ロシア政府は今月初め、同国が実効支配している北方領土・択捉島の民間空港を、今後は軍民共用とするよう命じる政令を出した。近年のロシアは北方領土の軍備を急速に増強させており、政令は、択捉島に本格的な空軍部隊を駐留させるための布石である可能性がある。北方領土交渉の障害となるのは必至とみられるが、安倍政権はそれでも諦めず、プーチン大統領の主導による北方領土返還・日ロ平和条約締結交渉を何とか進捗させようと粘っている。そして、今年5月の安倍首相訪ロに先駆けて、ロシア極東ウラジオストック市の都市開発協力プランを提案する意向である。
2月4日付チェコ
『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資の放送局)』:「日本、ウラジオストック市の共同開発計画を提案準備」
『日本経済新聞』の2月4日報道によると、日本政府は現在、ロシア極東のウラジオストック市の共同都市開発計画について提案すべく準備を進めているという。
具体的には、日本で開発された、車両交通量に合せて信号機が換わる時間を自動調整するスマート信号機システムの設置、観光客受け入れ施設の整備、シベリア鉄道駅周辺の再開発、また、環境に優しいゴミ焼却施設などが含まれている。...
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2月4日付チェコ
『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資の放送局)』:「日本、ウラジオストック市の共同開発計画を提案準備」
『日本経済新聞』の2月4日報道によると、日本政府は現在、ロシア極東のウラジオストック市の共同都市開発計画について提案すべく準備を進めているという。
具体的には、日本で開発された、車両交通量に合せて信号機が換わる時間を自動調整するスマート信号機システムの設置、観光客受け入れ施設の整備、シベリア鉄道駅周辺の再開発、また、環境に優しいゴミ焼却施設などが含まれている。
日本政府としては、ロシアが実効支配している北方領土(ロシア側呼称はクリル列島)の返還交渉を前進させるため、ロシア政府が重要視している極東地域の開発・発展に向けて協力していく姿勢を見せたい意向である。
ウラジーミル・プーチン大統領も、極東発展のためには、ウラジオストック市を中心とした経済発展が必須と考えており、具体的には、物流の拠点としての港湾設備増強、また、観光客誘致のためのカジノ施設設営などを検討している。
同日付ロシア『イタル・タス通信』:「日本政府、ウラジオストック市の近代化計画について提案準備」
『日本経済新聞』報道によれば、安倍晋三首相が今年5月に訪ロ(注後記)するのに先駆けて、日本政府がウラジオストック市の都市開発計画について提案しようとしているという。
2016年12月のプーチン大統領訪日時、両国首脳会談において、極東地域共同開発計画が合意されている。日本側としては、安倍首相が目論む、クリル列島帰属に関わる交渉を自身の任期中に前進させたいとの考えから、かかる具体的共同開発計画が提案されようとしているものとみられる。
(注)5月訪ロ:昨年9月初め、安倍首相が東方経済フォーラム出席のためウラジオストック市を訪問した際、プーチン大統領との会談の中で決められたもの。同大統領の招待に応じて、今年5月にサンクトペテルブルクで開催される国際経済フォーラム出席のために訪ロするもの。
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