日本の領土は約38万平方キロメーターと、世界の中では60位に位置する、比較的狭い領土の国である。しかし、排他的経済水域(EEZ、注1後記)を含めると総面積は447万平方キロメーターとなり、世界第6位に躍進する。EEZの範囲は、そこに賦存する水産・エネルギー資源などの権利に影響するため、日本政府は2012年、日本のEEZの外縁を根拠付ける離島39島について、地図及び海図に記載される名称を決定している。更に2014年、日本の領海内の無人島158島も正式に命名して盤石とした。しかしこの程、北海島北東端沖の無人島が衛星写真から消えていたことが判明し、島ではなくなった可能性があり、EEZへの影響が取り沙汰されている。
11月17日付
『ザ・サン』紙:「日本領海内の島が衛星写真近影から消えたが、島ではなくなった?」
日本の領海内の無人島が、衛星写真近影に映し出されておらず、島ではなくなったのかという議論が噴出している。
北海島北東端沖の“エサンベ・ハナキタ小島”で、猿払村(北海島宗谷郡)の500メーター沖にある無人島である。
1987年の調査では、水面から1.4メーター顔を出す島であった。...
全部読む
11月17日付
『ザ・サン』紙:「日本領海内の島が衛星写真近影から消えたが、島ではなくなった?」
日本の領海内の無人島が、衛星写真近影に映し出されておらず、島ではなくなったのかという議論が噴出している。
北海島北東端沖の“エサンベ・ハナキタ小島”で、猿払村(北海島宗谷郡)の500メーター沖にある無人島である。
1987年の調査では、水面から1.4メーター顔を出す島であった。
海上保安庁の藤井主任は、同島は長年の風・雪等の影響を受けて浸食されて消失した可能性があるとコメントしている。
ただ、陰謀説を唱える人は、領海の境界線を引き直させることを目的として、“どこかの国の手先”が衛星写真から同小島を削除したのだと主張している。
ある漁師によれば、漁船の経路誘導システムの画像には同小島が確かに映し出されるという。
日本政府は2014年、同小島を含む158の無人島を、日本の領海内に存在する島としてそれぞれ命名している。
なお、『サイエンス・チャンネル(注2後記)』によれば、地殻変動や火山性活動によってひとつの島が消失することはあるが、今回の同小島については、測候設備が設置されていて現在も気象データが送信されてきていることから、消失したとは考えられないとしている。
(注1)EEZ:海洋法に関する国際連合条約に基づいて設定される、天然資源及び自然エネルギーに関する「主権的権利」、並びに人工島・施設の設置、環境保護・保全、海洋科学調査に関する「管轄権」が及ぶ水域のこと。国連海洋法条約では、沿岸国は自国の基線 (海)から200海里(370.4キロメーター)の範囲内に、EEZを設定することができるとしている。 設定水域に存在する水産・鉱物資源、及び海水・海流・海風から得られる自然エネルギーに対して、探査・開発・保全及び管理を行う排他的な権利(他国から侵害されない独占的に行使できる権利)を有するとされている。なお、EEZに存在する鉱物資源は埋蔵している段階では、沿岸国には所有権は存在せず、採掘して陸上・海上施設・船舶に引き上げられた段階で、その権利が発生する。また水産物も、水揚げされて初めて所有権が発生する。自然エネルギーに対しても、例えば電力に変換されて、初めて物権が発生する。
(注2)サイエンス・チャンネル:国立研究開発法人科学技術振興機構が科学技術理解増進事業の一環として行っている専門チャンネル。視聴料が無料であることから、全国各地のケーブルテレビの自主放送チャンネルにおいて放送されている。
閉じる