ロシア防諜部門の漏洩文書;習国家主席が今秋台湾侵攻を画策?【米メディア】
3月19日付
『ザ・ウェスターン・ジャーナル』(2008年設立の保守系メディア)は、フランス在住のロシア人人権活動家が入手したロシア防諜部門の漏洩文書によると、習近平国家主席(シー・チンピン、68歳、2012年就任)は今秋の中国共産党全国代表大会(中共党大会、注後記)で3期目続投を勝ち取るため、台湾を力づくで併合する考えを持っていたと報じている。ただ、ロシアによる無謀なウクライナ軍事侵攻の煽りを受けて、再考せざるを得ない状況になっているという。
フランスに逃れているロシア人人権活動家のウラジーミル・オセチキン氏(41歳)が3月初め、ロシア連邦保安庁(FSB、1995年設立)内部から漏洩した文書を入手した。
『ニューズウィーク』誌報道によると、FSB内の“変革の風”と名乗る匿名の内部告発者が3月9日、オセチキン氏に宛てた書簡の中で、“習近平国家主席が、今秋の中共党大会おいて、自身の3期目続投を勝ち取るための政治的業績を挙げる一環で、台湾統一を力づくで達成しようとしている”との情報を得ているという。...
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フランスに逃れているロシア人人権活動家のウラジーミル・オセチキン氏(41歳)が3月初め、ロシア連邦保安庁(FSB、1995年設立)内部から漏洩した文書を入手した。
『ニューズウィーク』誌報道によると、FSB内の“変革の風”と名乗る匿名の内部告発者が3月9日、オセチキン氏に宛てた書簡の中で、“習近平国家主席が、今秋の中共党大会おいて、自身の3期目続投を勝ち取るための政治的業績を挙げる一環で、台湾統一を力づくで達成しようとしている”との情報を得ているという。
しかし、2月下旬のロシアによるウクライナ軍事行動に伴って、米国主導で国際社会が一斉に対ロシア制裁に動いたことから、中国自身としても当該行動を見合さざるを得なくなったとも言及している。
すなわち、“米国が中国に対して、ロシアの軍事行動を契機に中国への厳しい制裁をちらつかせて脅しをかけただけでなく、国際社会、特に多くの欧州諸国が一斉に対ロシア制裁を発動したことから、中国としても、より慎重な行動を取らざるを得なくなったと考えられる”としている。
“何故なら、中国は欧米諸国との貿易高が膨大でそれへのマイナスの影響、かつ、エネルギーやモノの値段が急騰していることに恐れをなしているからだ”という。
ただ、英国民間調査機関ベリングキャット(2014年設立)代表のクリスト・グロゼフ氏(52歳、ブルガリア人ジャーナリスト、メディア投資家)は、FSB内部者の告発文であるとは認めるものの、言及された内容については全て正確かどうかは怪しい、とコメントしている。
一方、台湾外交部長(外相に相当)の呉釗燮(ウー・チャオシェ、67歳、2018年就任)は3月16日、“(中国が今秋台湾侵攻画策との噂に関して)中国がいつ、どのようにして台湾に武力侵攻して来ようとも、我々は常に準備を怠っておらず、祖国防衛に努める”と表明した。
また、台湾国家安全局長の陳明通(チェン・ミントン、66歳、2021年就任)は、蔡英文総統(ツァイ・インウェン、65歳、2016年就任)が現職に留まっている限り、中国が侵攻してくることはないと述べている。
なお、『CNN』報道によると蔡総統は先週、“ウクライナで起こっていることから明らかなように、国際社会からの支持・援助が期待できるし、また、祖国を守るために国民がひとつにまとまるようになる、ということを学んだ”と語っている。
その上で同総統は、“全ての予備兵含めて、台湾でも戦争が起こる可能性を十分自覚するようになっている”とも言及した。
(注)中共党大会:中国共産党の最高機関。中国の政治は中国共産党が指導するため、事実上中国の最高指導機関でもある。開催頻度は5年に一度で、2022年10~11月に開催される大会は第20回に当たる。この大会で決められることは、重大問題の討論と決議、党規約の修正、中央委員会、中央紀律検査委員会メンバーの選挙である。
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米国境警備隊が3500万円相当の覚せい剤とフェンタニルを押収
米国国境警備隊は11日、カリフォルニア州ソルトン市付近の入国審査場で、約30万ドル相当の覚醒剤とフェンタニルを密輸した疑いのある28歳の男を逮捕した。
米
『ニューズウィーク』と米
『エポックタイムズ』によると、米国税関・国境警備局は3月14日の声明で、この男が、末端価格約21万6000ドル(約2565万円)の覚せい剤を60ポンド(27kg)以上と、約8万4000ドル(約998万円)相当のフェンタニルを5ポンド(2.2kg)所持していたとして逮捕したと発表した。車の床板部分に覚せい剤40包とフェンタニル7包が隠されていた。
米国麻薬取締局(DEA)によると、合成オピオイドとして激しい痛みや慢性的な痛みの治療に使用されているフェンタニルは、「モルヒネに似ているものの、約100倍強力な物質である」という。...
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米
『ニューズウィーク』と米
『エポックタイムズ』によると、米国税関・国境警備局は3月14日の声明で、この男が、末端価格約21万6000ドル(約2565万円)の覚せい剤を60ポンド(27kg)以上と、約8万4000ドル(約998万円)相当のフェンタニルを5ポンド(2.2kg)所持していたとして逮捕したと発表した。車の床板部分に覚せい剤40包とフェンタニル7包が隠されていた。
米国麻薬取締局(DEA)によると、合成オピオイドとして激しい痛みや慢性的な痛みの治療に使用されているフェンタニルは、「モルヒネに似ているものの、約100倍強力な物質である」という。「2ミリグラムのフェンタニルでも、人の体格、耐性、過去の使用状況によっては致死量になりうる」と指摘されている。「麻薬密売組織は通常、フェンタニルをキログラム単位で流通させる。1キログラムのフェンタニルは50万人を殺す可能性がある」という。今回押収されたフェンタニルの量は、「120万人近くを殺すのに十分な量」に相当する。
カリフォルニア州上院議員メリッサ・メレンデス氏は、違法薬物がカリフォルニア州の路上に届くのを阻止している国境警備隊の努力を称え、バイデン大統領とカリフォルニア州のニューサム知事が南部国境での麻薬取引に適切に対処できていないとして非難した。「今回の事件は、バイデン政権の国境政策の完全な失敗を示すものであり、昨年、ハリス副大統領が中米とメキシコを訪問し、国境の危機に対処したことが恥ずべき失敗だったことをさらに明確に示している」と述べた。
カリフォルニア州リバーサイド郡地方検事マイケル・ヘストリン氏は、フェンタニルやその他の薬物の密輸に立ち向かう国境警備隊の捜査に、連邦政府はもっと力を貸す必要があると語っている。「フェンタニルは微量で非常に有毒だ」と指摘している。「2ミリグラムが人体には致命的であり、ティースプーン1杯に5000ミリグラム入っていると考えるならば、今回押収された量は、全住民を殺すのに十分である。ありがたいことに、そんなふうにはならない。しかしこれは猛毒で、私たちのコミュニティに密輸されている。やめさせなければならない」と述べている。しかし同氏は、フェンタニルの取引に対処するために、国境警備隊は連邦政府から「必要な資源を得ることができていない。」と述べており、「連邦政府はこの問題に焦点を当て、南の国境を越えてくるフェンタニルの流れを止める計画を立てなければならない」と指摘している。
米『フォックスニュース』によると、共和党議員18人が3月11日、バイデン大統領宛に、フェンタニルの危機に対して「断固とした行動」を取るよう求める書簡を送ったと報じている。南部国境で押収された違法薬物の量が大幅に増加していることを指摘し、政権が無策であることに対して「深い懸念」を表明した。また、就任1年を記念した記者会見でフェンタニルの 問題には言及せず、政権発足以来「国境の安全を確保する気がない」として批判している。
2021年度に南部の国境で押収されたフェンタニルは10586ポンド(4801kg)を超え、2020年度の4558ポンド(2067kg)、2019年度の2633ポンド(1194kg)から大きく増加した。超党派の合成オピオイド密売対策委員会による最近の報告書によると、フェンタニルの米国への流入元は、2014年から2019年にかけては国際郵便で中国から流入するものが多かった。現在は、主に中国で製造され、メキシコからの陸路国境経由で入ってきているという。
先月、フロリダ州のアシュレイ・ムーディ司法長官は、バイデン大統領と連邦議会指導部に対し、国境の「支配権を取り戻すための迅速かつ強力な行動」をとるよう求めた。「大統領が就任して1年が経った。国境で深刻化する危機が、全国的なオピオイド流行を終わらせ、命を救うための我々の努力に対して、壊滅的な影響を与えているという事実を無視することはできない」と述べている。
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