米国では、新型コロナウィルス(COVID-19)感染症による死者が50万人を超えた。そうした中、米市民の間で孤独問題が深刻化しているとして、COVID-19死者が非常に少ない中、自殺者が急増している日本が、新たに孤独問題担当相を任命したことに焦点を当てて報じている。
2月23日付
『デイリィ・ワイヤー』(2015年設立の保守系メディア):「日本の首相、自殺者増に対応のため新たに“孤独問題担当相”任命」
菅義偉首相(72歳)は2月12日、自殺者急増事態(注後記)に対応するため、坂本哲志衆議院議員(70歳)を新たに“孤独問題担当相”に任命した。
2月21日付『ジャパン・タイムズ』紙によると、同議員は少子化及び地方創生担当相であるが、COVID-19問題に伴う自殺者が急増しているため、同首相は、孤独・孤立問題を総合的に対応するよう同担当相に求めたとする。...
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2月23日付
『デイリィ・ワイヤー』(2015年設立の保守系メディア):「日本の首相、自殺者増に対応のため新たに“孤独問題担当相”任命」
菅義偉首相(72歳)は2月12日、自殺者急増事態(注後記)に対応するため、坂本哲志衆議院議員(70歳)を新たに“孤独問題担当相”に任命した。
2月21日付『ジャパン・タイムズ』紙によると、同議員は少子化及び地方創生担当相であるが、COVID-19問題に伴う自殺者が急増しているため、同首相は、孤独・孤立問題を総合的に対応するよう同担当相に求めたとする。
警察庁が2月19日に発表した速報値では、2020年の日本の自殺者は2万919人で、10年振りに上昇に転じている。
これに対して、米ジョンズ・ホプキンズ大集計データによると、日本のCOVID-19死者は7,500人以下である。
一方、米国では、COVID-19感染症問題で都市封鎖措置等が実施される以前の2020年1月の段階で、5人のうち3人が孤独問題を抱えていた。
米シグナ(1982年設立の医療・生命・損害保険会社、本社はコネチカット州)がリリースした報告書によると、“米国では孤独問題が感染症流行並みとなっている”としている。
そして、COVID-19感染問題の深刻化に連れて、米国のみならず世界中で心の健康問題により焦点が当てられるようになっている。
米疾病予防管理センター(CDC、1992年設立)は2020年8月、同年6月末現在、米成人の40%が心の問題を抱えたり薬物使用に走っていて、31%がうつ病の症状を訴え、11%が自殺まで考えたとする報告書を公表している。
2月22日付『デイリィ・コーラー』(2010年設立の右翼系メディア):「日本、新感染症流行問題で自殺者急増のため、新たに“孤独問題担当相”を任命して対応」
日本がこの程任命した“孤独問題担当相”は、2018年に世界で初めて英国で設けられた“孤独担当大臣”に倣っている。
日本は、孤独問題に長い間取り組んできた国である。
『ジャパン・タイムズ』紙によると、この背景には、同国の悪名高い長時間労働習慣や企業間競争の激化が挙げられ、これらが原因とされる自殺が増加の一途を辿っていた。
そこで、政府主導による自殺問題対策の結果、自殺者数は年々減少してきている。
しかし、今回のCOVID-19感染症問題を契機に、2020年の自殺者が再び上昇に転じた。
英国『BBC』報道によれば、日本人の多くが隣人との接触に積極的でなくなりつつあり、それに加えて単身世帯や“おひとりさま”文化(ひとりだけのカラオケや飲食等)が日常的になったことから、必要な時にも拘らず他人に助けを求めない傾向が強まってきているという。
専門家は、孤独は人間形成において避けて通れない部分もあるかも知れないが、世界中で社会的孤立が増えてくることによって、公衆衛生上深刻な問題につながると指摘している。
米シグマが2018年に実施した調査の結果、孤独や孤立が死亡率の上昇に深く関わってきていて、うつ病や認知機能の低下につながっている恐れがあることが分かっている。
同社の医療部門トップのダグラス・ネメセック氏は、“孤独は、毎日タバコを15本も吸うのと同程度の健康被害をもたらすことが分かっており、肥満よりもっと危険”だとコメントしている。
『ジャパン・タイムズ』紙によれば、COVID-19問題に伴う外出自粛やリモートワーク励行によって、日本で多く見られるようになった社会的孤立問題が益々深刻化した結果が、自殺者数増につながっているという。
(注)自殺者急増事態:2010年以来連続10年間、毎年の自殺者数は減少していて、2019年には2万169人と、1978年以来最小を記録。しかし、2020年には前年比+750人の2万919人と増加に転じた。特に、女性の自殺者が885人も急増。なお、自殺者最多記録は2003年の3万4,427人。
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