米国とフィリピンが中国による南シナ海/南沙諸島内の人工島へのミサイル配備を非難【米・英・フィリピンメディア】(2018/05/06)
4月16日付Globali
「習近平国家主席、米台異常接近に脅しをかけるため台湾海峡で実弾演習指示」で触れたとおり、トランプ政権が“一つの中国”原則に反して、台湾向け武器輸出含めて米台間の連携強化を進めようとしていることに不快感を抱き、中国は2年7ヵ月振りに台湾海峡で実弾演習を実施した。そして中国は更に、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー)内に建設した人工島にミサイル配備を行った。これには、同海域で航行の自由作戦(FONO)を展開する米国はもとより、親中政策に転換したフィリピンも、安全保障が損なわれると非難の声を上げている。
5月5日付米
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「米国とフィリピン、中国による南シナ海人工島へのミサイル配備を非難」
国防総省のダナ・ホワイト報道官は5月3日、中国がこの程、南沙諸島内に建設した人工島のうちの3つに、ミサイル配備を実行したことに対して、重大な懸念を表明した。
同報道官はまた、同海域の安定と平和を維持するため、中国は一方的な海洋進出は控えるべきだとした上で、米国は今後もFONOを適宜継続すると言及した。...
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5月5日付米
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース:「米国とフィリピン、中国による南シナ海人工島へのミサイル配備を非難」
国防総省のダナ・ホワイト報道官は5月3日、中国がこの程、南沙諸島内に建設した人工島のうちの3つに、ミサイル配備を実行したことに対して、重大な懸念を表明した。
同報道官はまた、同海域の安定と平和を維持するため、中国は一方的な海洋進出は控えるべきだとした上で、米国は今後もFONOを適宜継続すると言及した。
一方、ドゥテルテ政権下で親中政策に舵を切っているフィリピン政府も5月4日、同海域における安全保障が損なわれるとして、米国に続いて懸念を表明した。
ただ、大統領府のハリー・ローク報道官は、中国とは今後も外交交渉に依拠していくとした上で、新たに配備されたとするミサイルは、フィリピンに向けられたものではないと信じているとも語った。
米『CNBCニュース』は5月2日、中国が南沙諸島内の3つの人工島に、対艦巡航ミサイルと対空ミサイルを配備したと報道している。
5月4日付英『ジ・インディペンデント』紙:「米国、中国による南シナ海へのミサイル配備に警告」
米ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は5月4日、中国が南シナ海の人工島にミサイルを配備したとのニュースに関わり、米国は中国の同海域の軍事拠点化に大いに憂慮しており、然るべく対抗措置を講ずると警告した。
米『CNBCニュース』報道によると、直近に配備されたミサイルは、295海里(約546キロメーター)が射程距離の対艦ミサイル、160海里(約296キロメーター)内の航空機・無人機・巡航ミサイルを標的とする対空ミサイルであるという。
豪州のジュリー・ビショップ外相も5月4日、この報道が事実ならば、中国は同海域の軍事拠点化はしないとの言葉を裏切っていると懸念を表明した。
一方、中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は5月4日、ミサイル配備の報道に肯定も否定もしなかったが、中国主権内の安全保障のため、“必要な防衛設備”を備えることは中国の権利であるとした上で、かかる行為は軍事拠点化には結び付かないと明言している。
5月5日付フィリピン『テンポ』オンラインニュース:「フィリピン政府、中国によるミサイル配備との報道に懸念を表明」
大統領府のローク報道官は5月4日、フィリピンが主権範囲と主張する南沙諸島内に中国がミサイルを配備したとの報道について、中国との外交交渉を通じてこの問題を協議していくと表明した。
ただ、同報道官は、これまでの中国との緊密な関係より、これらのミサイルがフィリピンを標的にしたものではないと確信しているとも付言した。
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ドゥテルテ比大統領、かつてはフィリピンのトランプと呼ばれたが、米国が麻薬戦争を理由に対比武器輸出制限決定したことに怒り心頭でいよいよ米国と決別か?【米・フィリピンメディア】(2018/04/08)
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(73歳)は就任以来、麻薬撲滅政策を最優先課題に据え、その遂行のためには、超法規的殺人も辞さない程急進的である。そこで欧米諸国や国際人権団体から、人権蹂躙だとして一斉に非難されている。しかし、ドナルド・トランプ大統領(71歳)からはその政策を褒められていたこともあり、バラク・オバマ前大統領(56歳)時にしきりに叫んだ米同盟離反政策を見直す機運もみられた。ただ、ここへきて米政府が麻薬戦争を問題視して、フィリピン向け武器輸出に制限を掛ける決定をしたことから、ドゥテルテ大統領も怒り心頭に達したためか、いよいよ米国と決別して、武器供給先を中ロに完全に乗り換えると宣言するに至っている。
4月6日付米
『ニューズウィーク』誌:「ドゥテルテ比大統領、米国が自分を抹殺しようとしているとして、武器調達先を中ロにシフトすると宣言」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は4月5日、マラカニアン宮殿(大統領官邸)に集まった大衆を前にして、米政府が麻薬撲滅戦争を懸念してフィリピン向け武器輸出を制限する決定をしたことを非難すると演説した。
同大統領は、ドナルド・トランプ大統領はフィリピンの麻薬犯罪撲滅政策を支持していたのに、米政府の行動は首尾一貫していないとした上で、代わって中ロ両国から武器を調達することにすると明言した。...
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4月6日付米
『ニューズウィーク』誌:「ドゥテルテ比大統領、米国が自分を抹殺しようとしているとして、武器調達先を中ロにシフトすると宣言」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は4月5日、マラカニアン宮殿(大統領官邸)に集まった大衆を前にして、米政府が麻薬撲滅戦争を懸念してフィリピン向け武器輸出を制限する決定をしたことを非難すると演説した。
同大統領は、ドナルド・トランプ大統領はフィリピンの麻薬犯罪撲滅政策を支持していたのに、米政府の行動は首尾一貫していないとした上で、代わって中ロ両国から武器を調達することにすると明言した。
また、同大統領は、米国宛に刺激的発言を繰り返していることから、自分が死んだら、それは米情報局(CIA)の仕業だとも述べている。
なお、同大統領は、上記発言をする以前から中ロ両国から武器の提供を受けていて、麻薬犯罪だけでなく、イスラム過激派陰謀のテロ対策にも活用している。
4月8日付フィリピン『テンポ』オンラインニュース:「ドゥテルテ大統領、麻薬密売人は大海原に投げ込めばよいとトランプ大統領に発破」
ドゥテルテ大統領は4月7日、パサイ市(マニラ南部の都市)で開かれた夕食会の席上、麻薬犯罪に憂うるトランプ大統領に対して、麻薬密売人は大西洋に投げ込んでしまえば犯罪は減ると煽る演説をした。
この背景には、米政府がフィリピンにおける麻薬戦争を懸念して、種々干渉してくることに同大統領が辟易していることが挙げられる。
すなわち、同大統領は、米国内の麻薬犯罪の方が遥かに膨大であるとした上で、米国にはCIAという優秀な捜査機関があるのだから、フィリピンのことなど構わずに自国内の犯罪撲滅に専念すれば良いと明言しているからである。
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