7月31日付
『フィナンシャルタイムズ』は、ウィキリークスが、日本の安倍首相や政府要人および大企業などが米国家安全保障局(NSA)により諜報活動されていたことを公表したと報じた。それによると、諜報活動は10年以上にわたって行われ、ある文書は、第一次安倍政権による2007年4月のワシントン訪問の準備内容、特に気候変動に対する政府のスタンスについて詳述している。
米国は、日米関係が試される国際サミットやフォーラムへの日本の姿勢を秘密裏に探るため、政府や企業の内部深くにアクセスしたものと思われる。...
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7月31日付
『フィナンシャルタイムズ』は、ウィキリークスが、日本の安倍首相や政府要人および大企業などが米国家安全保障局(NSA)により諜報活動されていたことを公表したと報じた。それによると、諜報活動は10年以上にわたって行われ、ある文書は、第一次安倍政権による2007年4月のワシントン訪問の準備内容、特に気候変動に対する政府のスタンスについて詳述している。
米国は、日米関係が試される国際サミットやフォーラムへの日本の姿勢を秘密裏に探るため、政府や企業の内部深くにアクセスしたものと思われる。貿易や気候変動問題などは、米国の諜報機関が最も重要視する問題である。ウィキリークスがNSAから得たとする情報には、2007年から2009年にかけて内閣交代が相次いだ時期の4つの最重要極秘事項と、2003年に遡る35の盗聴先リストがあり、その中には、三井物産および三菱商事のエネルギー部門も盗聴先に含まれていると同紙は報じている。
7月31日付
『ロイター通信』は、米国が同盟国日本に対しスパイ活動をおこない、情報をオーストラリア、ニュージランド、カナダ、英国に渡していたとするウィキリークスの発表を報じた。ウィキリークスはこれまで米国のスパイ活動を暴露し、ブラジル、ドイツおよびフランスなどの同盟国と米国との信頼関係を失墜させたが、今度はアジアに焦点を当てている。先週金曜日に公開したウェッブサイトでは「ターゲット・東京」と題し、35ヵ所のNSAの最高機密ターゲットが掲載されている。
今回表面化した米国によるスパイ活動について、ウィキリークス編集主任のジュリアン・アサンジは「日本への教訓はこうだ:超大国がグローバル諜報活動を敬意や尊敬を込めてやると思うな。ルールが無いことが唯一のルールなのだ」と語っている。一方、共同通信は「公表されたことが事実であれば、日本政府はNSAのスパイ行為に対し抗議するであろう」と報じているが、日本のある大学教授は「日米関係に重大な亀裂を生じることは考えにくい」と述べている。
中国
『新華社通信』は、8月2日、ウィキリークスが米NSAによる日本政府及び企業へのスパイ活動を報じて以降、日本政府はほとんど沈黙したままであると伝えた。
また、取材に対し、東京の米国大使館はウィキリークスの報告は承知しているが話すことは無いと述べており、三井はコメントを控え、三菱は回答しなかったと伝えた。同通信によれば、日本のメディアが余り報道していないにも拘らず、国民は失望を口にしており、スパイ行為を非難している。一部の日本人は「米国のような国がこんなことをするのは不思議ではない」というが、ほとんどの日本人は「友好的な同盟国が我が国をスパイする」ことを受け入れられずにいる。友好国間でのスパイ活動は昔からあることであるが、NSAのスパイ活動の規模と範囲は標的とされた仏、独、墨、伯などの同盟国を驚かせ、憤慨させた。彼らが日本と違うところは、スパイ活動に対し強く抗議したことだと同通信は評している。
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4月8日付「世界が見る日米の蜜月関係」では日米の蜜月関係について伝えたが、その裏で米国は日本に対していくつかの懸念を持っている。一つ目は、中国主導のアジアインフラ投資銀行に日本が米国を差し置いて参加するのではないかという懸念。もうひとつは、日本の歴史問題への対応への懸念であり、日中、日韓の関係悪化を懸念する米国内からは、4月末に予定されている安倍首相の米国上下院議会合同演説においても、日本の歴史問題に対するスタンスを盛り込むべきだとの声が出ている。
4月10日付
『バンコクポスト』(タイ)は「AIIBに対する日本のスタンスに、米国が疑念を伝える」との見出しで、「3月末にフィナンシャルタイムズに掲載された”中国駐在の木寺日本大使が、数ヶ月以内にAIIBに参加すると述べた”との記事を根拠に、米国は日本がAIIBに参加するのではないかとの疑念を伝えていたことがわかった」と報じた。記事では「英国、オーストラリア、韓国などの米国の主要同盟国が、3月31日の創設メンバー国受付の締め切り前に続々とAIIBへの参加を表明する中で、米国が日本の態度について懸念していたことが浮き彫りとなった」としている。「こうした米国の疑念に対して日本側は、フィナンシャルタイムズの記事は不正確な内容であり、日本はAIIBに参加する特定の期限は設けていないと釈明、米国側はこれを受け入れた」と報じている。また「政府筋はフィナンシャルタイムズの記事は”日米間のしっかりした関係にくさびを打ち込むための意図的な試みである”とし、岸田外務大臣も木寺大使がAIIBの参加見通しについて話した事実はまったくないとしている」と報じた。
一方、4月10日付
『ウォール・ストリートジャーナル』は、「米国上下院議会合同演説は、アジアの安全保障を再構築するための安倍首相にとっての絶好の機会」との見出しで、コロンビア大学政治学部ジェラルドカーティス教授の寄稿文を紹介。この中でカーティス教授は、「今月末に予定されている米国上下院合同演説で、安倍首相は過去の歴史について謝罪するべきだ」と主張した。カーティス教授によると「安倍首相の演説内容は、米日同盟の強化とアベノミクスの成功の話がふさわしいと思われるが、それ以上に重要なのは過去の日本の侵略によって、犠牲になったすべての人に深い遺憾の意を表明することである」とした。その上で「それができれば、(安倍首相の演説は)歴史的なものになるだろう」と助言した。さらにそうすることで、「(安倍首相が)韓国と中国の侵略を行った歴史について否定的であるという疑問をかわすまたとない、よい機会になるだろう」としている。
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