MSCIとは元々モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルといって、投資家のために世界の株式の指数を作って提供している会社であるが、同社は6月14日中国の上海と深圳の株式市場に上場する株式（所謂A株式）を同社の新興国株指数に参入することを見送ったと発表した。同社は過去3年連続して参入を見送ることになったが、今後も随時算入を検討して行くとしている。不算入の理由としては昨年の中国株式の暴落時多数の銘柄の株式が売却を停止されたことや、外国人投資家が１ヶ月間に中国株式を売却して資金を取り戻す額に制限があり、未だ流動性のある株式市場とは言えないことにある。

MSCIの指数に算入されれば、世界の投資家がその株式に投資することになり株式市場は取引高が増えるし、中国に外資が流入することになる。更には金融面でも一流国を目指している中国としては、昨年12月国際通貨基金（IMF）が人民元を特別引出し権(SDR)に加えたことに続いてMSCI指数に算入されることにより、中国の株式市場が一流の市場と認められることを期待していた。今回の決定に対し中国の株式を管轄する証券監督管理委員会は、中国の株式を算入していない新興国指数は指数として不完全なものであると、負け惜しみのような声明を出した。年初に比べれば最近の中国株式は落ち着いて来ているが、これは当局が規制を強めているからとの噂も多い。中国にはあまり背伸びをせずにじっくりと金融市場の規制緩和を行うことを願いたい。

6月14日付『USニューズ＆ワールドレポート』は、「MSCI、中国株式の新興国株指数への算入を遅らす」という見出しで、世界の株式評価基準を提供するMSCIは、中国本土の株式市場に上場するA株を広く利用されている新興国株指数に算入することを遅らせると決定したが、中国は株式市場を更に利用し易くし、国際基準に近づける必要があると述べたと報じた。人民元建ての中国A株は自由な株価変動が必要であり、また投資家が売却資金を本国へ還流する際の規制が明瞭でないなどの問題がある、とのアナリストのコメントを伝えている。...

6月14日付『USニューズ＆ワールドレポート』は、「MSCI、中国株式の新興国株指数への算入を遅らす」という見出しで、世界の株式評価基準を提供するMSCIは、中国本土の株式市場に上場するA株を広く利用されている新興国株指数に算入することを遅らせると決定したが、中国は株式市場を更に利用し易くし、国際基準に近づける必要があると述べたと報じた。人民元建ての中国A株は自由な株価変動が必要であり、また投資家が売却資金を本国へ還流する際の規制が明瞭でないなどの問題がある、とのアナリストのコメントを伝えている。

6月15日付『ヤフーニューズUK』（AFP通信引用）は、「中国、MSCIのA株を指数から外す決定に反論」という見出しで、中国は水曜日MSCIの決定に対し、中国株なしの指数は不完全であると反論したと報じた。中国の市場はこの除外にも拘わらず上昇して引けたが、中国株へ信頼を支えるために当局が介入したのではという憶測が流れている。中国証券監督管理委員会の広報担当者は、「長期的に安定した資本市場の育成は我が国固有の必要性によるものであり、資本市場の改革と市場指向で法律に基づいた市場の自由化はMSCIの決定に影響を受けることはない」と述べたと伝えている。

6月16日付『ブルームバーグビジネス』は、「MSCIの中国株算入、資本規制が必要な中で行き詰まりのリスク」という見出しで、MSCIは資金還流規制を不算入の理由としたが、中国の経済成長率の低下と米国金利の上昇傾向からみて中国当局は資本規制を直ぐに緩めるわけには行かず、MSCIが要求する資金還流規制の緩和には5～10年掛かる可能性もあると報じた。

6月15日付中国の『新華社通信』は、「論評：中国A株のMSCI算入は早いに越したことなし」という見出しで、最近の不安定な状況に照らせばMSCIの結論はわからなくもないが、中国のA株を除いた新興国指数は新興国の市場価値を正確に反映しておらず不完全なものであり、中国や世界の投資家の長期的な利益のためには早く算入するに越したことはないという論評を伝えている。指数に算入されることは短期的にはそれほどインパクトはないが、長期的には個人中心の中国の株式市場に多くの機関投資家が参加することになり株式市場の成熟化に資するので、世界と中国の利益のためにも早期の算入が望ましいとも述べている。

ロシアの通貨ルーブルが下落している。21日には1ドル85.99ルーブルまで下落し史上最安値を付けた。ロシアの経済は石油を中心とする資源に大きく依存しており、最近の原油価格の低下がルーブル下落の主たる要因であるが、ウクライナ問題に伴う米欧の経済制裁で経済は疲弊しているし、米ドルの金利引上げで資金が流出していることも影響している。昨年12月のルーブル危機の際は中央銀行が政策金利を一気に6.5％引上げて通貨防衛策を発動し一時的にルーブル安に歯止めを掛けた。今回中央銀行は暫く静観するかと思われたが、スイスダボスに出張していた総裁が21日急遽帰国し緊急会議を招集して対応を協議することとなった。ロシアは政治的、軍事的存在感に比べて経済的には影が薄く、2014年の世界GDPランキングでもインドに次いで10位と低迷している。ロシアのメディアによると、最近冷戦時代に旧ソ連の大統領だったゴルバチョフ氏が経済的困難に立ち向かうためにロシア国民の団結が必要だと述べたとも伝えられている。

1月22日付『ヤフーニューズUK』（AFP通信引用）は、「ロシアルーブルの対ドルレート史上最安値　中央銀行会議を招集」という見出しでルーブルの下落と中央銀行の緊急会議招集を伝えた。今回のルーブル下落は原油価格の下落という外的要因で中央銀行が出来ることに限度があるが、何もしないでほっておく訳には行かないという専門家の見方を伝えている。

1月19日付ドイツ国際放送『ドイッチェヴェレ』は、「原油価格低下でロシア景気後退の痛み深まる」という見出しで、原油価格低下に伴い1バレル30ドルでロシア経済は耐久力があるか調査を行うというロシア経済開発相の発言を伝えた。...

1月22日付『ヤフーニューズUK』（AFP通信引用）は、「ロシアルーブルの対ドルレート史上最安値　中央銀行会議を招集」という見出しでルーブルの下落と中央銀行の緊急会議招集を伝えた。今回のルーブル下落は原油価格の下落という外的要因で中央銀行が出来ることに限度があるが、何もしないでほっておく訳には行かないという専門家の見方を伝えている。

1月19日付ドイツ国際放送『ドイッチェヴェレ』は、「原油価格低下でロシア景気後退の痛み深まる」という見出しで、原油価格低下に伴い1バレル30ドルでロシア経済は耐久力があるか調査を行うというロシア経済開発相の発言を伝えた。メドベージェフ首相は現在の2016年度予算は1バレル50ドルを前提としており、歳出の削減を指示した。また、ルーブル下落で為替差益を計上した収入がドル建ての石油会社に対し課税を検討するという。原油価格が20ドルに下落した場合、2016年のロシア経済はマイナス6％の成長となるというアナリストの見通しも伝えている。

1月20日付『ロシアトゥデイ』は、「ゴルバチョフ氏、経済危機に直面するロシア国民の団結を促す」という見出しで、旧ソ連の大統領ゴルバチョフ氏のインタビューを伝えた。同氏は、現在のロシア政府は経済危機を解決する具体策を持っていないとも発言した。同氏は昨年5月に、中央集権体制から権力の分散を図ること、欧米との対立政策を放棄することを中心とする「新ペレストロイカ」政策を提唱したと伝えている。