中国は、南沙諸島の岩礁を埋め立てた人工島に灯台を建設した。これに対し中国による南沙諸島の領有権を認めない米国は、米軍艦船による付近海域のパトロールを行おうとしており、両国間での緊張が高まっている。
10月9日付
『新華社通信』は、中国交通運輸部が南沙諸島の華陽(ファヤン)岩礁2ヵ所に灯台を建設し、運用を開始したと報じた。それによると、これらの灯台は、南沙海域で初めて通行船舶に対し、航路案内、安全情報、緊急時救助などの航行支援をおこなうものである。灯台は高さ50メートルのコンクリート製で、光達距離は22海里、点滅サイクルは8秒である。
南シナ海は太平洋とインド洋に接続し、中国と世界を結ぶ重要な海路であるが、航行支援や救難、原油流出対策などの深刻な不備が、同海域の航行の安全や社会的経済的発展を阻んできた。...
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10月9日付
『新華社通信』は、中国交通運輸部が南沙諸島の華陽(ファヤン)岩礁2ヵ所に灯台を建設し、運用を開始したと報じた。それによると、これらの灯台は、南沙海域で初めて通行船舶に対し、航路案内、安全情報、緊急時救助などの航行支援をおこなうものである。灯台は高さ50メートルのコンクリート製で、光達距離は22海里、点滅サイクルは8秒である。
南シナ海は太平洋とインド洋に接続し、中国と世界を結ぶ重要な海路であるが、航行支援や救難、原油流出対策などの深刻な不備が、同海域の航行の安全や社会的経済的発展を阻んできた。中国交通運輸部は、将来的に南シナ海における国際的責任と義務を果たすため、今後も航行支援や海難救助関連の設備を継続して建設し、近隣諸国や航行船舶に航行の安全を提供していくとしている。
10月10日付
『ABCニュース』は、中国が領有権を巡り争点となっている南沙諸島ファヤン岩礁の2ヵ所に灯台を建設し、運用を開始したと報じた。
スプラトリー諸島は、ほとんど不毛の岩礁とサンゴ礁から成り、世界でも指折りの交通量の多い水路に位置している。付近には石油や天然ガス資源が埋蔵されているとみられており、台湾、マレーシア、フィリッピン、ベトナム、ブルネイが領有権を主張している。中国が、実質的に南シナ海全体に及ぶ領有権を強硬に主張し始めたことによって、同海域での緊張が高まってきた。米国とフィリッピンは、中国のこれらの岩礁の開発が軍事目的に使用され、領有権の主張や航行の自由が脅かされるとして懸念を表明している。これに対し中国は、米国がこの地域へ干渉していると非難し、岩礁島を開発することは中国の主権に基づくものであると主張している。
10月9日付
『ロイター通信』は、米軍司令官が、南沙諸島付近の海域での航海の自由を確保するためのパトロールを実施すると発言したと報じた。但し、同司令官は、中国がスプラトリー岩礁に造った人工島の12海里内に入るかどうかについては言及を避けている。
一方、
『フィナンシャルタイムズ』紙は、米軍艦船が2週間以内に、中国がスプラトリー諸島に構築し、自国の領土と主張する人工島の12海里内を航行する計画であると報じている。また、米国当局者は、作戦は現在オバマ政権の承認待ちであり、数日中に行動を開始する予定であると述べている。
10月11日付マレーシア
『スターオンライン』は、ロイター電として、中国が、米軍艦船が南シナ海で中国の人工島に付近を航行するという情報について、航行の自由という名目で領海を侵犯することを許さないと述べたと報じている。
中国外交部の華春瑩報道官は、「中国は航海や飛行の自由を守るという名目で、スプラトリー諸島の領海や領空を侵害することを許さない」と述べ、「当事者が挑発行為を止め、地域の平和と安定のため責任ある行動と執ることを望む」と付言した。
米国は、中国のスプラトリー諸島で構築した人工島の主権を認めておらず、国際法に則り作戦をおこなうと述べており、米中での緊張が高まっている。
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インドネシアのナスティオン調整相は、ジョコ大統領が日中間で競われていたジャワ島での高速鉄道計画を、財政面から考慮した結果、見送ることを決めたと発表、インドネシアは日中に対して、中速鉄道の新たな計画を提示するよう要請した。日本は数年前から新幹線をインドネシアに対して売り込んでいたが、中国が今年3月になって突然参入し、水面下で両国の激しいロビー活動が繰り広げられていた。インドネシアの高速鉄道導入の見送りの背景には、日中双方と亀裂を作りたくないという政治的判断も働いたものとみられる。各国は、インドネシアの高速鉄道導入見送りについて以下のように報じた。
9月4日付
『ウォールストリートジャーナル』(米国)は、「インドネシアが高速鉄道導入を見送り」との見出しでインドネシアが財政面からの考慮で、ジャカルタからバンドゥンを結ぶ高速鉄道の導入を見送ることを決めたことを伝え、「インドネシアには高速で長距離を移動する需要がないことに加え、財政的に厳しく、インドネシア政府が計画を見送ったことは決して驚くべき選択ではない」との、ジャカルタのインフラ整備会社のディレクターであるスコットヤンガー氏のコメントを紹介した。
9月3日付
『ブルームバーグ通信』(米国)は、「インドネシアは商業的に採算がとれないとの理由で、日本と中国との間で競われていた高速鉄道の導入を見送り、代わりに中速度の鉄道を導入する方向だ」と報じ、「インドネシアの高速鉄道導入はジョコ大統領が鳴り物入りで始めたプロジェクトだが、全く進展を見せないままに終わりを迎えた」と報じた。
9月4日付
『スターオンライン』(マレーシア)は、「インドネシアの高速鉄道導入の見送り決定は、経済的に明るい材料の少ない中国と日本の投資活動に対し、混乱の種をまいた」と報じ、「この決定の背景に高速鉄道はコストに見合わないとして、中速鉄道を政府に提案したコンサルタントの存在があった」と報じた。また「今回のプロジェクトの見送りは投資家に悪いシグナルを送るものだ」との、ジャカルタをベースに活動する政治アナリストのポールローランドの分析を紹介し、日本と中国の反応として「今回の決定は日本の投資に影響を与えるとは思わない」との日本の谷崎大使の発言と、「高速鉄道への参入は、習近平国家主席の一帯一路構想の一環として中国の優先順位の上位に位置づけられており、中国のマーケティング活動とロビー活動が、インドネシアで大規模に行われていた。それだけに中国の落胆は大きい」との、北京のエコノミストであるトムラファティーの分析を紹介した。
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