レゴ、使用済ペットボトルを利用したブロックを断念(2023/09/25)
世界最大の玩具メーカー「レゴ」は、数年前からリサイクル素材を使ったブロックの開発を行っててきたが、トータルでみると炭素排出量を増やすことになるためこれを断念したという。
9月25日付
『Yahooニュース』(PAメディア):「レゴ、リサイクルボトルからブロックを作るプロジェクトを中止」:
デンマークの玩具大手「レゴ」は、新たな材料を作ることが炭素排出を増やすことになるため、リサイクルしたペットボトルからブロックを作るプロジェクトを中断するという。
同社は2021年、リサイクルしても質が劣化しないとされているPETプラスチック(ポリエチレンポリエチレン・テレフタレート)をブロック製造に利用すると発表していた。...
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9月25日付
『Yahooニュース』(PAメディア):「レゴ、リサイクルボトルからブロックを作るプロジェクトを中止」:
デンマークの玩具大手「レゴ」は、新たな材料を作ることが炭素排出を増やすことになるため、リサイクルしたペットボトルからブロックを作るプロジェクトを中断するという。
同社は2021年、リサイクルしても質が劣化しないとされているPETプラスチック(ポリエチレンポリエチレン・テレフタレート)をブロック製造に利用すると発表していた。成功すれば、この素材は現在ブロックに使用されている石油由来のABS樹脂の代替材料となるはずだった。
だが、PETプラスチックの利用には新たな設備が必要となることから、製品寿命を考慮すると炭素排出量が現状より増えると判断された。代わりにABS樹脂のカーボンフットプリントの改善に努める意向だという。
サステナビリティ担当部長のティム・ブルックス氏は、「プラスチックのリサイクルにより、加工と乾燥に使われるエネルギー消費が増えることに加え、安全性と耐久性をもたせるため更に必要な材料が出てくる。バイクを鉄ではなく木から作るようなものだ」としている。
9月24日付米『フィナンシャル・タイムズロイター通信』:「レゴがサステナビリティを考慮した非石油由来ブロック開発を中止」
レゴが、炭素排出量が上がるとの理由から、注目の石油系素材利用廃止プロジェクトの中止を発表した。サステナビリティを追求する企業のジレンマが見て取れる。
世界最大の玩具メーカーは2年前、ABS樹脂ではなくリサイクルPETボトルを使ったブロック試作を行った。ABS樹脂は年間数10億ピース製造されるブロックの80%に使用されている。
当初は2030年までに、20数種の石油由来系プラスチックの全面廃止を目標とし、2018年には石油由来のポリエチレンを木材などの植物由来のプラスチックに替え始めた。
また、2025年を目処に、リサイクル不可のレジ袋の廃止も視野にしていた。
レゴのティム・ブルックスCEOは、「リサイクルポリエステル(rPET)はABS樹脂より柔らかいため現存するプラスチックの耐久性と安全性に近づけるためには更に複数の材料が必要となる。製造環境を整え、工場の全てを変更しなければならない。それにより、カーボンフットプリントが増える結果となるのは残念」だとしている。
同社は現在、ABS樹脂の構成成分に生物由来成分やリサイクル材料を取り込む取り組みを行っている。
炭素排出量としては2032年までに2019年比37%減目標とし、サスティナブルな素材のみで製造することを目標とし、2025年までにサステナビリティ関連費を現在の3倍の30億ドルに増やす予定。
また各国で子ども部屋で使われなくなったブロックの再利用やリサイクルの推進にも取り組む。再利用プログラムは米国とカナダでスタートしており、来年は欧州でも開始される予定。
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米国:中国に対抗しベトナムとの連携強化(2023/09/11)
ベトナムと米国との貿易、投資関係が拡大、半導体や鉱物分野で協議が行われている。ベトナムは米国にとって、南シナ海上で覇権を主張する対中国戦線の前線と捉えられており、領有権を主張する中国との溝が深まっている。
9月10日付米
『CNBC』(ロイター通信):「米、中国に対抗しベトナムとの関係強化」:
ベトナムは米国との外交関係を中国やロシアと並ぶ最上位国に引き上げた。
米国は数ヶ月に渡り、中国関連のリスクから世界のサプライチェーンを守る戦略として、ベトナムとの関係強化を求めてきた。長い冷戦時代から半世紀を経て、バイデン氏はハノイに到着、小学生らが米国旗を振る中、ベトナム共産党主催の歓迎式典に出席した。...
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9月10日付米
『CNBC』(ロイター通信):「米、中国に対抗しベトナムとの関係強化」:
ベトナムは米国との外交関係を中国やロシアと並ぶ最上位国に引き上げた。
米国は数ヶ月に渡り、中国関連のリスクから世界のサプライチェーンを守る戦略として、ベトナムとの関係強化を求めてきた。長い冷戦時代から半世紀を経て、バイデン氏はハノイに到着、小学生らが米国旗を振る中、ベトナム共産党主催の歓迎式典に出席した。
国際経済競争の中、ベトナムは、独自の地位を模索し、米国と中国の緊張関係の中バランス外交をしてきた。ベトナムは大国中国との関係も維持する方向で、習首席をはじめとする中国の高官が、今後数日か数週間のうちにベトナムを訪問するとみられている。一方、ロシアとの関係は、ウクライナ情勢をめぐり、米国の制裁に繋がる武器の供与合意などで不安定となっている。
米越関係強化は、安全保障面にも影響がある。現時点では武器合意の段階にはないが、米国や同盟国により、軍事面でロシアへの依存から脱却できるような提案が行われる可能性が指摘されている。両国間の貿易や投資関係がますます盛んになる一方、南シナ海でのベトナムと中国の領土対立は激しさを増している。
経済面では、半導体分野での合意が中心となるとみられる。半導体分野でのエンジニア不足から、技術訓練支援も合意に盛り込まれるとみられる。ベトナムへの「友好的移転」の重要性を強調し、グーグル、インテル、ボーイング等の米IT業界幹部は11日、ベトナムのIT幹部やブリンケン国務長官らとハノイで会合を行う。
レアアース等の重要鉱物のサプライチェーン強化も重要な課題。米国の調査によると、ベトナムは中国に次ぐ世界最大のレアアース埋蔵地とされる。バイデン氏の訪問中、同分野での合意の可能性も期待されているが具体性に乏しく、過去の米企業とベトナムのレアアース企業との契約は失敗に終わっているという。
人権問題では、活動家の逮捕や表現の自由がないことが米国当局から批判されているため、ベトナム側が善意を示し、活動家を開放する可能性も指摘されている。
同日付米『フィナンシャル・タイムズ』:「ベトナムと米国が中国への対抗措置として関係格上げ」
バイデン大統領はG20サミット開催地のインドから出発し、ベトナム・ハノイを訪問。中国が覇権を主張する中、ベトナムが米国との関係を強化。
米国は10日、「包括的戦略パートナーシップ」に合意。(包括的パートナーシップから)2つ上の最上位に格上げされた。これはかつて、中国、ロシア、インドのみだったが、昨年時点では、韓国も加わっていた。ベトナムは中国の反応を恐れ、米国との関係強化を避けてきた。
米国と同盟国は、対ロシアで世界的コンセンサスを築くようグローバルサウスを説得している。米国は、インド太平洋へ権力を広めようとする中国へ対抗するために、アジアの途上国の国々を重要視しており、ベトナムは南シナ海上で覇権を主張する対中国戦線の前線と捉えられている。
バイデン氏はベトナムとの関係の重要性を示すため、G20前にジャカルタで開かれた東アジアサミットを欠席。ベトナム戦争終結からほぼ半世紀というタイミングでの関係強化となった。
今回の動きに懸念を示した中国は、バイデン氏の訪越に先立ち、今週急遽、高官をハノイに派遣。中国共産党中央対外連絡部の劉建超氏がグエン・フー・チョン書記長と会談し、両国の「政治的相互関係強化」について協議した。
シンクタンク「シンガポール国際問題研究所」のサイモン所長は、米国側への大きな転換期であり、ベトナムはオーストラリア、シンガポール、インドネシア、日本との関係強化にも意欲を示している」とする。
安全保障面だけでなく、米国との関係格上げは、経済面、特に半導体でも重要性が増してくる。米産業への「半導体サプライチェーン支援」もパートナーシップ合意に含まれている。
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