タイの保健省副大臣は16日、少子化問題を是正するために政府は多くの解決策に取り組んでいると述べ、そのうちの1つに、ネット上のインフルエンサーの助けを借りるという案を初めて明らかにした。
シンガポールを拠点としているオンラインメディア
『アジアニュース・ネットワーク』によると、地元メディアはこれを「ワオ・ファクター」と呼んでおり、副大臣は、子供を持つ有名人をロールモデルとして映し出すことによって、夫婦に子供を持つことを奨励し、若者に結婚を勧めていくと述べた。また、シンガポールや日本で行われているような税制優遇措置や奨学金、あるいは出産補助金といった政策を導入する準備もあることを発表した。
タイのニュースサイト『ザ・タイガー』によると、タイの出生率は昨年、過去50年間で最低水準に落ち込み、保健省が中心となって改善に取り組んでいるという。かつては、タイの女性は平均して5人の子供を産んでいた。しかし政府は、人口過剰を懸念し、1972年に「より多くの赤ちゃん、より多くの貧困」というキャンペーンを展開した。その結果、今では少子化がタイの将来の経済に対しる脅威となってしまった。国家経済社会開発評議会事務局は、出生率の低下は労働力不足や税収の減少など、将来の問題につながる可能性があると指摘している。
一方で国民は、インフルエンサー採用のアイデアに反発しているという。「経済危機を解決することに集中すべきであり、経済危機こそが人々が子供を持つことを避けている理由だ」という声があがっている。
タイの日刊紙『ネーション』電子版は、アセアン地域の大手調査会社iPrice Groupが最近発表した調査結果によれば、タイの親が子供を育てるには少なくとも3万3千バーツ(約12万円)がかかると伝えている。タイの最低賃金は9千から1万バーツ(約3万5千円)程度で、タイの人にとっては子供一人を育てるには3ヶ月以上の賃金に相当する。しかし、タイ管理局によると、新型コロナウイルスによる、失業、会社の倒産、物価高などさまざまな不安から、子育ての計画を中止する人が多いという。
タイ当局は、2040年には高齢者人口が現在の1220万人から2040万人に増加し、雇用労働人口(15歳~59歳)は現在の4300万人から3600万人に減少すると発表している。2025年までに高齢化社会に突入し、60歳以上の高齢者が1450万人、つまり全人口の20.7%になると説明している。2020年には約54万人の赤ちゃんが生まれ、約56万人の死者よりも少なかった。また、昨年は労働人口と総人口の比率が3.5:1から0.6:1へと低下した。このような比率が続けば、高齢者の労働力依存率は、昨年の100人あたり28.4人から、2040年には100人あたり56.2人にまで上昇するという。
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