製糸工場は需要が停滞していて何時になったら回復するか予想がつかないという。 製糸工場関係者は、「市場回復の兆しが近いというが、需要は停滞している。」とコメントした。
専門家によると、「2020-2021年に活発な需要が続き、綿価格が500g当たり1.5ユーロの高値となったが、この時、綿糸や綿布の在庫が綿工場に蓄積された。そのため、綿価格が0.85ユーロに低下しても綿工場の需要は5-6か月増えていない。」という。
綿工場の豊富な在庫が綿市場の不況の1つの原因であるが、エネルギー価格の高騰による製造コストの上昇も綿工場に影響している。さらにインフレや倹約志向による綿製品のリサイクル化も不況に影響しているという。
なお、近々中国でゼロコロナ政策の緩和があるとしても、綿市場の再活性化させるには程遠いと見られている。米国農務省に統計よれば、今年の1月から9月まで中国の綿糸輸入量は去年の半分で、過去10年間で初めての出来事であるという。中国の綿糸輸入量が減少するのにテンポを呼応してか、インド、ベトナム、パキスタン、またはウズベキスタンも同輸入量が減少した。
さらに、綿工場が綿買い付けを絞っているのは、各国の中央銀行が綿工場への貸し出しを抑えていることも原因しているという。とりわけパキスタンやバングラデシュにおいてはこの傾向が顕著で、各政府は食糧の輸入に優先順位を置いている。
なお今年の綿生産量はオーストラリアを除いて、アフリカ諸国、ブラジル、パキスタンなどでは綿花が不作となっている。米国農務省の11月の最新報告によると、今年の世界の綿生産は減少しているという。そのため綿糸の市場価格は高値を維持するものと予想されている。 この影響が、衣料品の値上げにつながらないか気になるところである。
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過日GLOBALiで、インドネシアが首都を移転するのは人口過密による渋滞や環境汚染問題によるものであると報じられた。ただ、地下水過剰汲み上げや気候変動に伴うジャワ海水面上昇によって、世界最速の勢いでジャカルタ市街の深刻な水没危機が迫っていることも背景にあると報じられている。
1月26日付米
『AP通信』:「地盤沈下と環境汚染に喘ぐインドネシアの首都が移転」
インドネシアの首都ジャカルタは、人口過密で環境汚染、地震の被害も受けやすく、かつ深刻な地盤沈下に喘いでいる。
インドネシアは1万7千以上の島々からなる群島国家であるが、全人口2億7千万人の54%(1億4,600万人)がジャカルタのあるジャワ島に居住しており、同国最大の人口過密島となっている。
更に、ジャカルタ市内だけで1千万人、近郊を含めた首都圏では3千万人が暮らしている。...
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1月26日付米
『AP通信』:「地盤沈下と環境汚染に喘ぐインドネシアの首都が移転」
インドネシアの首都ジャカルタは、人口過密で環境汚染、地震の被害も受けやすく、かつ深刻な地盤沈下に喘いでいる。
インドネシアは1万7千以上の島々からなる群島国家であるが、全人口2億7千万人の54%(1億4,600万人)がジャカルタのあるジャワ島に居住しており、同国最大の人口過密島となっている。
更に、ジャカルタ市内だけで1千万人、近郊を含めた首都圏では3千万人が暮らしている。
そのジャカルタで深刻となっているのは、人口の1局集中に伴う大気及び地下水汚染問題、そして恒常的な洪水と交通渋滞であり、特に渋滞による経済損失は毎年45億ドル(約5,130億円)に達するという。
そして更に深刻なのは、世界最速で進んでいる市街地の地盤沈下である。
目下の勢いで行くと、2050年までに市街の3分の1が水没すると推定されている。
この主要原因は、地下水を野放図に汲み上げたことによる地盤沈下と、気候変動に伴うジャワ湾の海水面上昇によるものである。
かかる背景もあって、2019年に公表された首都移転計画が進捗し、この程漸く、ボルネオ島(現カリマンタン島)に首都を移転することが正式に決定された。
ジョコ・ウィドド大統領(60歳、2014年就任、2019年2期目)は国民議会の承認(1月18日)を得る直前、“単に新都市を建設するのではなく、最適な公共交通機関、自然環境が整い、自然災害も受けにくい、世界レベルのスマートシティを創り上げることが最大の目標である”旨語った。
しかし、首都移転に懐疑的な人たちは、移転先の東カリマンタン州がオランウータン・豹やその他多くの野生動物の棲み処となっていることから新たな環境問題が発生すると懸念するばかりか、現下の新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題に伴う景気後退下にあって、移転費用の340億ドル(約3兆8,760億円)をどう捻出できるのかと疑問を呈している。
インドネシア環境フォーラム(WALHI、1980年設立のNGO)幹部のドゥイ・サウング氏は、“首都移転に関わる環境調査の結果、少なくとも3つの基本的問題があることが判明した”とし、“現地の水系や気候変動リスクへの脅威、動植物への悪影響、そして新たな公害や環境破壊の恐れがあることである”とコメントした。
なお、政府発表では、移転費用の19%を政府が負担し、残りは官民共同基金、及び国営・私企業の直接投資で賄うとしている。
公共事業・国民住宅省のバスキ・ハディムルジョノ大臣(67歳、2014年就任)は、まず初期段階の移設として全体の約2割相当の5万6,180ヘクタール(13万8,800エーカー、約562平方キロメートル)の土地造成を行い、大統領府・議会議事堂・省庁を移転させるとする。
同大臣は、初期段階の移設は2024年までに完了させ、約8千人の政府職員を常駐させるとも付言した。
ウィドド大統領も以前、2期目が終わる2024年までに大統領府並びに内務省・外務省・国防省を移転させたいと語っていた。
首都機能の完全移転は2045年と見込まれている。
なおまた、首都移転プロジェクト推進委員会を設置し、委員長にアラブ首長国連邦の都市建設計画で名を馳せたアブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒャーン首長世子(60歳)を据え、ソフトバンクグループ創業者・富豪の孫正義氏(64歳)、NPO法人トニー・ブレア国際変革研究所(2016年設立)代表のトニー・ブレア元英国首相(68歳、1997~2007年在任)が名を連ねて、同移転プロジェクトの進捗を見守っている。
一方、1月27日付インドネシア『テンポ』誌(1971年発刊の週刊誌):「ジャカルタ市評議会、首都機能は失っても経済中心地の地位維持と主張」
ジャカルタ市立法評議会(DPRD)のプラセチョ・エディ・マルスディ議長(59歳、2014年就任)は1月26日、首都機能が東カリマンタンに移転して以降も、同市を特別区として維持していく必要があると表明した。
しかし、与党・インドネシア闘争民主党(1998年設立)の政治家は、同市の機能をどうするかは国民議会(下院に相当)が決めることであり、DPRDは事前協議に参加する権利しかないとコメントした。
一方、国家開発企画庁のスハルソ・モノアルファ長官(67歳、2019年就任)は、首都機能移転後もジャカルタ市の特別区としての機能に変更はないだろうと語っている。
同長官は、多くの国の元首都がその後も発展しているように、事業センターやその他投資を呼び込む特別区として存在していくだろうと強調した。
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