米メディア;安倍首相辞任となって誰が後任になろうとも問題山積と論評
安倍晋三首相が、6月の人間ドック受診に続き、8月半ばにも検査入院したことから、健康不安説が取り沙汰されている。特に、首相の連続在任日数記録2,798日を持つ佐藤栄作氏(1901~1975年)を8月24日で抜き去ることから、その日の退任という実しやかな噂まである。ある米メディアは、万一辞任した場合の後任候補として、茂木敏充外相(64歳)及び石破茂元防衛相(63歳)を挙げているが、誰が後任になろうとも、現下の山積している問題-新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行に伴う不況の立て直し、米中関係悪化から飛び火する日米・日中関係見直し、泥沼に入りつつある日韓関係の行方等々-を仕切っていくことは容易ではないと論評している。
8月22日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「もし安倍首相が“辞任”したら日本はどうなる?」
安倍晋三首相は今週(8月17日の週)、慶応病院に検査入院した。
同首相は2012年に二度目の首相就任となっていて、目下(一度目と併せて)首相在任最長記録を持つ首相となっている。
しかし、一度目の2007年、潰瘍性大腸炎を患って在任1年で辞任している。
従って、今度も健康不安説が出て、辞任する可能性について日本メディアが報じている。...
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8月22日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「もし安倍首相が“辞任”したら日本はどうなる?」
安倍晋三首相は今週(8月17日の週)、慶応病院に検査入院した。
同首相は2012年に二度目の首相就任となっていて、目下(一度目と併せて)首相在任最長記録を持つ首相となっている。
しかし、一度目の2007年、潰瘍性大腸炎を患って在任1年で辞任している。
従って、今度も健康不安説が出て、辞任する可能性について日本メディアが報じている。
ただ、万一同首相が辞任したとしても、後継者にとって、同首相の一度目の辞任の時と違って、日本及び世界を取り巻く環境は余りに違い過ぎる。
第一に、COVID-19禍に伴って、第二四半期(4~6月期)国内総生産(GDP)が戦後最悪となる落ち込み(年率換算▼27.8%減)と、2008年世界金融危機時を遥かに上回る経済危機に見舞われており、これをどのようにして立ち直すかという難題がある。
第二に、米中関係が危険水域に達する程緊張しており、それに伴う日米、日中関係の舵取りを如何にして行っていくかという課題である。
第三に、(第一の点にも関わってくるが)安倍首相の遺産として注目されてきた、来年に延期されてしまった東京オリンピック・パラリンピックを、安全対策を含めて、如何にして実現させるか、である。日本としては、更なる延期はもとより、中止は全く考えられない選択肢であろう。
すなわち、後任首相としては、如何にして危機管理を行っていくかが重要課題であり、かつ、可及的速やかなる大決断が必要となる。
そこで取り沙汰されるのが、後任候補であるが、次の人物の可能性が高い;
・茂木敏充外相:直近のシンガポール、マレーシア、英国訪問で確かな成果を上げているとおり、交渉力に長けていることが利点。
・石破茂元防衛相:長きにわたる安倍首相批判派であるが、物事を素早く決断、実行する能力が評価。
なお、今秋の米大統領選で、トランプ大統領の再選か、バイデン民主党候補の勝利かによって、米による外交政策は変化があろう。
しかし、いずれにしても、日米関係(特に安全保障に関わる政策、また、対米補償費負担等)、日中関係(米中間の仲介役としての貢献)、また、対韓国、対北朝鮮問題等々、抜き差しならない問題が目白押しである。
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中国軍;米軍主催の環太平洋合同演習(RIMPAC)への不招待の腹いせに南シナ海に軍艦・戦闘機を配備【米・中国メディア】
既報どおり、米中間の対立は、貿易問題に留まらず、軍事面での露骨な対決姿勢が鮮明になってきている。そうした中、2年に1回開催される、米海軍太平洋艦隊主催の環太平洋合同演習(RIMPAC、注後記)について、前回2018年に続いて招待されなかった中国人民解放軍(PLA)が、その腹いせとばかりに、南シナ海の人工島に複数の軍艦・戦闘機を配備している。
8月4日付米
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「中国、南シナ海のスプラトリー諸島に軍艦・戦闘機配備」
直近の衛星写真並びに中国国営メディア報道によると、中国は領有権争いのある南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に建設した複数の人工島に、複数の軍艦及び最新鋭戦闘機を配備しているという。
これは、米海軍太平洋艦隊主催で8月17~31日の間、ハワイ沖で大々的に催されるRIMPACを意識しての対応とみられる。...
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8月4日付米
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「中国、南シナ海のスプラトリー諸島に軍艦・戦闘機配備」
直近の衛星写真並びに中国国営メディア報道によると、中国は領有権争いのある南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に建設した複数の人工島に、複数の軍艦及び最新鋭戦闘機を配備しているという。
これは、米海軍太平洋艦隊主催で8月17~31日の間、ハワイ沖で大々的に催されるRIMPACを意識しての対応とみられる。
今年開催の第27回RIMPACには、前回(2018年第26回)と同様PLA海軍は招待されておらない代わり、日本・カナダ・オーストラリア・韓国等の主要参加国に加えて、南シナ海で中国と領有権問題を抱えるベトナム、ブルネイ、マレーシア、フィリピンの他、シンガポール、インドネシア等が参加することになっている。
米国主導による中国包囲網構築に神経を尖らせている中国は、RIMPACに参加する南シナ海周辺国に睨みを利かせようと考えてか、中国国営メディアによると、中国が岩礁上に建設した7つの人工島のうち、4つの最大級人工島のひとつであるスビ礁の軍事基地に、最新鋭戦闘機が配備されたという。
また、8月3日に撮影された衛星写真によると、中国海警局の艦船及び複数の武装船が停泊しているのが認められる。
スビ礁は、南シナ海南部海域にあって、ベトナム、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイも領有権を主張している。
また、同礁は、フィリピンが実効支配しているティトゥ島(フィリピン名パグアサ島)から僅か13海里(約24キロメートル)しか離れておらず、同島では最近、埠頭の接岸施設及び滑走路(全長1,400メートル)の整備が完工している。
ただ、スビ礁上の中国軍事施設は、フィリピンのものを遥かに凌いでおり、舗装滑走路は全長3,000メートル、レーダー及び通信設備に加えて、ミサイル発射台等も整備されている。
そこで、親中派とされるロドリゴ・ドゥテルテ大統領は先週、“中比間の軍事力の格差は決定的であることから、自身が大統領の間は中国に戦いを挑むことはない”とした上で、“従って、中国側が淡々と領有権を固めていくことに抗いようがない”と白旗を挙げている。
一方、PLA海軍は、同海域最大規模の人工島を建設したミスチーフ礁にも、2隻の軍艦を配備している。
8月2日撮影の衛星写真からは、タイプ054A型フリゲート(江凱型ミサイル駆逐艦)及びタイプ056型コルベット(江島型対潜護衛艦)と認められる。
なお、ミスチーフ礁については、マイク・ポンペオ国務長官が7月13日、“中国の南シナ海における領有権主張は国際法違反である”とした上で、“ミスチーフ礁及びセカンド・トーマス礁は、明らかにフィリピン領海内にある”と強調している。
この発言について、フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は、ドゥテルテ大統領の見解と違って、ポンペオ長官の発言を歓迎するとした上で、RIMPAC参加のために同国最新鋭フリゲート“ホセ・リーザル”(今年7月10日就役)を派遣するとし、同艦は7月29日にハワイに向けて出港している。
同日付中国『環球時報』:「PLA戦闘機、南シナ海での10時間の最長対空時間記録達成」
PLA空軍所属のSu-30(ロシア製複座多用途戦闘機)が最近、本土から最も離れた南シナ海までの監視飛行に当たって、10時間に及ぶ最長対空時間記録を達成した。
海南省(ハイナン)の地元テレビが8月3日に報じたもので、軍事評論家によると、この記録達成は、技術的にもパイロットの肉体・精神上も大変な挑戦で見事なものだという。
なお、PLAは既に南シナ海の複数の人工島に、複数の戦闘機を配備しているが、最新鋭戦闘機のメインテナンスを南シナ海の人工島で実施することは困難であるため、中国本土と人工島間を直に往来することが重要であることから、今回の最長対空時間記録達成は意味がある。
(注)RIMPAC:米国・カナダ・オーストラリア・日本・韓国など環太平洋諸国の海軍が中心となって2年に1回実施される、世界最大規模の合同軍事演習。初めて開催されたのは1971年で、以降1974年まで毎年開催されたが、規模の拡大に伴い隔年実施に変更。日本の海上自衛隊が参加したのは1980年からであり、非英語圏からの参加は初。2014年からPLAが参加したが、2018年では、南シナ海の軍事拠点化での米中対立より、招待されず。2020年も同様で中国は仲間外れ。
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