【Globali】
インドの物品サービス税導入
昨年11月腐敗・脱税を防ぐための高額紙幣廃止を決定して経済改革に取り組むインドのモディ首相が次に施行を予定しているのが、物品サービス税の統一である。インドでは現在29の州が独自の物品サービス税を決めて課税しているため、州の間を移動する取引では州毎の課税で税金が多額になり、経済の発展を阻害する要因となっている。モディ首相はこの物品サービス税を全国で統一して連邦政府が課税しその税収を州に配分する方式に変更することを予定しており7月1日施行を目標にしている。現在州議会承認を得る過程にあり7月1日施行は未だ予断を許さないが、実施されれば欧州でのEU創設にも比肩される動きであり、成長が続くインド経済に更に弾みが着くと期待されている。
4月24日付
『ブルームバーグポリティクス』は、「トランプ税制改革よりも難しいインドの税制改革」という見出しで物品サービス税の導入を、くもの巣のような税制、分かりにくい規制、絶え間ない政争の下、10億人以上の消費者、29の州、22の公式言語、900万の会社を有する経済を共同市場に統一するという困難な課題であると紹介している。インドは現在10年間に亘った強力な州政府や扱いにくい政党との戦いの後、物品サービス税の導入のため準備を行っている。...
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4月24日付
『ブルームバーグポリティクス』は、「トランプ税制改革よりも難しいインドの税制改革」という見出しで物品サービス税の導入を、くもの巣のような税制、分かりにくい規制、絶え間ない政争の下、10億人以上の消費者、29の州、22の公式言語、900万の会社を有する経済を共同市場に統一するという困難な課題であると紹介している。インドは現在10年間に亘った強力な州政府や扱いにくい政党との戦いの後、物品サービス税の導入のため準備を行っている。世界有数の高成長経済の国で州際取引の自由化、納税意識の向上、商取引の簡略化を目指す物品サービス税の導入は7月1日を予定している。
これまでインドでは州を越えて物やサービスが移動し、部品やサービスが追加される度に異なる税率で複数回の課税が行われていた。毎日ニューデリーの122のチェックポイントを通過するために2万台のトラックが3キロの列を作り、食品は腐敗し、神経をすり減らし、コストは増加していた。今後は最終消費の段階でのみ課税されるので、税金の上に税金が課されることはなくなるし、納税手続きも簡素化し、脱税も減ると期待されている。モディ首相は新税の導入により2%の経済成長率増加が見込まれていると語る。連邦準備銀行の試算では、導入される税率にもよるが最大4.2%の経済成長率増加が予測されており、税率が低いほど経済成長への寄与は大きい。
ここまで来るのに10年が経過している。モディ首相は西部グジャラート州首相時代は反対していたが、2014年に連邦政府首相になって賛成に回った。また導入のため480億円もの費用が支払われ、61,000人の政府職員が準備のため訓練されている。また、物品サービス税の導入は便乗値上げによりインフレを悪化させるという批判もあるが、経済学者の見方は物価上昇があったとしても一時的なものに収まるというもの。一時的な混乱はあっても長期的に見ればインド経済に貢献すると見られており、特に世界銀行から商取引の容易さで190ヶ国中130位にランクされている現状が改善され、海外からの直接投資の増加に結びつくものと期待されていると報じている。
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トランプ大統領、金融規制緩和の大統領令
就任以来次々に大統領令を発表するトランプ米大統領は2月3日現行の金融規制を見直す大統領令に署名した。具体的には2008年の金融危機を受けてオバマ政権下で成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)を過剰な規制で金融機関の足かせになり銀行の融資拡大の支障になっているとして、全面的に見直す方針を出した。かつて金融危機は銀行・証券会社の強欲資本主義が原因であるという見方が支配し金融機関を厳しく縛る必要があるとの考えからこの法律が制定されたが、金融機関にとっては厳しすぎるという批判もあった。
この決定をウォール街は歓迎しているが、民主党議員は消費者保護が後回しになるとして懸念している。トランプ政権には財界から多くの人材が登用されたが、中でも大手投資銀行ゴールドマン・サックスのナンバーツーのポストから国家経済会議委員長に抜擢されたゲリー・コーン氏が今回の決定に大きく影響していると言われている。
2月4日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は、「トランプ大統領、銀行への金融規制につき攻撃開始」という見出しで、トランプ大統領は金曜日実業家、金融機関首脳との会談の後、金融危機後急いで立法された銀行規制を見直すという公約の実現に向けて大統領令に署名し、大銀行を規制から解放すると約束したと報じた。これをウォール街は歓迎したが、彼を支持して投票した多くの労働者を幻滅させる可能性を持つ。金曜日JPモーガン・チェースのダイモンCEOなど財界人との会談でトランプ大統領は、「立派な会社を経営している多くの友人が借り入れが出来ない。...
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2月4日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は、「トランプ大統領、銀行への金融規制につき攻撃開始」という見出しで、トランプ大統領は金曜日実業家、金融機関首脳との会談の後、金融危機後急いで立法された銀行規制を見直すという公約の実現に向けて大統領令に署名し、大銀行を規制から解放すると約束したと報じた。これをウォール街は歓迎したが、彼を支持して投票した多くの労働者を幻滅させる可能性を持つ。金曜日JPモーガン・チェースのダイモンCEOなど財界人との会談でトランプ大統領は、「立派な会社を経営している多くの友人が借り入れが出来ない。ドッド・フランク法の規制のため銀行が融資を制限しているため金が回らない」とのべ、規制が過度に経済と雇用創出を圧迫していると語った。
一方同法に基づき設立された消費者金融保護局に力を注いだ民主党のワレン上院議員は異なる見解を持つ。「トランプ大統領は選挙戦ではウォール街を批判したが、大統領になって彼が実際はどちらの見方であるかわかって来た。強欲さと向こう見ずで我が国をメタメタにしたウォール街は今頃シャンペンで乾杯しているであろうが、米国の人々は2008年の金融危機を忘れていないし、今日起こったことも決して忘れないであろう」と語る。消費者保護局は今回の見直しで最大の標的となると言われているが、ブッシュ政権下で財務次官を勤めたスウェーゲル氏は、「一般の産業より金融を優遇する政策であり反動が出てくるだろう」と語ったと伝えている。
2月4日付
『ブルームバーグポリティクス』は、「ドッド・フランク法の見直しを薦めるトランプ大統領側近の中、ゲリー・コーン氏浮上」という見出しで、トランプ大統領の経済政策に新たな顔が加わったが、1ヶ月前までゴールドマン・サックスのナンバーツーを勤めたウォール街の銀行家であると報じた。ゲーリー・コーン氏はゴールドマンからホワイトハウスに移り、財務長官の議会承認を待つ間、その間隙を埋めて重要な役割を果たしている。ホワイトハウスで強い影響力を持つ国家経済会議委員長として同氏はトランプ大統領の金融規制見直し方針策定で大きな役割を演じた。ムニューチン財務長官の議会承認がかつてないほど時間がかかっている中、議会承認を要しないコーン氏のトランプ大統領の経済政策責任者としての存在感が増していると報じている。
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