ロシア野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(44歳)は、昨年8月に選挙活動で訪れた西シベリアで毒殺されかけたが、緊急避難したドイツで療養していた。ロシア当局は、同氏が帰国次第、横領容疑等で逮捕すると脅しているが、同氏としては、今年9月に予定される総選挙で少しでも野党票を伸ばすべく、帰国しての選挙活動を再開したいとしている。そして、同氏がいよいよ1月17日に帰国することが明らかになった途端、ロシア当局は前日に同氏右腕の活動家を投獄して、早速同氏の政治活動を妨害する行為に出ている。
1月17日付
『ロイター通信』:「野党勢力代表のナワルニー氏の同胞がモスクワで投獄」
野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏は、反汚職財団(FBK、2011年設立)を立ち上げてロシア政治家らの汚職解明に注力する一方、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)による独裁政治に最も強く対抗してきた。
その間、何度もロシア当局から拘束されたり投獄されたりしたがめげず、野党勢力を伸ばすべく政治活動を展開してきた。...
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1月17日付
『ロイター通信』:「野党勢力代表のナワルニー氏の同胞がモスクワで投獄」
野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏は、反汚職財団(FBK、2011年設立)を立ち上げてロシア政治家らの汚職解明に注力する一方、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)による独裁政治に最も強く対抗してきた。
その間、何度もロシア当局から拘束されたり投獄されたりしたがめげず、野党勢力を伸ばすべく政治活動を展開してきた。
プーチン政権は、勢いを増す野党勢力に恐れを抱いたのか、昨年8月に同氏が選挙活動のために訪問していた西シベリアで、同氏を毒殺しようとした疑いが持たれている。
ロシア国内の病院での治療に危険を感じて、同氏は支援者の助けでドイツに緊急避難して快復を待った。
そしてこの程、当局による帰国次第逮捕との脅しに屈することなく、同氏は、今年9月に予定されている総選挙に備えての選挙活動継続のため、1月17日にロシアに戻ることを決断した。
しかし、その前日に当局は、同氏の右腕として活動してきたFBKのメンバーであるパベル・ゼレンスキー氏を逮捕し、投獄した。
容疑は、同氏が昨年過激思想をツイートしたとの罪で、2月28日までの1ヵ月半拘留されることになるとする。
モスクワ本拠の人権擁護団体アゴラ(2005年設立)代表によると、ゼレンスキー氏は1月15日に突然当局によって逮捕された際、容疑は昨年10月のツイート内容が問題とされたという。
同氏は昨年10月2日、同日にイリーナ・スラビナ記者(1973~2020年)が抗議の焼身自殺をしたのは、当局の不当捜査が原因だと非難するツイートをしていた。
故スラビナ記者は、10月1日に当局が突然アパートに押し掛けて室内捜索したことに抗議して、翌日に内務省が入るビルの前で焼身自殺している。
ゼレンスキー氏の逮捕・投獄を受けて、FBKのイワン・ズダノフ代表(32歳)は、“我々は決して諦めない”とした上で、“ゼレンスキー氏の家族のことはしっかりケアする”とコメントした。
一方、ナワルニー氏の帰国に当たって、プーチン政権がどう出るか注目されている。
すなわち、当初表明しているとおり、同氏を逮捕・投獄すれば、野党勢力の抗議活動が更に活発化し、また、西側諸国から懲罰的な制裁が科せられる恐れがある。
しかし、野放しにすれば、国内タカ派から突き上げられるばかりか、弱腰とみられてしまう。
なお、プーチン大統領は、昨夏のナワルニー氏毒殺未遂事件に当局が関わったとの指摘を全面的に否定している。
同大統領によれば、もし当局が関わっていたとしたら、同氏は既にこの世にはいないはず(失敗するはずがない)と嘯いている。
1月16日付『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資のラジオ放送局)』:「モスクワ裁判所、ナワルニー氏創設のFBKメンバーを過激思想流布容疑で有罪判決」
人権擁護団体アゴラ創設者のパベル・チーコフ代表はSNSの『テレグラム(2013年ロシア人技術者が開発したインスタントメッセージシステム)』上で、モスクワのプレズネンスキー地区裁判所が1月16日、ゼレンスキー氏に過激思想流布容疑で有罪判決を下したと訴えた。
この所業は、昨夏の毒殺未遂に遭ってドイツに逃れていた野党勢力代表のナワルニー氏が、5ヵ月振りにロシアに戻るとされた前日になされたものである。
なお、ゼレンスキー氏が罪に問われたツイートは、昨年10月2日に行われたもので、同日に焼身自殺を遂げたスラビナ記者を追悼するとともに、この責任はロシア当局にあると糾弾していた。
この根拠として、スラビナ記者が直前、フェイスブック上で“私の死はロシア連邦政府への抗議のためのもの”だと訴えていたことがある。
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