米・英・スコットランド・中国メディア;オバマ大統領は英国のEU離脱に反対?(2016/03/16)
英国のキャメロン首相は、欧州連合(EU)残留を国民に説得する材料として、EUの改革案を提案してEU諸国からの合意を取り付けた。その勢いで、今年6月に予定されている国民投票において、EU残留の支援を獲得したいと考えている。EU離脱を主張する人達の根拠のひとつに、「アングロスフィア(注後記)のリーダーとして新時代の役割」を担うことがある。果たして、そのコミュニティの中で最も力を有する米国が、これを支持しているのであろうか。
3月13日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』ウェブサイトニュースの報道記事「オバマ大統領のEU残留支援のための訪英に英国議員が激怒」:
「・オバマ大統領は4月にロンドンを訪れて、英国のEU離脱を翻意するよう呼びかける意向。
・英国は6月に、40年振りに国民投票を実施し、EU残留か離脱かを決定。
・オバマ氏の行動に対して、EU離脱を標榜する保守党のピーター・ボーン議員もスティーブ・ベイカー議員も、欧州の独立国がどうするかについて、米国に何ら口出す権利はないと非難。...
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3月13日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』ウェブサイトニュースの報道記事「オバマ大統領のEU残留支援のための訪英に英国議員が激怒」:
「・オバマ大統領は4月にロンドンを訪れて、英国のEU離脱を翻意するよう呼びかける意向。
・英国は6月に、40年振りに国民投票を実施し、EU残留か離脱かを決定。
・オバマ氏の行動に対して、EU離脱を標榜する保守党のピーター・ボーン議員もスティーブ・ベイカー議員も、欧州の独立国がどうするかについて、米国に何ら口出す権利はないと非難。
・ホワイトハウスはオバマ氏の訪英についてコメントしていないが、同時期にドイツで開かれる先端技術サミット会議に出席予定。
・ただ、キャメロン首相側近は、オバマ氏の訪英に触れて、当然EU残留の話をすることになるとコメント。」
3月14日付英
『ザ・サン』紙の報道記事「ボリス・ジョンソン市長、オバマ氏のEU関連の無用な口出しに不快感」:
「・オバマ大統領が、もし英国がEUから離脱したら、世界における英国の影響力がなくなると発言したことに対して、ニューヨーク生れのロンドン市長であるボリス・ジョンソン氏は、無用で偽善行為の口出しだとして強く非難。
・同氏は、EUに留まらなくとも、カナダ・スタイルの自由貿易協定(FTA)をEUと締結すれば済むことと主張。
・これに対し、ジョージ・オズボーン財務相は、FTAを交渉して締結するまでに7年もかかるとし、口先だけで何も行動しないロンドン市長は退陣してもらった方が良いとコメント。」
同日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』の報道記事「ロンドン市長、EU離脱に反対するオバマ氏を非難」:
「・オバマ氏が訪英の上、EU残留を説いて回るとのニュースを耳にして、ロンドン市長のジョンソン氏は、米国という国は、全て自分の思い通りにことを運ぼうとするところだが、これ程ヒステリックに自国防衛のために他を巻き込む国は他にいない、と酷評。」
一方、3月13日付スコットランド
『ザ・スコッツマン』スコットランド全国紙の報道記事「英国がEU離脱なら、スコットランドは改めて独立を模索」:
「・3月13日の世論調査(任意抽出の1千人対象)によると、スコットランド人の53%が、もし英国がEU離脱を賛成多数で可決するならば、(EU残留を希望するスコットランド人として)改めて英国からの分離について住民投票を望むとの声。
・スコットランド国民党党首で、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、53%の声は十分に強く、(EU離脱かどうか決定後)改めてスコットランド市民に英国からの分離について問いかける意義があると表明。」
なお、
『東洋経済』に寄稿した、元豪州外相のギャレス・エヴァンス氏によると、次の理由より、英国のEU離脱は「名誉なき孤立」を招きかねないとして、EU離脱賛成派を痛烈に批判している。
・アングロスフィアが国際的な存在感を示したのは、数十年前の南アフリカのアパルトヘイトの撲滅に向けた戦いまで。
・同コミュニティの雄である米国は、英語圏の国よりも、むしろ(対中国包囲網を固めるため)日本、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア等、東・東南アジア諸国との連携強化に向かっていること。
・同コミュニティの英語圏国家である豪州、ニュージーランドとしても、地政学的、経済的な重要性から、英国よりもむしろアジア太平洋圏の国々との連携強化を欲しているとみられること(例;環太平洋経済連携協定につき、すでに批准、もしくは批准準備済み)。
・米国のフロマン通商代表も昨年10月、EUとのFTAは重要視するが、EU離脱した英国と単独でFTAを締結することに関心はないと明言していること。
(注)アングロスフィア:英語圏のうち、自由や権利を保障する英米の基本法を支持し、同様の価値観や文化を形成している国々。英米のほか、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど。
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米・英・ドイツ・中国メディア;VWブランドの毀損(2016/03/14)
1月14日付
Globali「フォルクスワーゲン(VW)、米当局との対立鮮明に」の中で、“(今年1月)VWグループ総代表が渡米し、米当局と鋭意交渉を重ねるも、VWが当初期待した程、米当局は柔軟ではなく、厳しい対応を迫られていて、両者間の緊張が高まっている”と報じた。そうした中、VW米国の社長が辞任したり、2月のVW世界販売台数が依然減少しており、VWブランド毀損が止まらない。
3月11日付米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の報道記事「VW販売減少し、VWブランドへの風当り強し」:
「・VWの3月11日発表では、同社グループの2月の世界販売台数は、前年同月比▼1.2%
減の69万3,300台。
・西欧で+6.5%、ドイツ国内で+7.7%と持ち直したが、新興国の景気後退による落ち込みがすさまじく、ブラジルで▼36%、ロシアで▼17%下落し、(アジア市場の注力先の)中国でも▼1.8%下落。...
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3月11日付米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の報道記事「VW販売減少し、VWブランドへの風当り強し」:
「・VWの3月11日発表では、同社グループの2月の世界販売台数は、前年同月比▼1.2%
減の69万3,300台。
・西欧で+6.5%、ドイツ国内で+7.7%と持ち直したが、新興国の景気後退による落ち込みがすさまじく、ブラジルで▼36%、ロシアで▼17%下落し、(アジア市場の注力先の)中国でも▼1.8%下落。
・更に、不正摘発が最初に明らかになった米国では、VWブランドそのものへの不信感が拭えず、▼7.2%減の僅か3万7,700台に下落。
・不正スキャンダルに関わり、米当局から科せられる数百億ドル(数兆円)に上るとみられる罰金や、その他の国でも提起されている損害賠償請求訴訟を考えると、販売が上向かないのは、VW幹部にとっては二重のプレッシャー。」
同日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「ドイツ政府、VWの困難克服に大きな期待」:
「・ドイツ経済省報道官は3月11日、VWグループが、不正スキャンダルに関わる米当局からの罰金申し立て等の全ての問題をしっかり解決することに大いに期待と発表。
・米司法省がVWに最大460億ドル(約5兆2,400億円)の罰金を科す訴えを提起する等、VWは多くの申し立てに遭っている。」
同日付英
『ジ・インディペンデント』紙の報道記事「VW米国トップ、同グループ幹部との衝突で退任」:
「・VW米国のマイケル・ホーン社長が、VWグループ幹部との意見の衝突で辞任。
・同社長は、排ガス不正問題で迷惑をかけた顧客に、1,000ドル(約11万4,000円)のギフトカードを配るなどの誠意を見せるべきと提案せるも、同グループ幹部は反対。
・同社長の辞任によって、排ガス不正対象の60万台のVW車の修繕等の対応策について、3月24日までに連邦政府当局から承認を取得する必要があるが、この期限遵守が困難となる恐れ。
・同社長は昨年10月、議会運輸小委員会の聴聞で、世界で1,100万台に上る排ガス不正問題については、ドイツでも米国でもトップは一切関わっておらず、自身も欺かれたと証言。」
同日付ドイツ
『DPAインターナショナル』(ドイツ通信社)の報道記事「困窮中のVW、従業員へのTシャツ支給取り止め検討」:
「・不正問題で多くの罰金と損害賠償請求訴訟に曝されているVWは、経費節減のために、これまで行っていた従業員への作業用Tシャツ支給を取り止めることを検討中。
・同グループ関係者は3月11日、まだ決まった訳ではないとコメント。
・一方、同グループ企業内組合のバーンド・オウスターロー代表は今週初め、ドイツ北部のヴォルフスブルグ(VW本社所在地)の全体集会で、約2万人の組合員を前に、会社側はもっと他にやるべきことがあるため、Tシャツ支給を取り止めるという提案に反対するし、万一そうなった場合、組合側が代わって支給する考えであると説明。
・VWグループは既に、2017年末までに、主に自然減を含めて約3,000人の管理職の削減を発表。」
3月10日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』の報道記事「様々な捜査が進む中、VW米国トップが辞任」:
「・VWは3月9日、2014年からVW米国社長を務めたマイケル・ホーン氏が、他の仕事の求めに応じるため急きょ退社することになったと発表。
・後任は、今年1月にVW北米地域管掌に任命されたばかりのハインリッヒ・ウォウブッケン氏。
・VWは、カリフォルニア州、米司法省、米連邦環境保護庁から提起されている、排ガス不正問題に関わるリコール対策、罰金支払い、及びその他法令違反問題を抱えており、3月24日の期限までに対応策について、連邦裁判所判事から承認を取得する必要。」
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