが、欧州が一致すればまだ間に合うと期待する。
「フィガロ紙」が痛烈に批判するのが、「ここ数年仏政府がカレーの無法地帯の拡大を放置した」だけでなく、「既に飽和状態のCAOに、突然強制的に割り当てて送り込んだ」事は、「移民に関する法律施行を放棄したも同然」と指摘する。
そもそも、カレーの移民は英国を目指していたが、英国が英仏海峡トンネルの出口を封鎖したためカレーに留まっていた。「シェンゲンにより、フランスはあらゆる手段で英国の国境を守る事に努めて、カレーをジャングルに変えた」事に対する反感が今回は強い事を示唆する。また、英国を目指す移民の多くは難民というより経済移民であると指摘する。難民と経済移民の線引きは難しいが、現実に対応した明確な枠組みを早急に見直す必要がある。
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欧州火星探査ExoMars:19日に火星到達(2016/10/19)
欧州とロシアの共同事業で欧州宇宙機関(以下ESA)が主導する火星探査計画エクソマーズ(ExoMars)が、欧州にとって悲願の歴史的瞬間へと向かう。3月14日打ち上げから7か月。16日(日)に無人の微量ガス観測機,トレース・ガス・オービター衛星(TGO)から、着陸機スキャパレリが分離された。3日間かけて火星表面に降下し、予定通りいけば仏時間19日(水)中に着陸する。仏メディアは次の通り伝える。
「火星の生命体の存在」を裏付けるメタン検出レース
『フィガロ紙』が「ESAの火星探査計画が最初の局面を左右する重要な局面入る」と報じる通り、火星到着を前に欧州は歓喜と緊張に包まれる。今回の探査の目的は「火星の生命体の存在」を裏付けるメタン検出である。TGO衛星は火星の周回軌道に乗って、火星大気中に「痕跡」として存在するメタンなどあらゆるガスを検出するための検出器を搭載する。
火星探査では欧州のESAは米国の米国航空宇宙局(NASA)に遅れを取っている。...
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「火星の生命体の存在」を裏付けるメタン検出レース
『フィガロ紙』が「ESAの火星探査計画が最初の局面を左右する重要な局面入る」と報じる通り、火星到着を前に欧州は歓喜と緊張に包まれる。今回の探査の目的は「火星の生命体の存在」を裏付けるメタン検出である。TGO衛星は火星の周回軌道に乗って、火星大気中に「痕跡」として存在するメタンなどあらゆるガスを検出するための検出器を搭載する。
火星探査では欧州のESAは米国の米国航空宇宙局(NASA)に遅れを取っている。2004年に欧州の観測機が火星大気中にメタンの痕跡を観測するも裏付け検出までには至らなかった。一方NASAを擁する米国は火星探査機キュリオシティ号の火星着陸を成功させた唯一の国である。しかし「メタンの気配を示すもの」を2012年に「観測」したが、当時の検出機器の検出限界では、メタンと確定できないまま今日に至る。火星の極希薄な大気が検出を阻む。ESAは巻き返しを図るべく、微量ガス観測機TGOを開発して、「世界初のメタン検出」を狙う。「野心に満ちた欧州とロシアの共同科学ミッション」と形容するゆえんだが、失敗は許されない。
「極めて複雑でデリケートな火星着陸」
『ルモンド紙』によると、16日に母体TGOから分離し降下中の着陸機スキャパレリは、予定通り進めば仏時間の19日中に火星に着陸するが、「複雑でデリケート」な段階という。スキャパレリがTGOから分離する際、TGOからの情報送信に遅れが生じ、地上管制では緊
張が走った。20分後に回復し無事情報を受信できたが、管制センターの科学者達の緊張が
難しさと責任の重さを物語る。着陸機は一旦分離されると軌道修正できなるだけでなく、降下着陸しながら内臓カメラで火星表面の最初の情報を地球送る。また「強度はあるものの火星の砂嵐の季節中の着陸」でもある。今回の探査は2003年の欧州の火星探査失敗以降初めての探査で、今後2020年に予定される第2回ExoMarsの行方も占う。着陸の失敗と情報送信の不具合がこの段階で起これば、ExoMars計画存続そのものも危ぶまれる。
『レゼコー紙』は、TGOが搭載する4種の神器を詳しく説明する。二つの分光器はロシア製(ACS)とベルギー製(Nomad)で、今までの1000倍の精度で大気の化学組成を分析できる。またスイス製カメラ(CaSSIS)が地面の画像を供給する。この3つでメタンの由来が生物的起源によるものか、蛇紋岩のように地学的プロセスかを判別できる。これにロシアが提供した中性子検出器で、地下の水素のマッピングを行う。
今回使用される技術や機器は2020年の第2回火星着陸のために必要な技術を実証すると位置づけられる。ExoMars計画と火星レースの行方を占う火星着陸が待たれる。
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