南米で食料と燃料価格高騰をめぐる激しい抗議活動(2022/06/27)
南米にも押し寄せている燃料と食糧価格の高騰により、アルゼンチンなど南米の複数の国で人々による抗議活動が繰り広げられている。
『ロイター通信』によると、アルゼンチンのトラック運転手の組合が6月22日に全国的なストライキを呼びかけ、道路閉鎖やその他の交通機関の混乱を引き起こし、農産物の収穫のピークを迎える同国の食糧供給を危うくするおそれがあるという。
トラック運転手の組合によると、収穫時における抗議行動は、長引く自動車燃料不足と価格上昇に対処するため、政府に圧力をかけることを目的としており、期限を設けることなく継続するとのことである。...
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『ロイター通信』によると、アルゼンチンのトラック運転手の組合が6月22日に全国的なストライキを呼びかけ、道路閉鎖やその他の交通機関の混乱を引き起こし、農産物の収穫のピークを迎える同国の食糧供給を危うくするおそれがあるという。
トラック運転手の組合によると、収穫時における抗議行動は、長引く自動車燃料不足と価格上昇に対処するため、政府に圧力をかけることを目的としており、期限を設けることなく継続するとのことである。全国貨物輸送連盟Fadeeacによると、23州のうち21州とほぼ全国的に燃料不足に悩まされているという。
一方アルゼンチン政府は、ディーゼル不足の原因は、パンデミックによる景気後退からの回復に伴う需要増にあると説明している。同政府は今月、ディーゼル混合燃料に含まれるバイオディーゼルの要求含有量を引き上げ、産業用燃料の不足を緩和することを期待している。政府のデータによると、第1四半期の国内のディーゼル需要は前年同期比14%増となった。
『ロイター通信』によると、南米西部のペルーでも、燃料と肥料の世界的な価格高騰の影響を軽減するための措置について政府との合意に至らなかったことから、トラック運転手と一部の農民が27日に抗議のためのストライキに入るという。トラック運転手と農民は、貨物輸送を「公共サービス」とみなすことでコストを削減し、近隣諸国からのトラック運転手との競争を抑制することなどを要求していた。昨年の就任以来、支持率が急落している左派のカスティージョ大統領政権は、生活費の高騰を抑えるための施策を講じているが、年間インフレ率は約8%と、ここ24年間で最も高い水準にとどまっている。
抗議活動はペルーの北にあるエクアドルでも行われている。英『フィナンシャル・タイムズ』は、食品と燃料の価格をめぐる先住民主導の抗議行動が、エクアドルをほぼ2週間にわたって麻痺させ、保守派のラソ大統領を失脚させ、ラテンアメリカで減少しつつある投資家に優しい政府の一つを転覆させる恐れがあると伝えている。
デモ隊は燃えたタイヤや木の枝を使って道路を封鎖し、首都キトへの主要ルートを遮断している。デモ隊と兵士や機動隊との衝突により、食料やその他の必需品の供給が途絶え、交通機関も大きく乱れ、エクアドルの主要輸出品である石油の生産量も半減しているという。23日には国会付近での衝突でデモ参加者が死亡、さらに数十人が負傷し、デモ参加者の死者は合計5人に上っているという。
仏ニュース専門チャンネル『フランス24』によると、エクアドルのエネルギー省は26 日、石油生産が「危機的」レベルに達し、抗議行動や道路封鎖が続けば、48時間以内に完全に停止する可能性があると警告した。24州のうち19州で道路封鎖が行われているため、交通が麻痺してしまっていることが原因だ。エクアドルの経済は石油収入に大きく依存しており、2022年の最初の4ヶ月で生産量の65%が輸出された。
全国的なデモには推定1万4千人の抗議者が参加しており、そのほとんどが首都キトで行われている。物価が高騰している首都では、すでに不足が報告されている。同国の生産相は26日、デモによる官民の経済損失は合計5億ドルにのぼると発表した。
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ウクライナ戦争:ロシア軍の深刻な兵士不足(2022/06/13)
英
『ザ・エクスプレス』紙や仏ニュース専門局
『フランス24』などの英仏メディアは、ウクライナでの100日以上の戦闘を経て、ロシア軍は深刻な兵士不足に悩まされていると報じている。ロシアは6月10日時点で、2月24日からの107日間で約31900人の兵士を失った。これは1日あたり200人が死亡していることになる。
『フランス24』によると、NATOのストルテンベルグ事務総長は、この紛争は「消耗戦」になっていると指摘している。そしてロシア軍は、長引く戦争によって前線の人員の充足にますます苦心しているという。ロシア軍は、ウクライナ戦線への新兵勧誘のため、シベリアを含めた全国での積極的な採用キャンペーンをすすめているという。人気ロックバンドのコンサート会場近くに臨時の採用事務所が設置された例もあると、ドイツの日刊紙「Süddeutsche Zeitung」は報じている。...
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『フランス24』によると、NATOのストルテンベルグ事務総長は、この紛争は「消耗戦」になっていると指摘している。そしてロシア軍は、長引く戦争によって前線の人員の充足にますます苦心しているという。ロシア軍は、ウクライナ戦線への新兵勧誘のため、シベリアを含めた全国での積極的な採用キャンペーンをすすめているという。人気ロックバンドのコンサート会場近くに臨時の採用事務所が設置された例もあると、ドイツの日刊紙「Süddeutsche Zeitung」は報じている。また、ロシアのプーチン大統領は5月25日、これまで40歳未満のロシア人しか入隊できなかった軍隊に、18歳から65歳までのすべてのロシア人が入隊できるようにする法律を承認した。
仏週刊誌『レクスプレス』によると、5月21日にシベリアのノボシビルスクで開催されたハーフマラソンでは、ゴール近くに「移動式採用事務所」として機能するトラックが駐車していた。また、プーチン大統領は、元兵士の軍復帰を促すために、3ヶ月の短期契約や現地賃金の4倍もの給与を出すことも躊躇していないという。
キングス・カレッジ・ロンドンのロシア軍専門家ロッド・ソーントン氏は、唯一、徴兵対象の若者だけは、違法となるため前線には送ることができないと説明している。モスクワタイムズ紙は、12人の将校が6月7日に、600人以上の若い徴兵をウクライナでの戦闘に送り込んだとして起訴されたと報じている。
ロシアの軍事問題の専門家であり、米国の地政学的研究センターである「ニューラインズ・インスティテュート」の外部コンサルタントを務めるジェフ・ホーン氏は、ウクライナ紛争以前、米国に次いで世界第2位と評されたロシア軍だが、「書類上では多数の歩兵師団が登録されている一方で、実際にそれを構成する旅団のほとんどが、冷戦終結後、人員不足に陥っている」と説明している。この慢性的な兵士不足は、「2つの世界大戦で甚大な被害を受け、スターリンによる粛清を受け、ソ連時代の強制的な工業化」を反映した数世代における人口変動が原因だという。
バーミンガム大学で旧ソ連の安全保障問題を専門とするニコロ・ファソラ氏は、こうした人口変動のゆえに「ロシアは、一般の兵士よりも大砲や装甲に重きを置くようになった」と説明している。今回の戦争が100日間を超えた長期戦になっていることで、兵士不足が深刻化している。ホーン氏は、攻撃側が勝つためには、3対1の割合で戦力が有利でなければならないという武力紛争における黄金律とは程遠い状態にあり、「今のところ、2対1、場所によっては1対1のところ」もあると推測している。
しかし、これは必ずしもウクライナに有利に働くわけでもないという。ソーントン氏は、最も可能性の高いシナリオは、「ロシア軍が防御態勢に入り、維持することを決定すること」だと述べている。その場合、ドンバスは終わりの見えない一種の紛争地帯となる。「ウクライナ側は、西側諸国からより強力な武器を受け取らない限り、ロシア人を排除する攻撃手段を持っていない」という。
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