フランスの税務当局は、米グーグル社と提携して、セカンドハウスに適用される固定資産税や住宅税の支払いの確認のために、税務当局に申告されていない物件(プール、ベランダ、テニスコートなど)がないかを空から追跡する準備を進めている。こうした不正防止の取り組みのためにアメリカのIT大手が選ばれたことに、懸念の声が上がっている。
仏
『ルフィガロ』紙は、「プールを申告していない人は要注意!フランスの税務当局は、不正行為に対抗するための新しいツールを用意しており、それはグーグルから提供される。」と報じている。
フランスの財政総局は、プールや建物に関する申告をよりよく管理するために、アメリカのIT大手グーグルの技術を活用する。航空写真と人工知能、そしてビッグデータ技術を使用する。撮影された写真からプールや建物の輪郭をアルゴリズムで抽出し、「地方税(特に固定資産税)が正しく課税されているかどうか」を確認するという。...
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『ルフィガロ』紙は、「プールを申告していない人は要注意!フランスの税務当局は、不正行為に対抗するための新しいツールを用意しており、それはグーグルから提供される。」と報じている。
フランスの財政総局は、プールや建物に関する申告をよりよく管理するために、アメリカのIT大手グーグルの技術を活用する。航空写真と人工知能、そしてビッグデータ技術を使用する。撮影された写真からプールや建物の輪郭をアルゴリズムで抽出し、「地方税(特に固定資産税)が正しく課税されているかどうか」を確認するという。
プールは、地上でも地下でも解体せずに移動できない場合は、「外構を構成する建築物のアメニティ要素と見なされ、住宅税と固定資産税の設定の際に考慮されなければならない」決まりとなっている。
仏『レゼコー』紙によると、「グーグルは、国土地理院(IGN)で過去に収集した航空写真から、建物やプールを自動検出するソフトウェアを作成する」という。税務当局は過去により小さな規模でこうした試みを実施し成果を上げている。2017年、地籍情報と航空写真を照合した結果、ロット・エ・ガロンヌ県のマルマンド町にある800のプールのうち、3分の1以上が申告されていないことが判明した。2019年には、3つの県で調査が行われ、3000の未申告のプールの存在が明らかになった。
グーグルと共同で開発したアルゴリズムは、より広範な課税対象物件に適用される予定となっており、すでにアルプ=マリティーム県、アルデシュ県、ブーシュ=デュ=ローヌ県、メイン=エ=ロワール県で導入されており、今後は全県に拡大される。
『レゼコー』は、プールやテニスコートなどを追加すると、納税者が支払う固定資産税や住宅税が大幅に増加するため、税務当局にとってはこうした努力の価値があるだろう。しかし、課税逃れで有罪判決を受けた企業の手を借りることには疑問が残る、と伝えている。
税務所組合の幹部は「グーグルに頼るのは問題がある。データ主権には注意しなければならない。地籍の分野では、フランス独自のコンピュータシステムに資源を投入し続ける方が良いだろう」と述べている。
財政局は、グーグルが「いかなる時も地籍データにアクセスすることはない」「画像を処理するだけだ」と組合に保証した。地籍図の知的財産権は行政側が持っており、グーグルはシステム故障の際にのみ介入するという。
ここ数年、税務署員の数が減少している財務総局は、人員を補うために「ビッグデータ」の活用を重視しているという。数ヶ月前には、フェイスブック、ツイッター、リンクトインなどのソーシャルネットワーク上で納税者のデータを収集・利用する実験を行う権限も与えられた。
仏大衆紙『フランス・ソワール』は、財務総局のこうした動きに対して、税務署員の任務を容易にし、「地方の直接税の基盤のより良い信頼性を保証する」という口実で、フランス国民の生活に侵入している、と批判している。そして、「私有地に設置されたプールが公的機関の好奇の目にさらされるのはいかがなものか。プライバシー保護はどうなっているのか。監視することが正当であると思われる場合でも、こうした侵入はどこまで許されるべきなのか。デジタル大手とのコラボは、すべての保護を吹き飛ばす危険性があるのではないか。」と懸念を表明している。
弁護士のアレクサンドル・ラザレグ氏は、『フランス・ソワール』の取材に対し、「私生活とは隠された生活」であることが基本的な原則であると指摘している。
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