中国政府、COVID-19蔓延防止規制を隠れ蓑に反政府運動を取締り【米メディア】
1月27日付GLOBALi「北京オリンピック;COVID-19対策隠れ蓑に国際ジャーナリスト入国・取材制限で習政権思惑どおり人権問題は蚊帳の外」で報じたとおり、中国政府は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題対策を隠れ蓑に、国際ジャーナリストの入国を制限するばかりか、一般市民への直接取材も控えさせ、人権問題に焦点が当たらないよう画策している。そして、この対策に名を借りた蔓延防止規制を盾に、人権活動家ら反政府運動に繋がりかねない行動を取る人たちの活動を監視・制限しようとしている。
1月31日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「中国、COVID-19蔓延防止規制を人民の行動制限に活用」
中国政府は、COVID-19感染拡大を防ぐため厳しい措置を講じているが、それを人民の行動制限や監視にも活用していることが分かった。
人権活動家の謝陽弁護士(シエ・ヤン、49歳)は昨年11月、中国政府のCOVID-19政策を批判して4年の実刑判決を受けた張展弁護士(ザン・ザン、38歳)の母親を訪ねようとしたところ、同弁護士の「健康コード」(注後記)が突然“赤”に変わってしまった。...
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1月31日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「中国、COVID-19蔓延防止規制を人民の行動制限に活用」
中国政府は、COVID-19感染拡大を防ぐため厳しい措置を講じているが、それを人民の行動制限や監視にも活用していることが分かった。
人権活動家の謝陽弁護士(シエ・ヤン、49歳)は昨年11月、中国政府のCOVID-19政策を批判して4年の実刑判決を受けた張展弁護士(ザン・ザン、38歳)の母親を訪ねようとしたところ、同弁護士の「健康コード」(注後記)が突然“赤”に変わってしまった。すなわち、移動禁止対象とされてしまった。
COVID-19撲滅に成功しつつある中国政府は、当該システムを利用して、その他のリスク、例えば犯罪、公害、“反政府”運動の監視にも活用できると考えたものとみられる。
特に、汚職や反対意見を徹底的に取り締まってきた習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)にとって、強力な手段と考えられる。
中国国営メディアによれば、中国国内において買い物であろうと旅行であろうと如何なる行動をしようとする人は誰でも、「健康コード」を取得する必要があり、個人情報等必要不可欠な事項を入力した上で当該システム・アプリを自身のスマートフォンにアップロードすることが求められる。
そして、建物やレストラン、更には公園に入ろうとした場合でも、「健康コード」を示す必要があるとする。
すなわち、中国政府は従来から、保有携帯電話の位置情報等のデータで市民の行動を把握してきていたが、当該コードを活用することによって、更に広範囲での監視活動が行えるようになっている。
例えば、人権活動家として著名な王羽弁護士(ワン・ユー、50歳)は昨年11月、出張先から北京に戻ろうとした際、自身の「健康コード」に居場所を入力して移動条件を満たそうとしたところ、出張先である中国東部江蘇省(チャンスー)を入力しても居所の選択肢には、彼女の訪問地ではない常州(チャンヂョウ)しか出て来ないことになっていた。
同市では正にCOVID-19感染者が発生していることから、そこをクリックすると、自動的に彼女の北京帰還が認められないことになる。
すなわち、彼女はこれまでも公安警察に付きまとわれていたが、当該システムによって、遥か遠くからでも行動監視・抑止されることを意味する。
中国政府としては、一度有効と考えられたシステムを簡単に手放すとは考えられない。
更に、習国家主席に公に楯突くと、逮捕されなくとも強制的に検疫を受けさせられ、結果として隔離入院等仕向けられる可能性があるため、誰も同国家主席に物申す人は現れないと言える。
(注)健康コード:COVID-19感染のリスクを「青・黄・赤」の3段階で表示、すなわち所有者のウィルス感染に対する「安全度」を表示するアプリ。自己申告の内容や各種の検査結果、行動履歴などと、政府や、政府に協力する企業が収集した様々なデータを照合、分析するのみならず、PCR検査を受けたことがある人やCOVID-19で病院での診察を受けたことがある人はその結果なども記録される。それらを基に、その人の「感染しているリスクの高さ」に応じて、低い方から「緑」(危険度は低い)、「黄」(中程度)、「赤」(高い)-の3段階で、アプリの画面にそれぞれの色のバーコードが表示される。
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インド、マザー・テレサのチャリティーの海外資金受取許可証の更新を拒否
インドはマザー・テレサが設立した慈善団体への海外からの資金提供を打ち切ろうとしている。こうした動きは、海外からの寄付金で運営されている団体に対する規制強化の一環であり、宗教的少数派への攻撃が増加している中で行われたものである。
『AFP通信』によると、チャリティー団体は、西ベンガル州の州都コルカタで貧しい人々を助けることに人生の大半を捧げたカトリックの修道女、故マザー・テレサによって1950年に設立された。同団体は、インド全土で保護施設を運営しており、マザー・テレサはこの働きのために1979年にノーベル平和賞を受賞した。
インド内務省は12月25日、海外から資金を受け取るための同団体の受取許可証の更新が「拒否」されたと発表した。...
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『AFP通信』によると、チャリティー団体は、西ベンガル州の州都コルカタで貧しい人々を助けることに人生の大半を捧げたカトリックの修道女、故マザー・テレサによって1950年に設立された。同団体は、インド全土で保護施設を運営しており、マザー・テレサはこの働きのために1979年にノーベル平和賞を受賞した。
インド内務省は12月25日、海外から資金を受け取るための同団体の受取許可証の更新が「拒否」されたと発表した。27日に発表された声明では、外国貢献規制法に基づく「資格条件を満たしていない」ことを理由としてあげているが、それ以上の詳細は明かされていない。
米『ニューヨーク・タイムズ』によると、同団体は上訴することができるが、今のところ、主要な資金源は断たれているという。このニュースは、インドで数百人の右翼ヒンズー教徒によって教会が破壊され、いくつかの地域ではクリスマスの行事が中断された緊迫した時期に発表されたという。
インドの人口の約2パーセントを占めるキリスト教徒に対する攻撃の増加は、宗教的少数派が安全でないと感じるようになってきているより広い社会的変化の一部だといえる。反キリスト教の自警団が村を襲い、教会を襲撃し、キリスト教の文献を燃やし、学校を攻撃し、礼拝者を襲っている。ここ数カ月、北部のハリヤナ州では、右翼のヒンズー教徒が金曜日の礼拝中にイスラム教徒とも衝突している。先週行われた集会では、数百人の右翼ヒンドゥー教僧侶が、憲法上世俗的な共和国であるインドをヒンドゥー教の国にするために、公然とイスラム教徒を殺害するよう呼びかけた。
また、モディ氏の政権下で、インドは非政府組織に対する海外からの資金提供に関する規則も強化している。多くのキリスト教やイスラム教の非営利団体に制限を加え、その他の団体はインドの法律、特に宗教的改宗に関する法律に違反しているとして監視リストに載せている。
非営利団体は、海外からの資金とインド国内での使用方法に関する詳細な財務諸表を提出する必要があり、政府から承認されるまでは、その資金の受け取りが制限される。昨年、人権団体アムネスティ・インターナショナルは、銀行口座の凍結など政府からの一連の報復を受け、インドでの事業を停止した。政府は当時、同団体が外国法人が海外から寄付を受ける際の規制を回避し、現地の法律に何度も違反したと発表した。
マザー・テレサのチャリティー団体の広報担当者、スニタ・クマール氏は27日、許可証の問題が解決されることに自信を示し、収入の大部分を海外からの寄付で得ているものの、「地元でも十分な寄付があるので、それで対応できる」と語り、同チャリティーの活動に直ちに影響を与えることはないと述べている。
チャリティー団体は、パンデミック以前から、14億人の人口を抱えるインドで、重要なケアサービスと医療インフラを提供してきた。しかし今月、西部のグジャラート州の警察は、保護施設の少女たちに聖書を読み、十字架を身につけるよう強制しているとして、団体に対する苦情を調査中であると発表した。この告発に対して、団体の広報担当であるクマール氏は「私は45年間ここで働いていますが、そのようなことは一度も起きていません」と否定している。
カタールの『アルジャジーラ』は、2014年にモディが政権をとって以来、右派ヒンドゥー教団は州を越えてその地位を固めていき、宗教的少数派へのヘイト攻撃を開始し、そうした行動は宗教的改宗を防ぐためだと主張している。これに対し、キリスト教徒やその他の批評家は、改宗を防ぐという正当な理由は誤りであり、キリスト教徒はインドの人口13億7千万人のうちわずか2.3パーセントであり、ヒンズー教徒は同国の人口13億人のうち80パーセント近くを占める圧倒的多数派であると指摘している。
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