カナダメディア;米国同様カナダでも北京冬季大会視聴率低迷もストリーミングでカバー、と報道(2022/02/14)
既報どおり、米国における北京冬季大会のテレビ視聴率が低迷している。米メディアは、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題の最中での開催のみならず、米中対立が激化していることから止む無いとしているが、カナダにおいても、カナダ人実業家の中国当局による不当拘束問題等、中国との軋轢もあって、同様に低迷している。ただ、米メディアと同様、カナダメディアも「ストリーミング(注後記)」視聴率増でカバーされているとする。
2月12日付
『グローブ&メール』紙(1936年設立)が、カナダ公共放送
『CBCテレビ』(1952年開局)が集計したデータをもとに、目下開催中の北京冬季大会の視聴率について詳報した。
それによると、2月4日の開会式当日を除く最初の6日間のプライムタイム(午後7時から深夜12時まで)のテレビ視聴者数は105万5,500人と、同日数の東京夏季大会の129万人、また、前回2018年の平昌冬季大会の194万人から大きく後退しているという。...
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2月12日付
『グローブ&メール』紙(1936年設立)が、カナダ公共放送
『CBCテレビ』(1952年開局)が集計したデータをもとに、目下開催中の北京冬季大会の視聴率について詳報した。
それによると、2月4日の開会式当日を除く最初の6日間のプライムタイム(午後7時から深夜12時まで)のテレビ視聴者数は105万5,500人と、同日数の東京夏季大会の129万人、また、前回2018年の平昌冬季大会の194万人から大きく後退しているという。
ある広告代理店が『グローブ&メール』紙に語ったところによると、『CBC』が当初目論んでいた視聴率に比べて25%も下回っているという。
この凄まじい落ち込みは、米国の低視聴率と同様の事態で、米『NBCテレビ』(1938年開局)のプライムタイムの視聴者数は、平昌大会の2,300万人から僅か1,230万人と46%も下落している。
ただ、両冬季大会の競技日程及び放送時間の違い等から、単純に比較することはできない。
例えば、平昌大会でカナダのマックス・パロット選手(当時23歳)及びマーク・マクモリス選手(同24歳)がスノーボード・スロープスタイルでそれぞれ銀・銅メダルを獲得した際、カナダ東部時間午後9時28分の放送で340万人が視聴していたが、今回の北京大会では、同じく両選手がそれぞれ金・銅メダルを獲得した時の放送時刻は深夜12時29分だったこともあり、僅か120万人の視聴に留まったからである。
また、『CBC』によると、平昌大会フィギュアスケート団体戦でカナダチームが金メダルを獲得した際、午後9時57分の放送でもあったことから大会を通じて最多となる360万人が視聴していたが、今回の同種目では4位と成績が振るわなかったこともあってか、午後9時06分の時刻に放送されたものの、カナダ・ペアの試技で最多150万人が視聴したに留まったという。
一方、大会開催前のカナダにおける世論調査の結果、中国における人権問題に加えて、カナダ人ビジネスマンのマイケル・コブリグ氏(49歳)及びマイケル・スパバー氏(45歳)が中国当局によって不当に拘束された事態もあって、北京大会への興味はすこぶる低調であった。
(編注;両氏とも2018年12月、中国滞在中にそれぞれ“国家転覆容疑”等のでっち上げとしかみられない理由で拘束。多分に、カナダ当局が米国要請に応えて、通信機器大手ファーウェイの孟晩舟副会長(メン・ワンチョウ、50歳)を逮捕したことへの報復と推定。ただ、カナダが2021年9月、米国への引き渡しをせずに孟容疑者を退去処分とすることで放免したことから、ほぼ同タイミングで両カナダ人も釈放・帰国。)
ただ、トロントの広告代理店キングスター・メディアのアダム・シーボーン営業・メディア担当部門長は、上記政治的問題以外に、『CBC』が今回北京に余りスタッフを派遣せず、報道担当者・競技解説者等がカナダのスタジオからリモート中継したことも要因だとしている。
更に、大会期間中の2週間、視聴者の興味をそそるような中国の文化・歴史・地理等の情報について、『CBC』が中国側から収集できないという事情もあったとする。
その上で同部門長は、『CBC』はプライムタイムの視聴者数を平均142万人と見積もっていたとするが、“自身が思うところ、今のところ予想を大きく下回っている”と付言している。
また、別の観察者によると、東京夏季大会が終わってまだ半年しか経っておらず、視聴者にオリンピック疲れがあるとみられる他、COVID-19問題によって大観衆もいない殺風景の競技場に対する興味喪失、更には、NHL(北米アイスホッケーリーグ)やNBA(北米プロバスケットボールリーグ)の公式戦が続いていることや、2月13日にスーパーボウル(北米プロアメリカンフットボール優勝決定戦)が予定されていることもあるとする。
しかし、『CBCスポーツ&オリンピック』担当のクリス・ウィルソン部門長は、2018年の平昌大会の時と比べてカナダ全般のテレビ視聴率が下がっている傾向となっていることから、“前回大会のときとの視聴率比較についてあまり気にしていない”と表明している。
カナダの視聴率調査会社ヌメリス(1944年設立)の直近のデータによれば、同視聴率は平昌大会時に比べて約18%、東京大会時と比べても約10%減少している。
なお、同部門長は、『CBC』傘下のストリーミング・サービス提供の「ジェム(2018年設立)」の契約視聴者が特段増加していて、北京大会もライブもしくはオンデマンド配信で盛んに視聴されており、問題はないとも付言している。
『CBC』公式発表によると、北京大会の最初の3日間の「ジェム」総視聴時間数は、東京大会の同期間の実績に比べて48%も増えているとする。
(注)ストリーミング:主に音声や動画などのマルチメディア・ファイルを転送・再生するダウンロード方式の一種。通常、ファイルはダウンロード完了後に開く動作が行われるが、動画のようなサイズの大きいファイルを再生する際にはダウンロードに非常に時間がかかってしまい、特にライブ配信では大きな支障が出る。そこで、ファイルをダウンロードしながら、同時に再生をすることにより、ユーザーの待ち時間が大幅に短縮される。この方式を大まかに「ストリーミング」と称する。
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中国IT大手ファーウェイ副会長の身柄引き渡しに関わる裁判がカナダで開廷【米・カナダ・中国メディア】(2020/01/20)
世界最大の通信機器メーカーである、華為技術(ファーウェイ)の副会長がカナダで逮捕されて1年になる。逮捕容疑は、米司法省から出された、同副会長による対イラン制裁を逃れるための虚偽説明だとされる。しかし、当人・会社側はもとより、中国政府も、IT最先端技術分野での躍進を恐れる米国の嫌がらせだと猛反発している。そしていよいよ、同副会長の米国への身柄引き渡しに関わる裁判がブリティッシュコロンビア州最高裁判所(バンクーバー)で始まる。なお、同副会長は保釈金を積んで仮釈放された後、逃亡などせずに大人しく、バンクーバーに所有する自宅に留まっていた。
1月20日付米
『AP通信』:「ファーウェイ幹部の身柄引き渡しに関わる審理がカナダで開始」
世界最大の通信機器メーカーである、ファーウェイの幹部の身柄引き渡しに関わる裁判が1月20日、バンクーバーで始まる。
同社の孟晩舟(モン・ワンチョウ、47歳)副会長は2018年12月、トランジットでバンクーバー空港に降り立った際、カナダ当局によって逮捕された。
逮捕容疑は、米司法省から出されていた、米国の対イラン制裁に関わる虚偽説明で、同副会長が制裁を逃れるため、同社の香港子会社を隠れ蓑にしてイランと取り引きしたにも拘らず、決済銀行である米HSBC銀行を騙したとされている。...
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1月20日付米
『AP通信』:「ファーウェイ幹部の身柄引き渡しに関わる審理がカナダで開始」
世界最大の通信機器メーカーである、ファーウェイの幹部の身柄引き渡しに関わる裁判が1月20日、バンクーバーで始まる。
同社の孟晩舟(モン・ワンチョウ、47歳)副会長は2018年12月、トランジットでバンクーバー空港に降り立った際、カナダ当局によって逮捕された。
逮捕容疑は、米司法省から出されていた、米国の対イラン制裁に関わる虚偽説明で、同副会長が制裁を逃れるため、同社の香港子会社を隠れ蓑にしてイランと取り引きしたにも拘らず、決済銀行である米HSBC銀行を騙したとされている。
同副会長も同社も、トランプ政権によって政治的に仕組まれたとして、容疑を全面否定している。
同社は、中国が標榜するIT最先端技術分野の大躍進の中心的役割を担うとされていることから、中国政府も、米国による嫌がらせだと強く抗議している。
これに対して米国は、ファーウェイは自社の通信機器を使って、違法な情報収集や知的財産を盗み出そうとしてきたとも非難し、また、他国に対して、ファーウェイ製品の導入を控えるよう提案している。
なお、同副会長は逮捕後、保釈金を積んで仮釈放された後、バンクーバーに所有する自宅に留まっていた。
同副会長の代理人弁護士は1月17日、審理の対象は対イラン制裁に関わる件で詐欺事由でないこと、更に、カナダは対イラン制裁を科していないとして、無罪の申し立てを行っている。
一方、米中両政府は先週、両国間通商協定について“第一段階”の基本合意に達している。
しかし、米国が最も懸念している情報通信や知的財産権に関わる事項については今後の交渉に委ねられることになるが、これは何年もかかるものとみられる。
同日付カナダ『グローブ&メール』紙:「前代未聞の孟晩舟氏身柄引き渡しに関わる裁判が1月20日に開廷」
2018年12月1日に、カナダ連邦警察がファーウェイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕して以来、カナダは米・中国の二大国のIT最先端技術覇権争いに巻き込まれてしまっている。
すなわち、米司法省からの要請もあって同副会長を逮捕・拘束したものの、中国政府から不当逮捕との猛烈な抗議が上がり、かつ、同政府は直接的関係を否定しているものの、中国滞在中だったカナダ人の元外交官と実業家2名が、中国当局によって逮捕・拘留されてしまっている。
審理に当たり、同副会長の代理人であるリチャード・ペック弁護士は、カナダがイラン核合意成立後の2016年に対イラン制裁を解除している以上、同副会長に対してイラン制裁違反を問うことはできないと主張している。
これに対して検察側は、米国における対イラン制裁を逃れるために金融機関に対して虚偽説明をしたこと自体が罪になると申し立てている。
もし裁判所で身柄引き渡しが決定され、米国に引き渡されることになると、米国の裁判でかなり長期間収監される可能性がある。
一方、そうなった場合、既に棄損しているカナダ・中国関係は更に最悪の状態に陥るおそれがある。
同日付中国『CGTN(中国グローバル・テレビジョン・ネットワーク)』:「ファーウェイの孟晩舟氏の身柄引き渡しに関わる裁判が1月20日に開廷」
ファーウェイの孟晩舟CFOが逮捕されて1年余りが経ったが、1月20日、ようやく裁判が始まる。
同氏は、逮捕後に保釈金1千万カナダドル(約8億5千万円)を収めて仮釈放され、バンクーバーに所有する自宅で、監視付きで滞在していた。
カナダ当局は、同氏に“犯罪行為”があったと申し立てているが、同氏弁護団は、そもそもカナダは対イラン制裁を科していない以上無実であり、従って米国に身柄が引き渡されることは不当だと主張している。
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