10月7日(木)に発表された調査機関CSAの世論調査で、フランス人の41%が、合法・非合法を問わず移民の受け入れに反対していることが明らかになった。こうした世論を受けて、2022年の大統領選では、移民政策に関する論争が展開される見通しとなっている。
仏
『ラデペシュ』紙とニュースサイト
『スヌアフリク・ラジオ』によると、7日に発表された世論調査では、合法・非合法を問わず、移民の受け入れを完全になくすことに賛成する人は41%、反対する人は59%だった。世代別で見ると、65歳以上のフランス人の2人に1人(45%)が、移民の流れを厳しく管理することに賛成している。50-64歳のフランス人と18-24歳の若者は、賛成が42%、反対が58%となっている。逆に、外国人を受け入れることに最も賛成しているのは35-49歳の世代で、移民の受け入れに37%が反対、63%が賛成している。
社会的地位別に見ると、定年退職した世代が移民ゼロ政策に最も賛成しており(45%)、次いで会社役員、自営業、あるいは民間企業で高収入を得ている人(43%)となっている。
仏『CNEWS』によると、政治的立場で見ると、一般的に右派系の有権者が最も移民受け入れに反対している。右派有権者の72%が移民ゼロに賛成、28%が反対している。ただし、より急進的な国民連合党の有権者の92%が賛成しているのに対し、同じく移民ゼロに賛成している共和党有権者は63%であった。
一方、左派は、外国人の受け入れを止めることに強く反対している。緑の党の有権者が93%と最も多く反対しており、次いで、不服従のフランス党は88%が反対、社会党は81%が反対だった。
『CNEWS』は、フランスで最近、移民をゼロにするという考えが再び注目されていると伝えている。10月2日にリールで開催された会議で、来年の大統領選の有力候補と見られているエリック・ゼムール氏がこの案を支持した。同氏はまだ正式に立候補することを表明していないものの、最近の世論調査では国民の17%が支持しているとの結果が出ている。同氏は、マクロン大統領の移民政策を強く批判しており、「大統領とは同じビジョンを持っていない。」と述べ、「大統領はグローバル化の人である。私は移民の流れを止めたい、特にフランスとかけ離れた文明からの移民の受け入れを止めたい」と述べている。
閉じる
中国が世界に影響を与えるために巨大なネットワークを構築していることについて、準公的機関であるフランス軍事学校戦略研究所(Irsem)は20日、646ページに及ぶ詳細な報告書を発表した。
仏
『ラデペシュ』紙は、中国が世界に影響を与えるために構築したネットワークについて、その詳細を説明する、画期的な報告書が発表されたと報道している。報告書は、646ページにも及ぶ詳細な具体例と説明を通して、これまで何となく予感されていたことを事実として紹介している。
報告書をまとめたIrsemのディレクターである、ジャン=バティスト・ジャンジェーヌ=ヴィルメールと、Irsemの「情報・予測・ハイブリッド脅威」部門のディレクターである、ポール・シャロンの2人は「2年に及ぶ調査、約20カ国における取材、中国語の情報源の分析、学術的な研究とオープンソース調査を組み合わせた結果、世界における中国の影響力を比較的包括的に示すことができた。...
全部読む
仏
『ラデペシュ』紙は、中国が世界に影響を与えるために構築したネットワークについて、その詳細を説明する、画期的な報告書が発表されたと報道している。報告書は、646ページにも及ぶ詳細な具体例と説明を通して、これまで何となく予感されていたことを事実として紹介している。
報告書をまとめたIrsemのディレクターである、ジャン=バティスト・ジャンジェーヌ=ヴィルメールと、Irsemの「情報・予測・ハイブリッド脅威」部門のディレクターである、ポール・シャロンの2人は「2年に及ぶ調査、約20カ国における取材、中国語の情報源の分析、学術的な研究とオープンソース調査を組み合わせた結果、世界における中国の影響力を比較的包括的に示すことができた。中国共産党は2017年くらいから、マキャヴェッリが“君主論”で書いたように、愛されるよりも恐れられる方が安全だと考えているようだ。」と説明している。その最も顕著な例が「影響力の行使の仕方がロシア化していることである」という。「共産党政府はいくつかの分野でロシアに触発されており、両者の間には明らかに違いがありながらも、ある程度の協力関係も見られる。」と指摘している。報告書では、中国が自国の利益のために「有利な環境を形成することで戦わずして勝つ」ことを意図していることが報告されている。
なお、中国の影響力を上げるために働いている組織は、中国共産党の宣伝部、世界各地に工作員を持つ610弁公室、青年団、さらには政府、軍隊、特に三一一基地のサイバー担当兵、そして官民の企業である。
この巨大な集団は、「中国を肯定的に見せるシナリオを作り上げることで、海外の人々を誘惑し、支配下に置き」、そして何よりも攻撃的で強圧的な外交を通じた「浸透させ、強要する」という2つの目的のために、様々な行動を起こしている。1つの例が、「戦狼外交」と呼ばれている欧米諸国に駐在する中国大使たちだ。
外交に加えて、影響を及ぼす対象は、中国のディアスポラ、メディア、経済、政治、市民社会、教育、特に大学、文化、シンクタンクなどで、「中国政府は、海外に中国のシンクタンクの支部を設立したり、現地のシンクタンクを利用しようとしたりしている」という。
なお、中国の情報操作は、洗練されており、多様な方法が用いられていると報告している。共産党政府は、「メディアで党のプロパガンダを広めるために偽の身分証明書を作り、ソーシャルネットワーク上の偽アカウントを使い、荒らしたり、偽の草の根運動を行ったり、世論を誘導するために報酬を提供している大量のインターネットコメンテーターを使ったりしている」。「2019年からは、ツイッター、フェイスブック、ユーチューブは、中国発の計画的なキャンペーンが繰り広げられていることを、躊躇なく特定するようになっている。」という。
報告書によると、中国は、独立運動を奨励しているニューカレドニアを経由して、台湾、シンガポール、スウェーデン、カナダ、フランスなど、様々な国をターゲットにしているという。こうした情報操作の試みは、新型コロナウイルスの流行の際ピークに達した。ウイルスの起源が中国ではなく米国であると人々に思わせるために、中国政府は「Infektion 2.0」と呼ばれる大規模な作戦を展開し、ネットを反論や虚偽報道で溢れさせた。
フランスラジオ局『フランスアンフォ』によると、調査報告書は、中国が台湾を第一の標的にしており、偽情報で蔓延させていると報告している。より遠い国では、カナダとスウェーデンが標的にされているという。中国がスウェーデンに関心を持つ理由は、北極やヨーロッパへの玄関口であるというその地理的位置や、最先端の技術分野、そしてモデル国としてのイメージを持っている点などが挙げられる。トロイの木馬のように利用することが目的だ。しかし、共産党政府は最近、戦略を変え、誘惑から攻撃へと移行している。例えば、中国人観光客がスウェーデンの警察にレイプされたとされる事件について、中国は虚偽情報を広めた。これは、モデル国とされているスウェーデンを不安定にさせる一方で、中国の国民に、欧州のシステムが暴力的であることを印象付けることが目的であったと推測されている。
なお、フランス国内では、特定の出版社や財団、シンクタンクが中国共産党と関係していることが指摘されている。
また、報告書によると、中国企業は過去50年間に、ナミビア、アンゴラ、ガーナ、ウガンダなど、アフリカで186の政府機関の建物を建設または改修した。その中には、24の大統領官邸と首相官邸が含まれている。さらに、14の機密性の高い政府通信ネットワークが構築され、35のアフリカ政府が中国製のコンピュータ機器を装備した。すべて中国政府と関係のある企業が携わっている。しかし2018年には、同じく中国が建設したアディスアベバのアフリカ連合本部に、盗聴器などを搭載したマイクやコンピュータが設置されていたことが暴露されているため、こうした中国のアフリカ支援は懸念すべき事項である。
報告書は、中国の影響力を高めるための作戦本部は、福建省の福州にあるプールを住所としている三一一基地だと指摘している。2005年に建設された作戦本部基地は、「世論戦、心理戦、法廷戦のための拠点」として位置づけられている。9つの部門が確認されており、ラジオ局、出版社、大学などを通じて任務を遂行しているという。
閉じる