テロ組織「イスラム国」(ISIS)は、米国をはじめとする西側諸国がロシアのウクライナ侵攻に気を取られている間に、世界各地で新たな攻撃を開始するよう支持者に呼びかけている。
仏紙
『ルフィガロ』と英紙
『タイムズ』によると、ISISの新しい報道官であるアブ・オマル・アル・ムハジルは、非イスラム諸国がウクライナ戦争に気を取られている現在、西側諸国におけるテロ攻撃の絶好の「機会」であるとメッセージングアプリ「テレグラム」で述べた。ラマダンの期間にあわせて公開された音声メッセージで、「われわれは神に依り、祝福を受けた復讐を実行していく」と述べた。
2月3日、アメリカのバイデン米大統領は、ISISが支配するシリア北西部での米軍特殊部隊による作戦中に自爆したISIS前指導者アブ・イブラヒム・アル・ハシミ・アル・クラチの死亡を発表した。...
全部読む
仏紙
『ルフィガロ』と英紙
『タイムズ』によると、ISISの新しい報道官であるアブ・オマル・アル・ムハジルは、非イスラム諸国がウクライナ戦争に気を取られている現在、西側諸国におけるテロ攻撃の絶好の「機会」であるとメッセージングアプリ「テレグラム」で述べた。ラマダンの期間にあわせて公開された音声メッセージで、「われわれは神に依り、祝福を受けた復讐を実行していく」と述べた。
2月3日、アメリカのバイデン米大統領は、ISISが支配するシリア北西部での米軍特殊部隊による作戦中に自爆したISIS前指導者アブ・イブラヒム・アル・ハシミ・アル・クラチの死亡を発表した。3月10日、ISISは彼の死を、グループの前報道官の死とともに確認した。
ISISは3月17日、広報誌の一つに掲載された記事で、ウクライナ戦争を「十字軍同士の戦争」として歓迎しており、それは「キリスト教の悪党」の国々への「罰」となるだろうと述べていた。ISISは、2014年にイラクと隣国シリアで急成長し、広大な領土を征服したものの、2017年と2019年に相次いだ攻撃により、「カリフ制」を敷いていた領土で打ち負かされた。しかし、昨年発表された国連の報告書によると、ISISは「イラクとシリアで密かに組織を維持し、両国の国境の両側で持続的な反乱活動を行っている」という。イラクとシリアでは、「合計1万人の活動中の戦闘員」を保持していると言われている。アフガニスタンとパキスタンでもテロ攻撃を実行しており、アフリカでも関連グループが活動している。
今回のテロの呼びかけが、ヨーロッパにとって直接的な脅威となりうるのかどうかについて、仏ニュース専門チャンネル『フランス24』の記者で、イスラム過激派の専門家であるワシム・ナスル氏は、「我々は常に脅威を真剣に受け止めなければならないが、それを文脈化しなければならない。攻撃を行うよう呼びかけるというより、非難しているように聞こえる。」と分析している。ナスル氏また、ヨーロッパで実行された最後のテロ攻撃は2020年11月のウィーンでの攻撃にさかのぼり、現在は当時のような犯行グループの派遣など、活発な動きとは程遠い状態にあると指摘している。
英紙『タイムズ』によると、国際的な安全保障及び地政学的リスクのコンサルタント会社であるGlobalStratの代表取締役オリビエ・ギッタ氏も、ISISはここ数年ヨーロッパで大規模な攻撃を行っておらず、最近の攻撃はISISが組織化し積極的に促進したというより、同グループに影響されたものに過ぎないと述べている。こうした攻撃には、昨年10月の英保守党議員デイビッド・エイメス卿の刺殺事件も含まれる。裁判では、犯行者がISISのプロパガンダによって洗脳されたことが強調され、先週、終身刑が宣告された。
ギッタ氏は、「ISISは、信頼性を取り戻し、再び注目を集めるために、ヨーロッパと米国で攻撃を行う必要があると信じている。問題は、2015年のパリや2016年のブリュッセルのように、ヨーロッパで壮大な攻撃を実行するだけの兵站能力を持っているかどうかである。」と指摘している。
閉じる
中国経済の中心地の一つである上海では、4月頭から約2600万人の全住民に外出禁止令が出された。身動きが取れず、先行きも見えない中、上海在住のフランス人駐在員たちの間で不安が広がっている。
仏ニュースサイト
『フランス24』によると、4月1日からアパートに閉じこもっている上海在住のフランス人、エリックさんは「道路には数台のパトカーと配送トラックが走っているだけだ」と語っている。このような規模のロックダウンは、2020年春に最初にウイルスが確認された武漢市からコロナウイルスを根絶するために行われたロックダウン以来になる。
中国では、4月3日に13000人以上の新規感染者が確認された。...
全部読む
仏ニュースサイト
『フランス24』によると、4月1日からアパートに閉じこもっている上海在住のフランス人、エリックさんは「道路には数台のパトカーと配送トラックが走っているだけだ」と語っている。このような規模のロックダウンは、2020年春に最初にウイルスが確認された武漢市からコロナウイルスを根絶するために行われたロックダウン以来になる。
中国では、4月3日に13000人以上の新規感染者が確認された。新規感染者のうち、8000人以上が上海で確認された。エリックさんは、これまで「上海は例外的に、交通規制を受けることなくパンデミックを乗り切ってきた」と話している。それまで、感染症の発生を未然に防ぐ政策が功を奏していた。感染者が確認されるや否や、当局は患者の住む住宅街をすべて隔離していた。上海での一つの住宅街は、約4000人規模の小さな村に相当する。しかし、オミクロン株の出現でこうした方法では感染拡大を防止できなくなった。
当初は、上海の東部を封鎖し、5日後にはそこを解除して西部を封鎖するという方針が示されていた。これは、厳しい監禁による経済的影響を最小限に抑えようとする自治体側の配慮であった。上海は中国の金融の中心地であり、証券取引所は香港に次いで2番目に大きいだけでなく、その港は世界最大である。これだけで中国の輸出入総額の20%近くを占めている。
しかしエリックさんは、住民にとって「何よりも事態の推移が不透明であることが大きい」と話している。上海の住民は不安にあおられ、お店の品物を買い占めており、「宅配食品のアプリの中には、商品不足で使えなくなったものもある」という。
エリックさんの住まいでは、「まだ使えるアプリについては、グループ購入をしている」という。そして、ボランティアチームが食料を回収し、住民に配っているという。こうした住民の連帯は生活の様々な分野に及んでいる。特に医療サービスでは、どの病院や診療所が患者の受け入れを続けているのか、把握することが困難であった。そこで、医学生のグループが、病院に行かなければならないような健康上の緊急事態が発生した場合に、各施設の外来患者の受け入れ状況をほぼリアルタイムで確認できるページを作成した。エリックさんは、「WeChatは、きちんとした情報を得るための必要不可欠なツールになっている。」と述べている。
一方、仏『レゼコー』によると、2008年から中国に滞在しているフランス人起業家のグレゴワールさんは、上海がロックダウンになる前の3月中旬に、自身が住む住宅街が隔離の対象になった経験から、パリ行きの航空券を購入したという。グレゴワールさんは、3人の子供のうち2人を連れて、4月8日に飛び立つ予定だった。しかしその後フライトがキャンセルされたために、フランスに戻ることができなくなった。
グレゴワールさんは、「上海では3週間足らずでビジネスが崩壊し、ゼロ・コロナ政策で見通しが悪くなっている」と言い、「個人的には、新型コロナウイルスの陽性反応を示した場合、子どもたちから引き離されるようなことは受け入れられない。」と述べている。彼と同じように、数十人のフランス人が一刻も早く上海を離れようとしている。
一方、約7000人のフランス人駐在員の多くは、現在はまだ国外退避を計画していない反面、多くの懸念に直面している。厳しい閉塞感が続く中、健康、教育、仕事、そしてフランス人にとっては大統領選の投票の面でも不安は募るばかりである。
最近行われた、フランスの国会議員アンヌ・ジェネさんとのオンラインミーティングで、ある駐在員は「私たちは食べ物を探すのに苦労しており、見捨てられ、どうしたらいいかわからない」と嘆いた。3月18日からロックダウンを経験しているフランス人女性は、「野菜はあるけど、飲み水がない」と語った。上海では、ネットスーパーが混雑しているため、WeChatで情報交換が行われているという。
フランス人の家族にとっては特に、陽性と判定された子どもが親から引き離されることが大きな不安材料になっている。フランス領事館は、EU加盟国を代表して、上海当局への書簡で、「どんな状況であれ、親と子を決して引き離さないように」と要請している。
コロナ以外の健康管理も懸念の材料となっている。2人の子どもを持つフランス人のある母親は「もしも健康面での緊急事態が発生した時、どうしたらいいのか」と悩んでいる。最近、中国人看護師が勤務先の病院での診察を拒否され、喘息発作で死亡する事件が起きている。
ワクチン接種もフランス人にとっては悩みの種となっている。ほとんどの人が、中国では認められていない外国のワクチンを利用できず、中国製のワクチンを接種している。また、3月中旬に上海の全学校がオンラインに戻る中、フランスの保護者は、間近に迫るフランスの高校卒業試験について心配している。さらに、今度の日曜日に行われる大統領選挙でも、上海の有権者登録リストに載っている4500人は、1回選で投票ができない可能性が高くなっている。
閉じる