アルジェリア:日本人10人が犠牲になったガスプラントへのテロ攻撃から10年
『フランス国際ラジオ局RFI』は、1月16日月曜日、アルジェリア南東部のイナメナス地域のガス生産プラントへのアルカイダ組織によるテロ攻撃から10年経った今も、アルジェリアは国の安全保障目標を達成していないと報じている。
10年前の2013年1月16日アルカイダ系の武装集団が、アルジェリア南東部でリビアとの国境に近いイナメナス地域のティガトゥリン・ガス生産プラントを襲撃した。テロリストたちは外国人を含む数十人を人質にとり、その後アルジェリア人たちは解放された。イスラム過激派のリーダー、モクタール・ベルモクタールからの指示により人質に対する殺りくが行われ、3日間の攻防で日本の日揮社員10人を含む人質となった40人が死亡した。...
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10年前の2013年1月16日アルカイダ系の武装集団が、アルジェリア南東部でリビアとの国境に近いイナメナス地域のティガトゥリン・ガス生産プラントを襲撃した。テロリストたちは外国人を含む数十人を人質にとり、その後アルジェリア人たちは解放された。イスラム過激派のリーダー、モクタール・ベルモクタールからの指示により人質に対する殺りくが行われ、3日間の攻防で日本の日揮社員10人を含む人質となった40人が死亡した。
アルジェリアのテブン大統領は、2022年12月30日にフランスの『フィガロ紙』を通じて、「アルジェリアではテロ活動は終結した。」 と表明している。
過去数年間、アルジェリアはリビアとの国境地域の安全保障に力を入れるとともに、モロッコ、ニジェール、マリ、チュニジアおよびモリタニアとの国境にアルジェリア軍を配備した。軍を配備した国境の総延長距離は4600㎞におよんでいる。そのためのアルジェリア政府の出費は、1兵士当たり、数百万ドル(=数億円)/兵士となっている。さらにアルジェリア政府は、国境地域の精巧なレーダーを使用した電子監視システムにも惜しみなく出費しているという。
アルジェリアの国境地域は、政情不安定な地域でテロ活動の拠点が形成されたり、イスラム過激派の資金源となっている麻薬密売の巣窟となってきた。そのため、アルジェリア政府にとって国境地域の安全保障を確保することは最重要課題で、外交政策もリビア、マリ、サヘル諸国との平和、友好を保持することを優先課題としている。
2013年以来、アルジェリア政府は、イナメナスで起こったようなテロ攻撃の防止に努めてきたが、テロ活動が完全に無くなったわけではないという。アルジェリア防衛省によると、2022年には371人のテロリストが逮捕され、39人のテロリストが軍隊に殺害されている。
10年前にテロ攻撃の犠牲になった日本人たちの冥福を祈りたい。
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ジョンソン英首相続投へ
英国のボリス・ジョンソン首相は6日夜、「パーティーゲート」のスキャンダルに伴う与党保守党内の反乱によって引き起こされた信任投票で、賛成わずか211票と6割に満たない僅差の勝利で留任することになった。フランスメディアはジョンソン政権の弱体化を報じている。
仏
『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。...
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仏
『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。テリーザ・メイ前首相は、2019年に信任投票で勝利し、続投出来たものの、その6ヵ月後に辞任に追い込まれている。
なお、2週間後には、イングランド南部のティバートンでは、保守党が敗北する可能性のある選挙が行われる予定であり、『レゼコー』は、「これが新たな落とし穴になる可能性がある」と伝えている。
辞任を求めている与党議員たちは、パーティーゲートをめぐる透明性の欠如と、その結果として生じた信頼の喪失を非難している。しかし、不満の理由はこれだけではない。北アイルランド議定書、ルワンダへの不法移民の移送、テレビ局チャンネル4の民営化など、ジョンソン政権の重要な政策に対しても一部議員たちの間で不満が溜まっている。最新世論調査では、ジョンソン首相の辞任に賛成する人は59%であった。
仏『BFMTV』は、ジョンソン首相はスキャンダルや国民と与党内の怒りにもかかわらず、ここ数ヵ月、特にロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応でリーダーシップを発揮したことで持ちこたえている、と伝えている。また、英国で12年間政権を担ってきた保守党の中に明確な後継者がいないことも、彼を後押ししていると指摘。特に、長く党内で人気の高かったリシ・スナック財務大臣が、生活費高騰の折、妻の脱税疑惑にさらされて以来、首相の存在感が増しているという。しかし、長い間、その風変わりで大胆な性格が人気を集めていたものの、今ではそうした側面が多くのイギリス人を悩ませていると伝えている。
仏紙『ルフィガロ』は、ジョンソン首相は政治家として不滅であるかのように見えるが、イメージの修復に苦労しており、ますます「レームダック」化しつつあるのではないかと指摘している。
なお『ユーロニュース』によると、英国メディアでは、タイムズ紙はジョンソン首相を「傷ついた勝利者」と表現し、フィナンシャルタイムズ紙は、僅差での勝利は「首相に大きなダメージを与え、党内の分裂と反感の程度が明らかにした」と報じた。ガーディアン紙は「首相は新任投票の屈辱の後、権力に固執する」と伝え、デイリーミラーは「パーティーは終わった、ボリス」という見出しで報じた。
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