仏
『レゼコー』は、第二次世界大戦の終結から77年、ドイツに爆弾が落ちるという恐怖が再びやってきた、と伝えている。個人向けにシェルターを販売しているBSSD社のマーケティング担当者は、ドイツの日刊紙ディ・ヴェルトの取材に対して「以前は1日に10件の電話があったが、今は1時間に60件以上ある」と語っている。ロシアのプーチン大統領による核の脅威が、シェルターへの関心を高めている。
ディ・ヴェルト紙は、特に、ベルリンの壁が崩壊して以来、多くの地下シェルターが放棄されるようになっていたことも関連すると書いている。...
全部読む
仏
『レゼコー』は、第二次世界大戦の終結から77年、ドイツに爆弾が落ちるという恐怖が再びやってきた、と伝えている。個人向けにシェルターを販売しているBSSD社のマーケティング担当者は、ドイツの日刊紙ディ・ヴェルトの取材に対して「以前は1日に10件の電話があったが、今は1時間に60件以上ある」と語っている。ロシアのプーチン大統領による核の脅威が、シェルターへの関心を高めている。
ディ・ヴェルト紙は、特に、ベルリンの壁が崩壊して以来、多くの地下シェルターが放棄されるようになっていたことも関連すると書いている。現在ドイツは、シェルターやサイレン、食料の備蓄が不足していると、フランクフルター・アルゲマイネ紙が伝えている。ナンシー・フェーザー内務大臣は、ドイツ連邦政府が保護シェルターなどへの投資を増やすことを検討していると発表した。
そのような装置を待つ間、BSSD社は家の外に設置するシェルターや、さまざまな脅威に対する地下シェルターを購入することを提案している。ディ・ヴェルト紙は、爆弾からの保護施設に「大金はいらない」と伝えている。家の地下室に作る最小の核シェルターは3万5千ユーロ(約475万円)かかり、化学・生物兵器による攻撃から保護される。顧客は会社役員や熟練工などが多く、ウクライナ戦争が始まってからは、子供や祖父母を守りたいと思う女性たちからの注文が多くなっているという。
一方、裏庭に地下シェルターを作りたい場合、9.6㎡の最小モデルで約5万ユーロ(約680万円)、90㎡のモデルで30万ユーロ(約4千77万円)以上かかる。設置費用や掘削費用にも数千ユーロが必要になる。さらにシェルターは建設許可を取得しなければならない。ただし個人が購入する場合は、公共インフラの不足を補うためにドイツ税務当局が提供する税額控除を利用することができる。
最新技術を取り上げる仏ニュースサイト『ジュルナール・ドュ・ジーク』によると、地下核シェルターの世界チャンピオンはスイスだという。数年前までは、すべての新築住宅に専用の核シェルターを建設することが法律で義務付けられていた。法規制は緩和されたものの、現在では国内におけるシェルターのインフラは充実している。有事の際には、すでに30万から40万個の民間シェルターが用意されている。これは、800万人以上、つまりスイスの人口の100%以上を守るのに十分となっている。仏『BFMTV』によると、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーも人口保護率が70%を超えている。
しかし、フランスは、万が一の場合のシェルターが非常に不足している。2017年にフランスの経済月刊誌「キャピタル」に掲載された記事によると、当時、国内には約1000の核シェルターがあり、この数字はその後もあまり変わっていない。 このうち600は軍のシェルターである。また、民間の核シェルターも300から400箇所あると言われているが、これでは保護率は0%に近い。
『ジュルナール・ドュ・ジーク』は、フランスは原子力大国であり、2020年には56基の原子炉が稼動していることを考えると驚きであると伝えている。フランスは原子炉の保有数としては、世界第2位であり、トップはアメリカの93基、そのすぐ後ろに中国の54基の中国がいる。
フランスでシェルターを建設してきた総合建設会社アメシス社によると、現在、個人客からの注文が急増しており、3月上旬だけで「15件ほどの注文を受けた」と説明している。最も売れているモデルは、7万9千ユーロ(約1千万円)の「換気システム、2段ベッド、トイレ付きの14m²のシェルター」だという。現在、戦争の影響を受けておらず、材料の供給は間に合っており、平均2から3カ月で完成させることができるという。
『BFMTV』によると、シェルターを注文する客は定年退職している人、医者、軍人、外交官や閣僚など様々だという。ただし、購入客は「避難所に隠れる必要が出た際、隣人や通行人が大量に押し寄せることを恐れている」ため、シェルター業界は「すべてが秘密裏に行われる」ことが多く、誰がどこにシェルターを作っているのかは機密情報だという。
閉じる