前トランプ政権;外国首脳らから受領のギフト管理の杜撰さが露呈【米メディア】(2022/04/10)
4月9日付
『AP通信』や10日付
『ハフポスト』紙が、「トランプ政権の法令軽視再び:外国首脳らから受領のギフト管理杜撰」と題して、ドナルド・トランプ前大統領、マイク・ペンス副大統領等前政権幹部が、連邦内規を無視して外交要人らから受領のギフト管理表を関係省庁に提出していないことが判明したと報じている。
国務省の高官が4月8日にリリースした報告書によると、トランプ政権幹部らが在任中の2020年までの間に、外交首脳等から受領したギフトの管理簿が関係省庁に提出されていないことが判明した。
同省儀典局が、これらのギフトの記録簿(市価含めて)を米国立公文書記録管理局(NARA、注1後記)や米連邦共通役務庁(GSA、注2後記)に照会したところ、“関連記録が見当たらない”という。
これは、ドナルド・トランプ前大統領、マイク・ペンス副大統領含めたトランプ政権幹部が受領したギフトが記録保管されていないことを意味する。...
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国務省の高官が4月8日にリリースした報告書によると、トランプ政権幹部らが在任中の2020年までの間に、外交首脳等から受領したギフトの管理簿が関係省庁に提出されていないことが判明した。
同省儀典局が、これらのギフトの記録簿(市価含めて)を米国立公文書記録管理局(NARA、注1後記)や米連邦共通役務庁(GSA、注2後記)に照会したところ、“関連記録が見当たらない”という。
これは、ドナルド・トランプ前大統領、マイク・ペンス副大統領含めたトランプ政権幹部が受領したギフトが記録保管されていないことを意味する。
連邦政府内規では、賄賂や不適切な関係との疑念が生じないよう、外交政府から受領した415ドル(約5万1千円)以上のギフトは全て、国務省に報告する義務がある。
ジョージ・W.・ブッシュ政権(2001~2009年)でホワイトハウス倫理弁護士を務めたリチャード・ペイナー氏(60歳)は、“トランプ政権の幹部らは、米憲法に定められた(外国政府等からの)報酬等取得禁止条項を軽んじている”とし、“彼らが、どこの政府からどんなギフトを受領しているのか全く不明だ”と非難している。
これは、トップであったトランプ前大統領が、如何に連邦法典を敬わなかったか、ということである。
例えば彼は、ホワイトハウスを去る際、“機密事項”のみならず、“超極秘事項”に属する公文書等15箱分をフロリダ州のマー・ア・ラゴ居住地に勝手に持ち出している。
更に彼は、記録保管しておくべき文書をしばしば破棄してしまっており、そのためNARA高官は、下院特別委員会(1月6日暴動調査担当)から求められた文書を提出するために、ビデオ画像を再生したりして周辺情報をかき集めて記録作成に奔走しなければならない事態となっている。
『ワシントン・ポスト』紙は4月7日、トランプ前大統領が持ち去った公文書について、司法省が同氏住居に立ち入り調査に入ることになったと報じている。
また、『ニューヨーク・タイムズ』紙も、もし外国関係者が“超極秘事項”の公文書にアクセスしたことが判明すれば、連邦捜査局(FBI、1908年設立)が捜査に乗り出すものとみられると報じた。
一方、下院監視改革委員会(1927年設立)は今年2月、トランプが持ち出した当該公文書の詳細の調査に入っている。
これに対してトランプは、(文書持ち出しは)“慣習に基づく通常の所作”だと嘯いている。
(注1)米国立公文書記録管理局NARA:米国政府の書類と歴史的価値のある資料を保存する公文書館。1935年前身母体設立。米議会の決議書、大統領の布告や行政命令、連邦行政規則集などを発行する義務もある。
(注2)米連邦共通役務庁GSA:連邦財産の管理維持、公文書の管理、資材の調達・供給などを行う。1949年設立。
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一部の米メディア、ウクライナのブチャについて慎重な事実確認の必要性を訴える(2022/04/07)
4月3日、ウクライナのキーウ近郊ブチャで多数の民間人がロシア軍に殺害されたというニュースが報じられた。アメリカの多くのメディアはロシアによる虐殺を非難する一方で、ニューヨーク・タイムズをはじめとしたいくつかのアメリカのメディアとまずは慎重な事実確認が必要であると報じている。
『ロイター通信』は5日、アメリカの国防当局高官は、米軍は、ロシア軍によるブチャの町の民間人に対する残虐行為に関するウクライナの証言を独自に確認する立場にはないが、その証言に異議を唱える理由もないと述べたことを伝えている。
一方、アメリカの調査報道ニュースサイト『コンソーシアム・ニュース』は、民間人の虐殺について時系列に出来事を追った際、疑問点がいくつか湧いてくると伝えている。
ロシア国防省によると、ロシア軍は3月30日にブチャから撤退した。...
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『ロイター通信』は5日、アメリカの国防当局高官は、米軍は、ロシア軍によるブチャの町の民間人に対する残虐行為に関するウクライナの証言を独自に確認する立場にはないが、その証言に異議を唱える理由もないと述べたことを伝えている。
一方、アメリカの調査報道ニュースサイト『コンソーシアム・ニュース』は、民間人の虐殺について時系列に出来事を追った際、疑問点がいくつか湧いてくると伝えている。
ロシア国防省によると、ロシア軍は3月30日にブチャから撤退した。3月31日、ブチャ市議会の公式フェイスブックページで、笑顔のアナトリー・フェドルック市長が動画を投稿し、ブチャ市が解放された事を発表した。「3月31日、ブチャの解放の日。ブチャ市長のアナトリー・フェドルークが発表。この日は、ウクライナ軍によるロシア占領軍からの解放の日として、ブチャとブチャのコミュニティ全体の輝かしい歴史に刻まれるでしょう。」と投稿されている。
『コンソーシアム・ニュース』は、ロシア軍が撤退したこの時点で、大虐殺があったという話は出てきていないことを指摘し、もし周囲に何百人もの民間人の死体が散乱していたのであれば、市長はブチャの歴史の中で「輝かしい日」だとにこやかに話すことはできないのではないかと疑問を呈している。なお、ロシア国防省はテレグラムへの投稿で、「すべてのロシア軍は3月30日にブチャから完全に撤退し、ブチャがロシア軍の支配下にあった間、一人の地元住民も負傷していない」と報告していた。
4月1日、ニューヨーク・タイムズの記者がブチャにいたものの、タイムズ紙も大虐殺を報じていない。その代わりに、タイムズ紙は、ロシア軍の撤退が完了し、「目撃者、ウクライナ当局者、衛星画像、軍事アナリストによれば、死んだ兵士と燃えた車を残していった」と伝えていた。また6人の民間人の遺体を発見したことに言及し「彼らがどのような状況で死亡したかは不明だが、頭を撃たれた一人の男のそばには、ロシア軍の配給品の廃棄された包装が横たわっていた」と伝えた。
『コンソーシアム・ニュース』は、2日にはまだ虐殺の全容は明らかになっておらず、市長でさえ2日前には気づいていなかった可能性があると指摘する一方で、現在では多くの遺体が町の通りに野ざらしになっている写真が出てきており、こうした情景を見逃すことは困難だったのではないかと指摘している。
ニューヨーク・タイムズはその後、ウクライナ内務省管轄の国内軍組織アゾフ大隊が殺害に関与している可能性を示唆した。記者は、「4月2日、国内外のメディアに大虐殺が取り上げられる数時間前に、非常に興味深いことが起こった。」と書いており、米国とEUが資金を提供するゴルシェニン研究所のオンラインのウクライナ語サイト「レフトバンク」が次のように発表したと伝えた。「特殊部隊は、ウクライナ軍によって解放されたキエフ地方のブチャ市で掃討作戦を開始した。この街は、ロシア軍の破壊工作員や共犯者から解放されつつある。」タイムズ紙はさらに、前日の1日には、ブチャ市議会当局を代表するエカテリーナ・ウクレンチヴァが、ブチャ・ライブ・テレグラムページの動画に登場し、軍服を着てウクライナの旗の前に座り、「街の浄化」を宣言したと伝えている。ウクレンチヴァは、ロシア軍は撤退したものの、アゾフ大隊の到着は解放が完了したことを意味せず、「完全な掃討」を行わなければならないと住民に告げた。ブチャでの虐殺が世界に報道されたのは、ウクライナ治安維持局とウクライナメディアの代表が町に到着してから4日目のことである。
一方、米ニュースサイト『パリスベーコン』の番組に出演したジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは、現在の欧米のソーシャルネットワークは、ウクライナ戦争への他国の参加に反対する者を「ロシアの工作員」に変えてしまう傾向があると指摘した。また、過去20年は、「戦争のプロパガンダに疑問や異議を唱えることができない場合、とんでもない結果を招く」ことを世界に教えてきたと警告している。
他の紛争では、公式に確認された死者数でさえ、この種の反応を呼び起こさなかったことを想起し、アメリカの一部メディアにおける「第三次世界大戦への呼びかけ」も「冷静さを必要とする」とした。特に、米国のイラク侵攻後、最初の6から8週間で死亡した民間人の数は、公式には8千人を超えていたことを想起した。
「もし私に一つの政治的希望があるとすれば、それはすべての戦争、特に米国とそのパートナーが関与している戦争が、ウクライナと同じようにメディアの注目を集め、その犠牲者が同じように共感されることだ」と強調した。グリーンウォルド氏は、米『フォックスニュース』の番組に出演した際、「ウクライナ人を助けることができるのは、戦争を外交的に解決することだけだ。皮肉なことに、それを唱えると、ロシアの工作員と呼ばれることになる」と述べている。
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