日本、ウクライナ戦争は原発復活の絶好の機会(2022/05/16)
日本は、史上最悪の福島での原発事故の後、規制当局がほとんどの原発を停止させた。それから10年以上が経った今、ウクライナ戦争が日本国内の原子力に関する議論を再燃させている。英紙
『ファイナンシャル・タイムズ』 は、日本最大の原子炉メーカーである三菱重工業は、ロシアのウクライナ侵攻は、日本の原子力産業にとって2011年の福島原発事故以来の「最高の機会」だと述べていると報じている。
三菱重工業の加藤顕彦原子力事業部長は、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、「将来、ロシアから燃料を輸入するのは難しくなるかもしれない。海外から燃料を輸入する限り、常に不安定さが懸念されることに人々は気づいている」と語り、「安定した国産エネルギー源である原子力発電に対する見方を改めた人が多い」と指摘している。
世界第3位の経済大国である日本は、液化天然ガス(LNG)と石油の価格高騰によって悪化した電力危機に陥っている。...
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三菱重工業の加藤顕彦原子力事業部長は、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、「将来、ロシアから燃料を輸入するのは難しくなるかもしれない。海外から燃料を輸入する限り、常に不安定さが懸念されることに人々は気づいている」と語り、「安定した国産エネルギー源である原子力発電に対する見方を改めた人が多い」と指摘している。
世界第3位の経済大国である日本は、液化天然ガス(LNG)と石油の価格高騰によって悪化した電力危機に陥っている。日本はLNGの約9%をロシアから輸入しており、西側諸国がモスクワに制裁を加える中、難しい外交的立場に立たされている。ライスタッド・エナジーの電力市場アナリストであるライアン・クロンク氏によれば、加工ウランの4分の1近くをロシアから調達している米国とは対照的に、日本は加工ウランの約55%を西ヨーロッパ諸国から輸入しているという。
『ファイナンシャル・タイムズ』 は、三菱重工業の原子力事業部長の発言のように、福島原発事故以来後退してきた日本の原子力産業が今になって発言する勇気を得たことは、日本の原子力談義が変化したことを示している、と伝えている。加藤顕彦原子力事業部長の発言は、岸田首相が今月初めロンドンで、日本は原子力を使って「世界の脱原発の実現に貢献する」と投資家に語った後に出たものである。加藤氏は「政府の姿勢が変わってきている」と述べ、政府が原発の再稼働をさらに強く支持するよう求めた。日本ではすでに2023年までにいくつかの原発が再稼働する計画があり、島根県と宮城県にある原発は、安全検査に合格しているので再稼働の準備が出来ている。
しかし日本は2009年以来、新しい原子力発電所を建設しておらず、代わりに既存の原子炉のメンテナンスとサポートに注力している。三菱重工業にとって重要な収益源の1つは、テロ攻撃やその他の自然災害によって原子炉が破壊された場合に備えて、プラントを安全に停止させるための緊急施設を設置することである。東京に拠点を置くエネルギー・防衛分野のコンサルティング会社Mathyos Advisoryのトム・オサリバン氏は、「日本はエネルギー自給率の向上を切実に必要としている。原子力発電所はサンク・コストであり、2011年以降、十分に活用されていない資産である。原子力発電所がなければ、おそらく電気料金は一気に上昇し、大きな経済的ダメージを受けるだろう。」と指摘している。
一方、日本国民は依然として原子力発電に慎重である。しかし、日本経済新聞社が最近行った世論調査では、安全性が確保されれば原子炉の再稼働を支持するとの回答が53%に達し、福島原発事故以降最も高い割合になった。
米『ブルームバーグ』 によると、日本において電炉メーカー最大手の東京製鐵株式会社も、国内の製造業の競争力を復活させるには、さらなる原子力発電が必要不可欠であると述べていると伝えている。東京製鐵の今村清志常務取締役は取材に対し、商品価格の上昇と石炭の段階的な廃止によって、十分な電力を確保することが難しくなっていると述べた。「これは深刻な問題だ」とし「原子力発電の問題をもう一度議論することが重要だ」と述べた。
日本鉄鋼連盟も、経団連と同様に、原子炉の早期再稼働を要求している。岸田首相は先月、エネルギーのほとんどを輸入している日本が燃料価格の上昇と円安に苦しんでいるため、もっと原子力発電の利用を検討する必要があると述べた。
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モンテネグロ、EUに中国への融資返済支援を要請(2021/04/14)
バルカン半島の小さな共和国モンテネグロは、これまでに建設された中で最も高価な高速道路の一つを建設している。しかし新型コロナウイルスのパンデミックの影響で経済的に大きな打撃を受け、中国に借りている10億ドル(約1千億円)の返済について欧州連合(EU)に支援を求めている。
アメリカの政治ニュースサイト
『ポリティコ』 によると、「欧州委員会は、EU加盟候補国であるモンテネグロが、債務危機に陥っている高速道路プロジェクトに対する中国からの融資について、モンテネグロ政府の支援要請を拒否した。」
「同国の複数の政府高官がここ数週間、モンテネグロの債務全体の4分の1に相当するこの融資の返済を支援するようEUに要請し、西バルカン半島における中国の影響力をあらわにしていた。...
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アメリカの政治ニュースサイト
『ポリティコ』 によると、「欧州委員会は、EU加盟候補国であるモンテネグロが、債務危機に陥っている高速道路プロジェクトに対する中国からの融資について、モンテネグロ政府の支援要請を拒否した。」
「同国の複数の政府高官がここ数週間、モンテネグロの債務全体の4分の1に相当するこの融資の返済を支援するようEUに要請し、西バルカン半島における中国の影響力をあらわにしていた。」しかし、「欧州委員会はその要求に応じなかった。」
EUのピーター・スタノ外交政策スポークスマンは、定例記者会見で「EUはすでにモンテネグロの最大の財政支援者であり、最大の投資家であり、最大の貿易相手国でもある。我々は彼らに寄り添い続けるが、彼らが第三者から受けている融資を返済することはない。」と述べている。
『ポリティコ』 は、今回のEUの決定は、中国の国営金融機関である中国輸出入銀行が、モンテネグロが所有する資産を支配する道を開く危険性があると指摘している。中国からの融資は、未だに完成していない高速道路プロジェクトの費用の85%をカバーしている。モンテネグロの前政権は2014年にEUの助言に反して中国の融資を受け入れていた。
なお、「スリランカ、パキスタン、ジブチなどの国々は、中国の一帯一路構想の下で魅力的な融資を受けているが、現在ではその返済を迫られており、中国の影響力にさらされる危険性がある。」という。EUのスタノ外交政策スポークスマンは、「EUは、中国の一部の投資が社会経済的・財政的に及ぼす影響、あるいは中国の一部の投資が国にもたらす負債について懸念を抱いている。なぜなら、マクロ経済の不均衡や債務依存のリスクがあるからだ。」ともコメントしている。
英『ファイナンシャル・タイムズ』 によると、シンクタンク「Belgrade Fund for Political Excellence」の外交政策アナリスト、ステファン・ウラディサヴリエフ氏は次のように述べている。「モンテネグロをはじめとする西バルカン諸国が、中国の影響力増大に対抗するためにブリュッセルに向けてこのような働きかけを行ったのは初めてのことだ。」と述べている。
モンテネグロは現在「インフラについては、中国に依存している。地政学的な観点から見て十分懸念すべき状況である。また、重要な観光産業はロシアなどの非EU諸国からの訪問者に依存している。モンテネグロは、EUの同盟国とより密接に結びつかなければならない。経済との連携も必要だ。」と指摘している。
2006年にセルビアから分離して独立国となったモンテネグロは、伝統的にモンテネグロへの重要な投資家だったロシアからの強い反対を押し切り、2017年にNATOに加盟した。2024年までにEUに加盟することを望んでいる。
『ファイナンシャル・タイムズ』 は、中国はインフラやエネルギープロジェクトを通じてバルカン半島に着実に進出してきたが、最近では新型コロナウイルスをきっかけに「ワクチン外交」を展開しており、モンテネグロにシノファーム社製のワクチンを3万回分寄付し、セルビアには数百万回分を販売したとも伝えている。
シンクタンクの欧州外交評議会は2月の報告書で、「中国は西バルカン半島の一部の地域で、政策の選択、政治的態度、広報に対する実際の影響力を獲得しようとしている」と述べている。
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