米軍撤退後のアフガニスタン、中国やロシアの動き(2021/08/16)
西欧諸国がアフガニスタンに残されている自国民の緊急避難に追われている中、中国とロシアが、アフガニスタンのタリバン支配を受け入れる準備を進めている。
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『デイリー・メール』によると、中国、ロシア、パキスタン、トルコの4カ国は、アフガニスタンのタリバンによる統治を正式に承認すると見られている。
世界の多くの民主主義国家は、2001年に米国主導の連合軍によって政権から追い出されていたイスラム過激派組織タリバンの支配を認めようとはしておらず、英国のボリス・ジョンソン首相は、アフガニスタンを再び「テロの温床」にすることは許されないと警告している。...
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『デイリー・メール』によると、中国、ロシア、パキスタン、トルコの4カ国は、アフガニスタンのタリバンによる統治を正式に承認すると見られている。
世界の多くの民主主義国家は、2001年に米国主導の連合軍によって政権から追い出されていたイスラム過激派組織タリバンの支配を認めようとはしておらず、英国のボリス・ジョンソン首相は、アフガニスタンを再び「テロの温床」にすることは許されないと警告している。
しかし、中国とパキスタンは、アフガニスタン新政権とより緊密な関係を築いていく可能性がある。中国では先月、王毅外相が天津で伝統的なチュニックとターバンを身につけたタリバンの幹部と会談し、肩を並べている一連の写真が中国国営メディアによって公開された。
国営メディアはさらに、少なくとも2つの記事を掲載し、アフガニスタンは「あらゆる帝国の墓場」だったと強調し、中国が同様に巻き込まれないよう警告した。中国はアフガニスタンに軍隊を派遣する意図はなく、米国が残した権力の空白を埋めることができるという幻想も抱いていないというメッセージを強めている。王外相との会談後、タリバン側は、中国がより大きな経済的役割を果たすことを望んでいると述べた。
四川大学の南アジア研究の教授であるZhang Li氏は、「これは、中国が戦後のアフガニスタンに経済援助と投資の約束をぶら下げて、国内での戦闘をやめて政治的解決を図るように促すニンジンとして使ったのではないかということを示している」と述べている。
一方『ロイター通信』は、米軍撤退後のタリバンの勢いは、中国にとっては厄介なものであると報じている。中国は、宗教的過激主義が新疆ウイグル自治区を不安定にしていると非難し、タリバンの支配地域が分離主義勢力の拠点になることを長い間懸念してきた。しかし、中国は他国の内政に干渉しないという政策をとっている。また、新疆ウイグル自治区の警備を大幅に強化し、国境を固め、国連の専門家や権利団体の推定によると少なくとも100万人のウイグル人やその他のイスラム教徒を、イスラム過激派や分離独立主義を根絶するための職業訓練施設と称して収容してきた。
先月の中国北部の都市・天津での会合は、2019年のタリバン代表団による同様の訪問に続くものだが、同グループがはるかに強力になったことで実現したもので、王外相はアフガニスタンが「穏健なイスラム主義政策」を取れることを期待すると述べた。
英『エクスプレス』によると、豪「スカイニュース」も、中国は、アフガニスタンで何兆ドルも無駄にし、何千人もの命が失われた西洋の失敗を「最大限利用」して、アフガニスタンの将来の政権となりうるタリバンと同盟を結び始めるだろうと伝えている。
『デイリー・メール』によると、ロシアは、タリバンとは良好な関係を持っているためカブールのロシア大使館を避難させる計画はないとしている。ロシア国営メディアも、ソ連のアフガニスタン撤退後に結成されたイスラム教スンニ派グループがロシア外交官の安全を保証すると約束したと報じている。
タリバン戦闘員をかくまっていると非難されているパキスタンは、イムラン・カーン首相が最近のタリバンの残虐行為を非難しなかったことから、タリバンを支持する可能性が高いと見られている。タリバン新政権を支持すれば、パキスタンとインドとの関係が悪化する可能性がある。
トルコのエルドアン大統領は、タリバンがアフガニスタン全土で攻勢をかけている中、増加する移民を食い止めるために、パキスタンとともにアフガニスタンの安定のために努力すると述べた。エルドアン大統領は、パキスタン大統領との海軍式典で、アフガニスタン人がイラン経由でトルコに移住しようとする動きが活発化していると述べ、アフガニスタンに安定をもたらし、大量の移住を防ぐための国際的な努力を呼び掛けた。
また、衝突が激化しているアフガニスタンに平和と安定をもたらすために、パキスタンは「重要な任務」を担っていると述べた。そのためにはトルコとパキスタンの協力が必要であり、トルコはそのためにあらゆる可能性を活用するだろう、と付け加えた。
イスラム教スンニ派のタリバンを長年警戒してきたイスラム教シーア派のイランは、7月の会談で危機の終結に協力することを申し出ていたが、外交官やスタッフの安全を確保するために動いている。イラン外務省は15日、アフガニスタンにおけるイランの外交プレゼンスを縮小したと発表した。カブールがタリバンに占領されたため、カブールの大使館にはわずかなスタッフしか残されていない。イラン外務省報道官は声明の中で、「カブールのイラン大使館では人員削減が行われた」と述べ、「大使館の必要な活動」を継続するために一部の人員のみ残っていると付け加えた。
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米ワシントンDC市長、治安悪化を理由に警察予算削減から一転警察増員を発表(2021/07/30)
警察予算削減を指示していたワシントンD.C.のミュリエル・バウザー市長は、米国の首都で殺人事件が増加していることを理由に、警察官増員のために1100万ドル(約12億円)の追加予算を要求していることを発表した。
米
『ナショナルレビュー』によると、バウザー市長は28日、2021年度に20人、2022年度に150人の警官を雇用するために、1100万ドルの承認を市議会に求めたことを明らかにした。市議会は昨年、ジョージ・フロイドのデモや「警察予算の打ち切り」という声を受けて、警察予算を1,500万ドル(約16億円)削減することを決議していた。
バウザー市長は、「現在、私は警察庁に対して、公共の安全を保つために残業を行うよう指示しています。...
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『ナショナルレビュー』によると、バウザー市長は28日、2021年度に20人、2022年度に150人の警官を雇用するために、1100万ドルの承認を市議会に求めたことを明らかにした。市議会は昨年、ジョージ・フロイドのデモや「警察予算の打ち切り」という声を受けて、警察予算を1,500万ドル(約16億円)削減することを決議していた。
バウザー市長は、「現在、私は警察庁に対して、公共の安全を保つために残業を行うよう指示しています。しかし、それが完全な解決策ではなく、また長期的に見ても正しい解決策ではないことは承知しています。また、すべての警察官が健康で、休みを取れていて、適切な判断ができる状態であることが必要です。地域社会のすべてのニーズに応えるためには、体制の整った警察が必要です」と述べた。
市長室によると、昨年の予算削減により、警視庁は42名の警官しか雇用できず、「今年は警察学校で採用イベントを開催できなかった」という。市長は、「DC全域の住民、特に銃による暴力の影響を最も受けている地域に住む住民が、強力で持続的な警察の存在を求め続けているため、警察に残業を要請している 」と述べた。
ワシントン州では、2020年に過去16年間で最も多い198件の殺人事件が発生し、今年はこれまでにすでに111件と、昨年に匹敵する勢いで殺人事件が発生している。同市ではここ数週間、6歳の少女が銃で撃たれて死亡する事件や、野球の試合中に起こった銃撃事件で場内の観客たちが外に非難するなど、注目を集める銃乱射事件がいくつも発生している。
米『ワシントンタイムズ』によると、今回の発表の1ヵ月前に、ワシントンD.C.警察の署長が、「今年は採用プロセスを停止せざるを得なかった」ため、減少率が採用率を上回る状態が続くとの見通しを示していた。
警察署長は、ワシントンD.C.議会の司法・公安委員会で、昨年の予算削減により、最終的には警察官が200人以上減少することになると述べた。また、同署が再び雇用を開始できるのはおそらく2022年4月以降になるだろうと述べた。来年には20年以来、最小の警察官数になるという。
英『デイリー・メール』は、米国で警察組織の廃止を訴えている都市の少なくとも20人の市長は、年間数百万ドルの税金を使って民間警備会社に自分たちの警備を依頼していると報じている。
2月、サンフランシスコのブリード市長は、警察予算から1億2000万ドル(約130億円)を削減する計画を発表した。一方で、2020年の市長の警備のためには260万ドル(約3億円)が費やされており、この予算は今年も増えそうだという。
『デイリー・メール』は、市長が警察予算の削減を訴えながら、自分の身を守るために何億円も費やすという現象は、民主党の市長がいる都市でのみ見られる現象だと伝えている。シカゴでは、2020年に340万ドル(約3億7千万円)を警備に使用し、ボルチモアでは市長他2名のために360万ドル(約3億9千万円)が使用された。ボイス・オブ・サンディエゴによると、サンディエゴ市長は最新の警察予算で、430万ドル(約4億7千万円)の残業代の削減と、新しい警察監督機関のために100万ドル(約1億1千万円)を計上した。一方で市長の警護のために12人のフルタイムの警察官の費用260万ドル(約2億8千万円)の予算を計上したという。
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