2月8日から開幕しているテニス全豪オープンは、1年前からの周到な準備を経て、3割程度ながら観客を入れて開催されている。その主催者代表によれば、目下東京大会組織委員会等が計画している新型コロナウィルス(COVID-19)感染症対策では、観客を入れての大会開催は難しいという。なお、当該大会も、2月11日に選手らを隔離滞在させているホテルでのクラスター発生によって、2月12日から無観客での開催を余儀なくされている。
2月11日付米
『スイムスワム・ニュース』(2012年設立のスポーツ専門ウェブサイト):「豪州テニス協会代表、目下の対応策では東京大会開催は“困難”とコメント」
英国『デイリィ・メール』紙の2月10日報道によると、豪州テニス協会(1904年設立の政府系団体)のクレイグ・タイリー最高経営責任者(CEO、58歳、元米大学テニスコーチ)が、目下の東京大会主催者のCOVID-19対策は不十分で、大会開催は難しいだろうと発言したという。
翻って、2月8日から開催されているテニス全豪オープンでは、同CEO及び600人余りのスタッフがほぼ1年間をかけて開催準備をしてきている。
例えば、全選手、コーチ、サポートチーム、メディアには、専用のホテルで14日間の隔離滞在が求められ、また、大会関係者や観客用に3万人分のCOVID-19検査キットを用意している。
かかる周到な準備の下、同大会は観客数の制限はされているとは言え、これまで4日間無事に開催されている。
一方、東京大会では、遥かに大規模の1万1千人余りの選手団に加えて、コーチ、サポートスタッフ、メディア等多数が集うことになる。
ところが、2月10日に東京大会組織委員会からリリースされた「大会運営規定集」によると、COVID-19感染を抑えるため、他人との接触を減らしソーシャルディスタンシングを保つことや、(手洗い・うがい等)適切な衛生手段を尽くすことに主眼が置かれている。
すなわち、全豪オープンと東京大会の大きな違いは、前者では全関係者に検疫を義務付けているのに対して、後者では、開催5ヵ月余り前にも拘らず、検疫対象や具体的方法等がまだ詰められていない点である。
同CEOは、“全豪オープン運営組織委員会の面々は、東京大会に比較して遥かに厳格な対応をしている”とした上で、自身は東京大会が開催されることを望んでいるが、現状の対策では開催には不十分だと思うと述べている。
そして、同CEOは全豪オープンでの開催対応手順について、国際オリンピック委員会(IOC)関係者と情報共有することを考えているという。
なお、同CEOが述べた周到な準備を施しても、全豪オープン開催に当たっては数々の問題が浮上したという。
例えば、男子世界ランクNo.1のノバク・ジョコビッチ選手(33歳、セルビア出身のプロテニス選手)から、COVID-19対策上かなり詳細な要求が主催者側に提出されたことや、ロスアンゼルスからメルボルンへの移動に使われた女子選手のチャーター便で新規感染者が発生してしまったため、同乗の全選手に対して(外での練習等も許されない)厳格な隔離措置が講じられることになってしまったこと等である。
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