英国法務省が公表した数字によると、イングランドとウェールズの刑務所にいるトランスジェンダーの受刑者の数が、2019年から20%増加しており、大多数は男性として生まれたトランスジェンダーの女性が女性刑務所に収容されることを希望していたことが明らかになった。
英
『ザ・タイムズ』によると、トランスジェンダーであると自己申告した囚人は、2019年の163人から今年は197人に増加した。データが初めて収集された2016年以降、トランスジェンダーであると自己申告する受刑者数が毎年増え続けている。
2016年、イングランドとウェールズのトランスジェンダー受刑者は70人だった。2019年には163人に増え、130人のトランスジェンダー受刑者が女性、20人が男性と自己申告し、13人は回答しなかった。イングランドとウェールズの受刑者人口は約8万人である。
今年7月、女性に対する性犯罪や暴力犯罪の前科を持つトランスジェンダーの受刑者が、他の女性と一緒に収監されることを防止するための訴訟が高等裁判所で却下された。FDJと呼ばれる女性受刑者は、女性に対する性的犯罪や暴力的犯罪の前科を持つトランスジェンダーの女性と同じ刑務所にいることで、自分の人権が侵害されていると主張していたが、主張は退けられた。裁判所は、トランスジェンダーの受刑者が同じ刑務所にいる場合、一部の女性受刑者が受ける「恐怖と不安」を認めたものの、法務省がすべての女性刑務所からトランスジェンダーの女性を排除することは不可能であると述べた。
法務省によると、2016年から2019年の間に、女性刑務所で計97件の性的暴行が記録されており、そのうち7件はGRCを持たないトランスジェンダーの囚人による犯行と見られている。
英『ザ・テレグラフ』によると、性別が変わったことを法的に認める書類であるGRC(性別認識証明書)を保持している犯罪者は別のカテゴリーに属しているため、この数字には含まれていない。今年の「犯罪者平等年次報告書」では、GRCを保有する受刑者は23人と推計されている。
女性のための人権活動家らは、年次報告書は「トランスジェンダーと名乗る男性受刑者の数が年々大幅に増加している」ことを示していると訴えている。ケイト・コールマン博士は、英国の刑務所において女性の受刑者が同性とのみ収容されることを求めている団体の代表を務めている。同氏は、女性であると自己申告する男性の受刑者の「数が増えれば増えるほど、これらの受刑者の一部が女性の施設に収容されることを許可する法務省の方針によって、刑務所内の女性にリスクが生じる」と述べている。
米『ブライトバート』によると、スコットランドでは、過去1年半の間に12人の暴力的または性的犯罪歴のあるトランスジェンダーの受刑者を女性用の刑務所に入れていたことが、情報公開請求により明らかになった。
生物学的に男性のトランスジェンダー囚人の中には、実際に性別適合手術を終えた囚人が1人だけ含まれており、他の11人は自分たちが女性であることを自認しているという。
ケイト・コールマン博士は、「女性刑務所に生物学的男性の受刑者が収容されている場合、女性受刑者たちが悪影響を受けていることが明らかになっている。」と語っている。女性刑務所に生物学的な男性を収容することの落とし穴は以前から指摘されており、英国性同一性専門家協会のジェームス・バレット元会長は、2015年に議会で、男性性犯罪者が女性と名乗る「原動力」は「その後の性犯罪を非常に容易にするため」であることを「示唆する刑務所の情報が山ほどある」と警告した。女性刑務所におけるトランスジェンダーによる性的暴力の顕著な事例としては、有罪判決を受けた強姦魔のカレン・ホワイト(元スティーブン・ウッド)が、トランスジェンダーであると主張して女性刑務所に移送された後、複数の女性受刑者に性的暴行を加えた。
スターリング市にある女性刑務所の元所長、ローナ・ホッチキス氏は、「私の経験では、トランスジェンダーの女性が女性の囚人と一緒にいることは常に問題であり、身体的・性的な脅威という明らかな問題を超えて、弱い立場にある女性の中に男性の囚人がいるという事実そのものが、女性たちに苦痛や困惑を与えるということを考えなければならない。」と指摘している。
スコットランド刑務所サービス(SPS)は現在、同国のトランスジェンダー刑務所政策を見直しており、女性刑務所に生物学的な男性を収容する行為をやめるべきかどうかを検討している。これまでSPSは、女性受刑者、フェミニスト運動家、刑務官からのヒアリングは行わず、「トランスフォビックやホモフォビックな行動がないことを保証するために、労働環境や生活環境を改善する」という目標を達成するために、トランス活動家やLGBT活動団体Stonewallとのみ協議してきた。SPSの報道官は、「特に相談したいグループの一つは、これまで相談してこなかった女性刑務所の人々である」と述べ、「より広い範囲で協議する必要性は認識されており、今後は幅広く意見を求める場を設けていく。」と述べている。
閉じる
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(67歳)は、かつてロシアを牽制するために親欧州政策を執っていたが、自国内の反政府活動家らを力づくで排除していること等を理由にして欧州連合(EU)から経済制裁を科せられてしまっている。そこで、同じくEU制裁を受けているロシアに歩み寄り、今夏に二国間軍事協力に合意して連携を強めている。以降、ロシア側の後ろ盾を受けたこともあって、中東やアフリカの難民に観光ビザを与えて自国経由隣国ポーランドやリトアニアに不法入国させることで国境問題を深刻化させ、EU制裁に対する報復措置とみられる脅しをかけている。
11月8日付米
『AP通信』:「ベラルーシの支援を受けた多数の難民がポーランド国境に押し寄せ」
数百から数千人と思しき難民が11月8日、ベラルーシからポーランド国境に押し寄せ、ワイヤーフェンスをハサミで断ち切り、枝などによじ登ってポーランド側に違法入国しようとしている。
ポーランドの内務省は、不法入国者は撃退しており、事態は収拾しつつあるとした。
また、国防省は、武装した警官隊が不法侵入を試みている難民らに薬液スプレーを浴びせる等して侵入を防ぐ対応を取っている映像を公開している。...
全部読む
11月8日付米
『AP通信』:「ベラルーシの支援を受けた多数の難民がポーランド国境に押し寄せ」
数百から数千人と思しき難民が11月8日、ベラルーシからポーランド国境に押し寄せ、ワイヤーフェンスをハサミで断ち切り、枝などによじ登ってポーランド側に違法入国しようとしている。
ポーランドの内務省は、不法入国者は撃退しており、事態は収拾しつつあるとした。
また、国防省は、武装した警官隊が不法侵入を試みている難民らに薬液スプレーを浴びせる等して侵入を防ぐ対応を取っている映像を公開している。
ベラルーシ側のメディア映像では、警官隊に物を投げつけたり、また、長い棒等を持って」フェンスを無理やり越えようとしている難民の姿が映し出されている。
ポーランド治安部隊のスタニスロー・ザリン報道官は、“ベラルーシの手引きで多数の難民がポーランド国境に押し寄せ、国境問題を引き起こさせる等ベラルーシからの対ポーランド攻撃が激化しつつある”と表明した。
そして同報道官は、“ベラルーシの治安部隊や軍隊にコントロールされた多数の難民によって、EUへの入り口でもあるポーランド国境が突き破られようとしている”とした上で、“アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が対ベラルーシ制裁を解除させようと、ポーランドや他のEU諸国に揺さぶりをかけてきている”と糾弾した。
また、ピオトール・ミューラー内閣府報道官(32歳)は、ポーランド国境のベラルーシ側に3千~4千人の難民が押し寄せていると発表した。
なお、ポーランド国境警備担当官は11月9日朝から当該国境を封鎖するとしている。
一方、ベラルーシ内でのジャーナリストの取材活動が制限されているばかりか、目下ポーランドで非常事態宣言が出されていて、ジャーナリストや人権活動家らが国境付近に立ち入ることが禁止されているため、実際に何が起こっているのか確かなことは分からない状況である。
ただ、この中東等からの難民がベラルーシ経由EUに不法侵入しようとしているのは何ヵ月も前から起こっていて、最初にリトアニアとラトビアが標的にされ、今は主としてポーランドが狙われている。
これに対して、ベラルーシ国境警備隊のアントン・ビチコフスキー報道官は『AP通信』のインタビューに答えて、国境に殺到している難民は、“EUにおいて難民認定を申請するという権利を主張したい人たちだ”とし、“安全保障上の脅威でも何でもない”と主張した。
しかし、ポーランドや他のEU諸国は多数の難民が押し掛けるのを脅威と捉えており、難民問題に柔軟な対応をしてきたドイツのアンゲラ・メルケル首相(67歳)のシュテッフェン・ザイバート報道官(61歳)も、“ベラルーシ政権は人身売買業者のような行いをしている”と糾弾した。
また、欧州委員会(EU政策執行機関)のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(63歳)も、ベラルーシ当局による“複雑で手の込んだ攻撃”の責任を追及していくためにも、EUの27加盟国に対ベラルーシ制裁継続の承認を求めていくと表明している。
更に、在ポーランド米国臨時代理大使のビックス・アリュー氏も、ルカシェンコ政権は難民の命を危うくさせた上で、“彼らを使って国境問題を深刻化させてポーランドを挑発している”とし、“ベラルーシによる敵対的行為をすぐさま停止させる必要がある”とツイッターで訴えている。
一方、ベラルーシ出身の政治評論家バレリー・カーバレビッチ氏は『AP通信』のインタビューに答えて、“ベラルーシの手引きによって大多数の中東・アフリカ難民がEU加盟国国境付近に押し寄せ始めたのが、ロシアとベラルーシが今夏に軍事協力協定に合意してから3日後であったことから、ロシア政府が裏で糸を引いているとみられ、ベラルーシを使ってEU側に脅しをかけていると思われる”と分析している。
なお、ポーランド外務省のパウエル・ヤブロンスキー副大臣(35歳)は、在ポーランドのイラク臨時代理大使フセイン・アル=サフィー氏と面談した際、バグダッド及びアルビール(イラク北部)在のベラルーシ領事館が、これら難民に観光ビザを発行してベラルーシ経由EU域内への不法入国活動を支援していたとして、イラク政府が両領事館を閉鎖するとした措置に対して謝意を表明している。
11月9日付英国『ザ・テレグラフ』紙:「ポーランド、“EU全体の安全保障”への脅威だとしてベラルーシとの国境を封鎖」
ポーランドは11月9日、ベラルーシからポーランドに不法入国しようとする難民を阻止するため、同国国境の一部を封鎖した。
同国のマテウシュ・モラビエツキ首相(53歳)は、“ベラルーシのルカシェンコ政権が企てている難民を使って国境不安を煽る策略に恐れることはなく、EUや北大西洋条約機構(NATO)加盟国の安全保障が脅かされないよう、国境を封鎖して徹底抗戦をしていく”とツイートしている。
ポーランド政府発表によると、同国国境付近のベラルーシ側には約4千人の難民がテントを張って、隙を伺って不法侵入しようとしているという。
また、同国治安部隊の報道官によれば、ベラルーシ国内には1万2千人近くの中東・アフリカ難民が滞在しているとする。
閉じる