タイの在位最長国王が死去(2016/10/14)
木曜夕刻、健康状態が長期不安定だったタイの在位70年を誇ったプミポン・アドゥンラヤデート国王が死去した。プミポン国王はタイの国民に親しまれ尊敬され、現代のタイ国家を築いたとされ、過去、国内で深刻な政治対立時には仲裁に入り、国を一つまとめた役割が大きいとされる。現在は緊張関係である米国とは、冷戦期、東南アジアで広がる共産主義のなか、1960年のアイゼンハワー元大統領からオバマ大統領まで、米国歴代6人の大統領と面会、東南アジアの窓口として米国との良好な関係を築いてきた。国王交代で、軍政権下で民主化が遠のくタイ政治への不透明感も増してくる。また、タイ国内が1年間の喪に服し、行事中止や消費の落ち込みで経済活動が滞るとし、経済に与える影響が懸念される。
10月14日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は「米国との懸け橋を担ったタイのプミポン国王」との見出しで以下のように報道している。
・現代のタイの繁栄と外交関係の礎を築いた功績は大きい。形式上政治に関与せず、近近の海外訪問は10数年前。米国は今尚東南アジア外交の窓口としてのタイに期待するも、14年の軍事クーデター以来緊密関係は薄れ、国王をなくして関係不安はぬぐえず。
・オバマ大統領は声明で「国王陛下は米国の近しい友人であり、米大統領にとり大切なパートナーであった。...
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10月14日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は「米国との懸け橋を担ったタイのプミポン国王」との見出しで以下のように報道している。
・現代のタイの繁栄と外交関係の礎を築いた功績は大きい。形式上政治に関与せず、近近の海外訪問は10数年前。米国は今尚東南アジア外交の窓口としてのタイに期待するも、14年の軍事クーデター以来緊密関係は薄れ、国王をなくして関係不安はぬぐえず。
・オバマ大統領は声明で「国王陛下は米国の近しい友人であり、米大統領にとり大切なパートナーであった。お悔やみ申し上げ、我々の心はタイ国民と共にある。」と述べた。12年オバマ大統領が国王が10数年滞在するバンコク病院に見舞い、歴代大統領とのアルバムを見たという。
・プミポン国王は、1927年米国生まれ。マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード医学部(国王の父の母校)の関連病院で生まれ、ケンブリッジにはプミポン氏の名がついた広場があり、ジョンケリー米国務長官は、「米タイの関係を築いた国王の恒久に続く記念」としている。
・1946年王位を継承、国王としての60年初渡米では、サックスを演奏、国王、王妃、王女がエルビス・プレスリーと並んだ肖像画は今もタイで親しまれている。
・1967年、軍への支援を目的とし再び訪米、タイはベトナム戦争への派兵と米空軍の補給基地提供。ベトナム戦争が激化し共産主義拡大を懸念した米国が東南アジアでの同盟国を求めていた時代、プミポン国王は中心的役割を果たし、両国の良好関係に貢献。ベトナム戦争後タイの戦略的役割は減ったが、良好な関係は継続。タイが再び民主政権となれば米国との関係も復活するだろう。
・マークトナー国務省報道官は、民主化への支援を示唆したが、今後1年は喪に服するため不透明。
10月13日付仏
『フランス24』(AFP通信引用)は「タイのプミポン国王、分裂した国の古き父」との見出しで以下のように報道している。
・タイ国王は「国の父」として7回の政権交代の危機を見守り、王権を復活させ、最も長い在位と求心力で確固たる地位を得、近代タイ社会の礎を築いた。
・2011年、「フォーブス紙」がプミポン国王を世界一裕福な君主と格付け。裕福ではあるが、贅沢品はまとわず、サックス演奏、写真、船と幅広い趣味でタイ国民に親しまれる。
・タイ国民は学校で国王の偉業を学び、映画館では開演前国歌が流され、国王の御前ではひざまずく。国王や王妃の巨大な肖像画が町中や家の中にも飾られる。
・70年代に国王は幾度かの政治危機で仲裁に入った、92年の軍と民主勢力との衝突では、大きく介入し両リーダーが国王にひざまずき事無きを得た。軍部によるクーデターでタクシン政権(赤シャツ)が滅んだ際、抵抗勢力から仲裁の要求があったが、国王は静観。
同日付英
『BBC』は次のように報道している。
・健康悪化の噂が広がる2日間の経過期間を経て、王室は木曜夕4時前国王が亡くなったと発表。
・TV演説で、プラユット首相はタイは1年間の喪に服すと宣言、1ヶ月間は半旗を掲げ、更に娯楽活動を控えるように」と述べ、治安への警戒も呼びかけた。
・国王は国中で尊敬され、その多くからは神の様に扱われている。多くの国民が国王のカラーである黄色やピンクの服を着て、病院の前で写真を持って回復を願った。
・首相は次期国王にはワチラロンコン皇太子が後継するとしたが、正式な宣誓は後日とした。首相は皇太子に後継する意思を確認したが、喪に服する期間が必要だという。
・殆ど海外(主にドイツ)で滞在した皇太子は父のような絶大な人気はない。政権が不安定なタイで国王が果たしてきた政権の仲裁という役割を考えると、後継は政府にとり痛手。
同日付タイ
『バンコクポスト』は「プミポン国王陛下死去」との見出しで次のように報道している。
・ 国営放送で、国王陛下がバンコクのシリラート病院で王族に見守られる中、穏やかに死去、と発表。12月5日に89歳になる予定だった。 チャクリー王朝9世として1946年6月王位継承、 ピンクと黄色の支持者の世界最長の在位70年を今年祝った。 数日は不安定な状態で治療が続けられていた。病院の前では数日間で回復を願う市民が急増。僧侶に托鉢し、祈りをささげる市民。各所の政府機関でも同種の行いを拡大し、多くの市民が祈り、几帳に訪れていた。
同日付タイ
『The Nation』は「シリラート病院前の民衆は悲しみ嘆く」との見出しで次のように報道している。
・午後7時の王室による国王死去正式発表の後、ソーシャルメディアで死去を知った病院前の多くの市民は、「国王よ永遠に」と叫び、嘆き悲しんだ。過去数日座り込んでいた人の中には失神し看護師に応急処置を受けた者もいた。私達を置いて行かないでください、と叫ぶ会社員の女性。死去の知らせを信じないとする人。その後正気を取り戻した市民らは国歌を謳い、「国王よ天国に」と祈りをささげ、その後も数時間たっても立ち去らない者もいた。多くの国民全体が同様に悲しみを受けている、西部の寺院でも祈りが捧げられた。
・下院事務局などの機関は、民主主義の推進者として国王陛下を讃えた。首相官邸は1年間喪に服し黒服着用と30日間の半旗掲揚を政府各所に通達した。
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米の報告書でタイの魚介業界に改善の兆し(2016/06/30)
水産物輸出世界3位のタイでは水産業などにおいて強制労働、人身売買を利用し、違法を行っている国として欧米国に改善を求められているが、アメリカの国務省による人身売買報告書(TIP)では、昨年の要注意レベルから改善が見られたとして、ランクがアップされる見通しとなっている。ようやく軍事政府が法改正に乗り出し信頼回復の兆しが見え始めた結果である。そのような報告書におけるランク改善の裏には中国との南シナ海問題にゆれる東南アジアでの前進をはかりたいオバマ大統領の思惑も見え隠れする。多くの問題を抱える軍政下のタイは、このランクアップで産業界における米からの保障を得て、国内で批判の多い経済を活性化したいとする。
6月29日付
『ロイター通信』は「米人身売買報告書でタイのランク上げ」との見出しで次のように報道している。
・タイは米国に対し米国国務省による人身売買報告書(TIP)(木曜公表)での最低ランク付けを返上するよう抗議してきた。
・米国高官によると、報告書にはタイ政府の人身売買問題特に漁業分野での対処と改善が盛り込まれる見込みで、タイの評価は「3:最低ランク」から「2:要注意リスト」に変更される。...
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6月29日付
『ロイター通信』は「米人身売買報告書でタイのランク上げ」との見出しで次のように報道している。
・タイは米国に対し米国国務省による人身売買報告書(TIP)(木曜公表)での最低ランク付けを返上するよう抗議してきた。
・米国高官によると、報告書にはタイ政府の人身売買問題特に漁業分野での対処と改善が盛り込まれる見込みで、タイの評価は「3:最低ランク」から「2:要注意リスト」に変更される。ジョン・カービー国務省報道官は公表前にはランクに関しノーコメントとする。
・ランク付けは1が最低、2が「注意」で要努力、要観察、3が努力必要なし。タイは2014年6月の軍掌握の数週間後には、最低ランクに下げられた。昨年マレーシアが3に変更された際タイは変更なし、今年の報告書でマレーシアは3で保留。
・タイ政府サンサーン報道官は、ランク変更はプラユット首相が人身売買への国際的批判の改善を誓った証拠、「国際社会に首相の有言実行を示した」と述べている。
・プラウィット防衛相は2へのランクアップは人身問題がなくなった事を意味しない、今後も問題解決を継続する必要があると述べている。
・タイ政府は繰り返し漁業等における人身売買取締を誓ってきた、タイは魚介類の輸出量世界3位、魚業従業者の多くは近隣国のカンボジア、ラオス、マレーシア出身。
・人身売買法規を改正し、漁船の登録制を導入し、サプライチェーンを明確にし違法な闇漁業を取り締まっていた。人権団体は数百万人の移民労働者が漁業界等での虐待の被害をうけているとする。
・虐待の実態がメディアで広く報道されるようになり、西欧諸国の消費者からは、タイ産魚介類への反発の声が拡大している。
・米高官は、タイ軍政と手を結ぼうとする中国にオバマ政権は苛立ちをみせており、近年冷えこんでいたタイとの関係解消で均衡を図ろうという狙いがあるとする。
6月29日付タイ
『バンコクポスト』は「米がタイをランク3から外す」との見出しで以下のように報道している。
・「ロイター」によると、米は人身売買に関するランクでタイを最低ランクから除外、これは軍政権との関係改善につながる見込みである。
・外務省は一年間のタイは状況改善のたゆまぬ努力をしたとし、ソンサック米南アジア太平洋担当長官は、ランクが上がるかに関わらず、人身売買撲滅への努力を続ける、とした。
・人権ウォッチアジア局長代理のフィル・ロバートソン氏は、「ロイター」に対し、(今回の措置は)やっとタイの高官らが長年放置されてきた法改正に着手した事が主な理由だが、取締は氷山の一角だという。
・昨年逮捕された5百あまりの容疑者のほとんどは政府や警察、軍部、地方公務員などとのつながりがあった。2015年タイ政府が国境付近の違法難民キャンプで、ロヒンギャ(ミャンマー西部ラカイン州のロヒンギャ語を話す人々)からの移民を襲撃した後、34人の高官が人身売買への加担で検挙。当時の取締は、移民を虐待する地方警察や公務員による組織的腐敗を一掃する効力なかった。
6月30日付タイ
『ザ・ネーション』は、次のように報じている。
・(今回のランクアップでは)「移民労働者の権利ネットワーク(MWRN)」が米国の決定をサポートしていた。同ネットワークはタイ政府は改善を実行したが、更に問題は続き、「ランク2」となる今後一年は国際社会に真摯な貢献を見せなければならない」とする。
・タイ雇用省で、移民の下請けなどのアウトソーシングへの新たな規制が設けられた事は重要な改善。
・貿易交渉省の局長は、(ランプアップは)タイ国内に精神的に良い影響をもたらし、タイ製品、魚介類の米国輸入業、小売業、消費者へのイメージアップが図れるとする。また、同省幹部は、ランクアップすれば、タイは将来的に環太平洋パートナーシップ(TPP)への参加の必要がなくなるとする。
・国立荷主協議会のウィタナコーン副代表は、タイの製品、特に魚介類、サトウキビ、繊維製品での良いイメージにつながるとした。
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