米海軍;バイデン新政権下で初めて南シナ海における「航行の自由作戦」実行【米・中国メディア】
2月6日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「バイデン新政権下で初めて、米軍艦が南シナ海でFONOP作戦を実行」
米海軍は2月5日、南シナ海における一方的な海洋活動を牽制するため、バイデン新政権下で初めて、同海域において国際法に則った自由航行を実践したと発表した。
FONOP作戦を実行したのは、ミサイル駆逐艦“ジョン・S・マケイン(1994年就役、母港は横須賀基地)で、南シナ海北部のパラセル諸島(西沙)海域を航行した。...
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2月6日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「バイデン新政権下で初めて、米軍艦が南シナ海でFONOP作戦を実行」
米海軍は2月5日、南シナ海における一方的な海洋活動を牽制するため、バイデン新政権下で初めて、同海域において国際法に則った自由航行を実践したと発表した。
FONOP作戦を実行したのは、ミサイル駆逐艦“ジョン・S・マケイン(1994年就役、母港は横須賀基地)で、南シナ海北部のパラセル諸島(西沙)海域を航行した。
米海軍は声明の中で、“「海洋法に関する国連条約(UNCLOS、注1後記)」は、広い範囲に分散しているパラセル諸島を、どの一国も囲い込むことを認めていない”とし、“すなわち、UNCLOSの第7条に基づき、同諸島海域には直線基線を設けることは許されない”とした。
その上で、同声明では、“中国が1996年に同諸島海域に独断で引いた直線基線(注2後記)は、同条にて認められる範囲を遥かに逸脱した海域を、中国の内海、領海、排他的経済水域、そして大陸棚と主張するもの”だと糾弾した。
そして、“米海軍としては、当該直線基線は何ら国際法上で認められるものではないため、航行の自由を実践することで、この非合法措置に抗議するもの”だと強調した。
一方、同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「中国、米軍艦による西沙諸島海域への不法侵入を非難」
人民解放軍(PLA)は2月5日、米海軍のミサイル駆逐艦が西沙諸島の中国領海内に不法侵入したとして非難した。
PLA南部戦区報道官の天軍李上級大佐(ティェン・ヂュインリ)は、米海軍ミサイル駆逐艦“ジョン・S・マケイン”が2月5日、中国側の了解なく西沙諸島の中国領海内に侵入したとして、PLA海軍及び空軍がすぐさま同艦を監視するために追尾したと発表した。
同報道官は更に、米艦の航行は、一方的な制海権に基づく悪巧みであり、中国の主権及び安全保障を脅かすものだと非難した。
その上で、南シナ海における平和、友好、協調に則った良好な環境を故意に混乱させることは断固許されない、とも強調した。
(注1)UNCLOS:海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月に署名開放、1994年11月に発効した条約。通称・略称は、国連海洋法条約。国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、基本条約であるため、別名「海の憲法」とも呼ばれる。
(注2)直線基線:領海(12カイリ=約22キロメートル)の範囲を測定する際に基となる線のことで、干潮時の海面と陸地が接する低潮線や、湾の入り口などに引かれる。UNCLOSで定められており、領海の外側にある接続水域や、経済的活動の管轄権を持つ排他的経済水域、大陸棚を測る際にも基準となる。
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中国;米国新体制が整う前に、また周辺国が新型コロナウィルス対策で忙殺されている隙に南シナ海人工島の補強工事に注力【米メディア】
したたかな中国は、新型コロナウィルス(COVID-19)問題に喘ぐ東南アジア諸国に対して、ワクチン外交を仕掛け、領有権問題で対立する周辺国を懐柔しようとしている。そして、政権移譲でトラブル続きの米政権の新体制が整う前に、既成事実化した南シナ海人工島の軍事拠点の恒久施設化に着々と取り組んでいる。
1月22日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「中国、軍事施設設置済みの南シナ海人工島の浸食を防ぐべく要塞化」
中国は目下、南シナ海パラセル諸島(西沙)内のウッディ島(1974年に中国がベトナムより奪って実効支配)の追加埋め立て工事を実施中で、同島の浸食を防ぐべく要塞化しようとしている。
衛星写真と中国政府文書から明らかになったもので、南シナ海の強烈な自然環境に耐えるべく、必要な補強工事を実施して、同島上の軍事基地を恒久施設化しようとするものである。...
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1月22日付
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「中国、軍事施設設置済みの南シナ海人工島の浸食を防ぐべく要塞化」
中国は目下、南シナ海パラセル諸島(西沙)内のウッディ島(1974年に中国がベトナムより奪って実効支配)の追加埋め立て工事を実施中で、同島の浸食を防ぐべく要塞化しようとしている。
衛星写真と中国政府文書から明らかになったもので、南シナ海の強烈な自然環境に耐えるべく、必要な補強工事を実施して、同島上の軍事基地を恒久施設化しようとするものである。
中国は2012年、三沙市(中国南部海南島)を新たに設け、パラセル諸島、スプラトリー諸島(南沙)、マックルズフィールド堆並びにスカボロー礁(中沙諸島内)及びその周辺海域を管轄させると一方的に宣言している。
以降、中国が企てた南シナ海人工島建設計画の一環で、ウッディ島においても、元々の港湾設備を直したり、新たに建設したり、また北岸の埋め立て工事を進めた。
これら一連の人工島建設工事は2017年に一段落したとみられていたが、『ラジオ・フリー・アジア』(RFA、1996年設立の米議会出資のラジオ放送局、本社ワシントンDC)の調査の結果、ウッディ島における追加工事が進捗していることが判明した。
2019年2月の環境アセスメント報告によると、同海域の猛烈な気候によって同島周辺が浸食されないよう、同島周囲2,159メートルにわたって、337メートルの防波堤、55メートルの桟橋、4つの40メートル長の海岸突堤、1,822メートルの護岸建設工事を進めているという。
そして、2020年6月の『RFA』報道によると、中国は新たにウッディ島北岸の浚渫工事(20メートル浚渫して30メートル深)に着手しており、最新の衛星写真では、当該工事が昨年末まで続けられ、追加の埋め立てによって同島の面積が約3万平方メートル拡大されていることが判る。
その他、中国は南シナ海内において領有権を主張している島嶼にも、植林したり護岸工事をしたりして浸食から守ろうとしており、国際社会から一方的な海洋進出と非難の声が上がっていることに全く躊躇することなく、既成事実化した同海域内の軍事施設含めた諸施設を恒久化しようとしていることが窺える。
1月21日付『RFA』:「中国、南シナ海内の軍事基地のある島の埋め立て工事を実施し要塞化」
中国が、ウッディ島を浸食から守る追加工事を進めることで、同島に配備された中国人民解放軍(PLA)海軍、海警局、及び海上民兵組織の強化が図れることになる。
特に、同島を基地とした海警局の艦船や海上民兵船が頻繁に南シナ海海域に出没し、同海域で領有権を主張しているベトナムやフィリピンの漁船や、マレーシアの石油掘削船等の活動を妨害する行為を容易にしているからである。
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