世界が見る今後の日中関係の行方
安倍連立政権が衆院選で圧勝し、安倍首相の再来年までの長期政権が確実になった。今年北京で開催されたAPECでは、2年5か月ぶりに日中首脳会談が行われ、両首脳はホットラインや海上連絡メカニズムの設置で合意し、その後の日中関係にこの会談がどのような影響をもたらすのかが注目されていた。しかしここにきて、中国が尖閣諸島の約300キロ北西にある浙江省の蘭芝島で、最新鋭のレーダーやヘリポートも完備する軍事拠点の整備に着手したことが中国が出した報告書から判明(共同通信)、さらには中国海警2隻が尖閣周辺海域に侵入(今年に入ってから31回目)するなど、日中首脳会談の成果があったとするには疑わしい状況になってきている。加えて来年中国は、ロシアと共同で「世界反ファシズム戦争と中国人民抗日戦争勝利70周年」の記念イベントを開催するなど、日中関係が改善するどころか、「今後中国の日本に対する強硬姿勢が強まるのではないか」との見方も出てきており、日中関係がどのような展開を見せるのかまったく不透明な状況である。各国は今後の日中関係の行方について、以下のように報じた。
12月23日付
『ブルームバーグ通信』(米国)は、「日中の係争中の島付近の島に中国が軍事拠点を構築していることがわかった」と報じ、この拠点について「(島は)釣魚島に圧倒的に近く戦略的にも重要な場所にあり、東シナ海防衛識別圏のサポートも行える。まさに中国の沿岸防衛ラインにとって主要な海軍のポイントであると同時に、中国の既存の軍事的プレゼンスをさらに強化するものだ」との中国海軍研究所の李上級研究員のコメントを紹介した。...
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12月23日付
『ブルームバーグ通信』(米国)は、「日中の係争中の島付近の島に中国が軍事拠点を構築していることがわかった」と報じ、この拠点について「(島は)釣魚島に圧倒的に近く戦略的にも重要な場所にあり、東シナ海防衛識別圏のサポートも行える。まさに中国の沿岸防衛ラインにとって主要な海軍のポイントであると同時に、中国の既存の軍事的プレゼンスをさらに強化するものだ」との中国海軍研究所の李上級研究員のコメントを紹介した。
12月23日付
『プレスTV』(英国)は、「(尖閣諸島近くに中国が)軍事施設を構築するという中国の報告書は、日中関係の緊張緩和のために、安倍晋三首相と習近平国家主席が会談を行った後に発表された」と報じ、日中首脳会談の成果について疑問視している。
12月23日付
『ハンギョレ』(韓国)は、「中国が日本との領土紛争中の尖閣諸島(釣魚島)に近い中国領海内の島に、軍事施設を拡大していることが中国の報告書から明らかになった」と報じ、「これに対し、日本も尖閣諸島周辺の戦力強化のための措置を行っている」と伝えた。
12月22日付
『中国新聞網』(中国)は、「中国海警が今年に入って釣魚島領海に入ったのは、今回を含めて33回目(昨年は50回)」と報じ、「(衆院選挙の安倍政権圧勝による)日本の右傾化が中日間の海上での対立を深めており、中国周辺で海洋紛争が激化したり、局地的海上衝突につながる危険性がある」と報じた。
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世界が見る日本の衆院選挙
52%台という戦後最低の投票率の中、衆院総選挙は、安倍首相率いる自民・公明連立政権が3分の2を上回る326議席を獲得し勝利した。日本の衆院選挙に対する各国の関心は総じて高く、安倍政権の圧倒的勝利を称える一方で、安倍首相の今後の政権運営に対する不安や有権者の半数が投票に行かないという、日本の民主主義の行方を懸念する声など、政権や日本国民、ふがいのない野党などに対する批判的なトーンもちらついて見えている。各国は日本の衆院選挙を、以下のように報じた。
12月15日付
『ウォールストリートジャーナル』(米国)は「安倍政権、衆院選挙で地すべり的大勝利」との見出しで、「日本の安倍首相は、衆院総選挙で圧勝し、世界第3位の経済活性化や、安全保障の強化など、様々な課題を追求するための信任を国民から獲得した」と好意的に報じた。12月15日付
『ワシントンポスト』(米国)は「日本の有権者、安倍首相に経済立て直しの猶予与える」との見出しで、「経済がさらに悪化する前に、衆院選挙に打って出るという安倍首相の政治的目論見が成功したかのように見える」とのアナリストの分析を紹介した。...
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12月15日付
『ウォールストリートジャーナル』(米国)は「安倍政権、衆院選挙で地すべり的大勝利」との見出しで、「日本の安倍首相は、衆院総選挙で圧勝し、世界第3位の経済活性化や、安全保障の強化など、様々な課題を追求するための信任を国民から獲得した」と好意的に報じた。12月15日付
『ワシントンポスト』(米国)は「日本の有権者、安倍首相に経済立て直しの猶予与える」との見出しで、「経済がさらに悪化する前に、衆院選挙に打って出るという安倍首相の政治的目論見が成功したかのように見える」とのアナリストの分析を紹介した。12月15日付
『ラディオコリア』(韓国)は「衆院選挙で連立与党圧勝、安倍政権の1強独走体制が長期化」との見出しで、「安倍首相は大義名分のない解散総選挙との批判を受けたものの、結果的に長期政権への道を確実に開いた」と報じた。12月15日付
『AFP通信』(フランス)は「低投票率の中、安倍政権が国民の信任を得る」との見出しで、「日本の有権者のうち、わずか半数しか投票に行かなかったにも関わらず、安倍首相は(今回の選挙結果は)”アベノミクスと国家主義の路線が国民から信任を得た結果だ”と主張した」と与党の勝利をやや批判的に報じると同時に、日本の民主主義に対しても警鐘を鳴らしている。12月15日付
『グローブアンドメール』(カナダ)は「安倍連立政権、衆院選で大勝利」との見出しで、「(安倍政権が圧勝したことは)短期的には株高円安にとって追い風になろうが、中期的には、日本の構造改革が進むかどうかを、投資家は注視している」とのニッセイ基礎研究所シニアエコノミスト、上野剛志氏の分析を掲載した。12月15日付
『チャイナデイリー』(中国)は「記録的に低い投票率の下で安倍連立政権が勝利する」との見出しで、「安倍首相が3本目の矢に本気で取り組むのかについては、疑問視する声も依然として根強くある」と、安倍政権の今後の経済運営に対して注文をつけた。12月15日付
『BBC』(英国)は「安倍首相、衆院選に勝利」との見出しで、「安倍首相は今、長期政権を率いる最も強力な首相になった」とした上で、「懸念すべきは安倍首相がその力を今後4年間でどのように行使するかという点にある」と伝えた。12月15日付
『ブルームバーグ通信』(米国)は「安倍首相への批判票を取り込み、日本共産党が議席を倍増」との見出しで、「安倍政権に不満を持つ有権者の票が、唯一機能する野党である共産党に流れた」との日本大学の岩井奉信教授の分析を紹介した。
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